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旅館・ホテル ■第2682号《2012年11月24日(土)発行》    
 

日本旅館協会、委員会活動を活性化
 日本旅館協会(佐藤義正会長、3381会員)は16日、10月1日の法人設立後、初めての正副会長会を東京都千代田区の本部事務所で開き、委員会の設置などを決めた。運営や事業のあり方などの基本方針を中長期的な視点から検討する総合政策検討委員会を立ち上げるほか、テーマごとに事業を推進する「経営強化」「IT戦略」「女性経営者」の3専門委員会を設ける。委員会の活動を活性化させ、合併効果の早期の具体化を目指している。

 日本旅館協会は、日本観光旅館連盟(日観連)と国際観光旅館連盟(国観連)の合併で10月1日に発足。同18日の臨時(設立)総会を経て初の正副会長会を開いた。設置を決めた各委員会は近く委員長や委員を選任し、事業や活動をスタートさせる。

 総合政策検討委員会は、大型旅館部門、中小旅館部門、ホテル部門の3つの部門委員会で構成する。経営規模・業態別に異なる課題を部門委員会ごとに議論し、合同委員会でとりまめる。新法人の運営や事業の方向性、会員の維持拡大策などが検討テーマに挙がるとみられる。

 専門委員会のうち経営強化委員会は、旅館・ホテルの経営にかかわる金融・税制の課題、カード会社に支払うクレジットカードの取り扱い手数料率の引き下げなどの課題に取り組む。

 IT戦略委員会は、会員旅館・ホテルの経営改善や集客拡大につながるITの活用に関する事業を推進する。旧国観連が事業化した客室流通の改善を目指す在庫管理システム「オープンウェブ構想」に基づく事業の促進なども検討する。

 女性経営者委員会は、女性の経営者を委員として、女性の視点を生かした事業の立ち上げを目指す。旧日観連、旧国観連ともに近年は女性経営者で構成する委員会などの本部活動がなかったため、旅館協会の活性化につながる取り組みが期待されている。

 正副会長会後、日本旅館協会の小関政男専務理事は「総合政策検討委員会の3部門委員会と3つの専門委員会で、旅館協会の運営と旅館・ホテルの経営をめぐる課題を洗い出し、解決に向けた事業を実施したい。新法人設立の効果が早期に表れるように会員の一層の協力をお願いしたい」と話した。



磐梯熱海温泉旅組が食のシンポジウム開催
旅館、農業関係者、学者らを交えたパネルディスカッション


 福島県の磐梯熱海温泉旅館協同組合(村田英男理事長)は16日、同県郡山市の郡山女子大学で食に関するシンポジウムを開いた。組合が進める「ふくしま食の未来プロジェクト」の推進状況を報告。原発事故の風評被害を払拭するとともに、新しい料理の開発を積極的に進め、誘客につなげたい考えを改めて示した。

 組合では地元の農業団体、郡山農業青年会議所と共同で、「ふくしま食の未来プロジェクト」と題する事業を今年7月から行っている。「農産物の安全性アピールと食観光の推進」を目的に、地元のブランド野菜を使った新しい食メニューを共同で開発している。

 料理に使う野菜は農業青年会議所が中心になり生産した「郡山ブランド野菜」。現在、グリーンスゥイート(枝豆)、おんでんかぼちゃ、御膳人参など8品目がブランド野菜として、独自の方法で生産されている。

 旅館組合では、これらブランド野菜を使い、「おんでんかぼちゃグラタン」「夏野菜ラタトウィユ」「地野菜と福島牛の三五八漬け」などの新メニューを試作。宿泊客に安定的に提供するため、研究を進めている。

 シンポジウムでは、プロジェクトのアドバイザーを務める、著名な地産地消レストラン(山形県鶴岡市「アル・ケッチァーノ」)のオーナーシェフ奥田政行氏が講演。奥田氏に旅館組合、農業団体関係者らを交えたパネルディスカッションを行った。

 無認可農薬使用問題で風評被害を受けた山形県の食復活へ尽力した奥田氏は、その経験談を披露。旅館組合の小口憲太朗副理事長(四季彩一力)は「お客さまは福島県のものを食べていいのか不安に思っている。まずはその不安を払拭すること。ただ、それだけではお客さまは回復しない。その先を見据えて、新たな食文化をつくることを目指していかねばならない」と述べた。

 プロジェクトを説明したホテル華の湯の菅野豊臣常務は、「食の問題に逃げることなく、真正面から取り組んでいく。野菜づくりのプロと料理づくりのプロが心を一つにして、お客さまに安心・安全な食を提供したい」と述べた。



10月の旅館・ホテル倒産は14件、負債74億


 帝国データバンクによると、今年10月のホテル・旅館経営業者の倒産は14件、負債総額は73億7600万円だった。件数は前月比5件、前年同月比9件それぞれ増加し、1月に並ぶ今年最多を記録した。

 負債総額は前月比400万円減少(0.1%減)。前年同月比では45億6100万円増加(162.0%増)した。

 倒産件数が10件以上の2ケタを記録するのは1、7、8月に次いで4回目。前年同期の7回を下回っている。

 負債総額は前年同月の倍以上を記録したが、2カ月連続で100億円の大台を下回った。

 1月からの累計は、件数が前年同期比12件減(10.9%減)の98件。負債総額が同138億9900万円減(15.5%減)の755億5200万円。

 帝国データバンクによると、今年10月の旅行業者の倒産は2件、負債総額は5千万円だった。

 件数は前月、前年同月と変わらなかった。負債総額は前月比4億5100万円減少(90.0%減)。前年同月比では2100万円増加(72.4%増)した。

 1月からの累計は、件数が前年同期比7件減(19.4%減)の29件。負債総額が同17億7400万円増(86.5%増)の38億2500万円。



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