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旅館・ホテル ■第2688号《2013年1月12日(土)発行》
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秘湯を守る会、会員遵守11カ条定める
あいさつする佐藤会長
日本秘湯を守る会(佐藤好億会長、187会員)は12月19日、静岡・熱海温泉の大観荘で2012年度の通常総会を開いた。13年度は「変革をより進化させ、深めていく年」(佐藤会長)と位置付け、新年度の事業に取り組む。また、総会前の理事会で決議した「会員が遵守すべき事項11カ条」を了承。11カ条の中には会員に対し、「温泉の温度、泉質、湧出量を定期的に調査し、支部温泉・地熱担当に報告しなければならない」ことを盛り込んでいる。地熱問題に対しては、無秩序な開発には断固として反対する方針を確認した。
総会の冒頭あいさつした佐藤会長は、東日本大震災以降の厳しい経済状況の中、会員の熱意で会が支えられたことに感謝の意を述べた。13年度は次の世代に引き継ぐための戦略を考える重要な1年とし「当会は知名度が上がりマスメディアに取り上げられるようになってきた。そこにあぐらをかいていてはやがて捨てられる。今のうちに見捨てられないためのシステムを作り、会を引き継ぐ」と述べた。
地熱開発問題に対しては全旅連、日本温泉協会と連絡を密にしながら協力していくとし、地熱開発の反対運動を進めていく。また、会のあり方については「秘湯を守る会が持っている『共生』のビジネスモデルは他の団体にはない。共生の精神を持って当会を通した地域づくり、旅館づくりを心がけ、朝日旅行と協働して事業を推進していく」と強調した。
11カ条では、温泉の定期的調査・報告の義務付けに加え、(1)諸経費(年会費やウェブ利用料、秘湯の本代など)、招待分担金を指定期日までに支払わなければならない、支払いは自動引き落としとする(2)秘湯公式ウェブ販売事業に協力し、最低1プランを掲載しなければならない、自社サイトのみの販売や当会の許可なく他社サイトだけで販売することは共同販売の理念に反し許されない—などを明記した。
「スタンプ押印事業」に関しては、朝日旅行に業務委託していた事務手続きのIT化を13年度の事業として掲げるとともに、事業が会員の財源になるよう検討していく。
公式ウェブサイトは英語のほか、新たに中国語や韓国語などにも対応させ、世界規模での集客を図る。会の理念である「共生」のもと全会員でウェブサイト予約の集客拡大を図ることを確認した。
定款、会則については、法人として日本の確たる組織とするため、法的に完全なものに変更するとした。
総会には朝日旅行から井沢啓社長はじめ役員らが出席。来賓として廣川允彦・日本温泉協会会長、平野富雄・源泉湯宿を守る会会長も出席した。また影山寛・JTBグローバルマーケティング&トラベル訪日企画部長が外国人向け宿泊サイトの説明を行い、「秘湯を守る会を国際的にアピールし、外国人需要を喚起したい」と述べた。
総会の最後にあいさつした井沢社長は、「心の満足感を求める時代になってきた。目指すべき方向をパートナーとして一緒に考えていく」と述べ、会の未来に必要な三つを挙げた。「創業の理念である『共生』を意識して組織戦で戦うこと。『秘湯はひとなり』の心で思いやりを忘れない。秘湯ブランドの維持、向上のため社会的役割を意識する」と述べ、さらなる結束を呼びかけた。
福島市の高湯温泉、新名物「温泉柿」商品化へ
商品化を目指す「温泉柿」
福島市の高湯温泉は、温泉を使い渋抜きした柿を地元の新たな名物として売り出す。「温泉柿」と命名し、来年にも商品化する予定だ。
干し柿に使う地元産の「蜂屋柿」を高湯の源泉に漬けて渋抜きする。研究機関で実験を重ね、また試食会などを通して味を確認。「熟成もゆっくりで、日持ちがし、ぱりぱりとした食感とまろやかな甘みが特徴」と同温泉観光協会。昨年11、12月、福島県と東京都で行った試食会でも「甘くておいしい」「とても渋柿とは思えなかった」「温泉を利用した斬新なアイデア」と好評だった。試作品は各旅館にも配布し、デザートなどに利用してもらった。
高湯温泉観光協会、同旅館協同組合の永山博昭事務局長は「渋抜きの技術にムラがあり、まだ研究が必要だが、来年にも商品化を実現し、高湯だけでなく福島県の名物として売り出していきたい」と話している。
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