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旅館・ホテル ■第2690号《2013年2月2日(土)発行》    
 

旅館業界、自民党観議連に税制改正要望
議員に陳情する旅政連の佐藤理事長(左。右端が観議連細田会長)

 自民党の観光産業振興議員連盟(細田博之会長=衆院島根1区)は1月17日、東京の自民党本部で総会を開き、旅館・ホテル団体と都道府県観光産業振興議員連盟から税制改正やNHK受信料問題、水質汚濁防止法問題など、直面する課題について要望を聞いた。

 全国旅館政治連盟の佐藤信幸理事長(全旅連会長)と日本ホテル協会の大橋寛治会長は、2013年度税制改正要望についてそれぞれ述べた。

 佐藤理事長は、消費税率が上がった場合、価格と税額の「総額表示」から「外税表示」方式にして、税額を宿泊料金に転嫁しやすい体系にすることと、交際費の全額損金算入を要望。また2015年度の見直しが11年暮れに閣議決定された旅館・ホテルの建物にかかる固定資産税について「何年経過しても建物の評価額が下がることがなく、税負担が重くのしかかっている」現行の評価方法を改めるよう求めた。

 日本ホテル協会の大橋会長と橋本雅之専務理事は、固定資産税の負担軽減、交際費課税の見直し、印紙税の廃止などを求めた。

 都道府県観光産業振興議員連盟の北林康司幹事長(秋田県議会議員)は、温泉の排水を規制する水質汚濁防止法について、対象業種から旅館を外すよう要望。東日本大震災の被災地とその周辺への課外授業と修学旅行の実施にも努めてほしいとした。

 旅館業界からは、NHK受信料体系の見直し、民間と競合する公的宿泊施設の改革についても言及があった。

 出席した議員は、同席した観光庁、厚生労働省、環境省などの担当者からそれぞれの問題について事情を聴取。解決に向け、さらに議論を進めるよう強く要望した。

 観議連は自民党の衆参議員117人で構成。先の衆院選を受け、49人が新たに入会した。



湯守ホテル大観、温泉熱利用でCO2抑制
設置したヒートポンプ


 環境省の二酸化炭素(CO2)排出抑制対策事業を導入した岩手県盛岡市、つなぎ温泉の湯守ホテル大観は、温泉熱を有効利用する設備を整備し、2012年12月から稼働させている。温泉熱を熱源として給湯などに活用することでボイラーに使用するA重油の使用量を削減でき、年間323トンのCO2の排出を抑制する。地球温暖化の防止に貢献するのと同時に、光熱費の経費節減の効果も期待されている。

 湯守ホテル大観の温泉は、自家源泉からの加水・加温なしのかけ流し。54度の湯を湯冷まし水路と湯畑で冷まし、適温にしてから浴槽に供給している。この際に放散していた温泉熱を熱回収装置を設置して有効活用し、さらに浴槽からの排湯も熱源に生かすことで、暖房や給湯に使う燃料を大幅に削減する。

 この仕組みにより湯守ホテル大観では、従来のA重油の年間使用量の3分の1を削減でき、それに相当するCO2の排出を抑制できると見込んでいる。光熱費についても、排湯を再利用する際に作動させるヒートポンプの電力使用料などを差し引いても、節減効果は大きいという。

 設備の整備費のうち約3分の1に環境省から交付決定を受けた同事業の補助金を充てた。設計・施工は、温泉旅館や温浴施設の省エネルギーや安全衛生管理を手がけるトリリオン(東京都品川区)が担当した。

 湯守ホテル大観を運営する大観の佐藤義正会長は「これまで冷ますだけだった温泉熱を有効に活用し、地球温暖化防止に貢献できる点が素晴らしい。経費節減にもつながり、環境に優しい宿としてPRにも生かせる。条件が合う温泉旅館は整備を検討してみてはどうか」と話している。

 環境省の同事業の正式名称は、二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金・温泉エネルギー活用加速化事業のうち温泉施設における温暖化対策事業。同事業の補助金交付は公募で決まるが、12年度の交付先は湯守ホテル大観を含めて旅館・ホテル6件。09年度からの累計では約20件の交付実績がある。環境省では、13年度予算案にも同様の事業予算を計上している。



大阪府旅組、「受動喫煙防止条例に反対」を表明
岡本理事長


 大阪府旅館ホテル生活衛生同業組合(岡本厚理事長)は1月24日、大阪府池田市の不死王閣で新年互礼会を開いた。あいさつで岡本理事長は、府の受動喫煙防止条例で宿泊施設内の全面禁煙が義務化されることに対し、改めて反対の意思を表明した。

 岡本理事長は「安倍政権が掲げた経済政策で円安、株高になった。円安であれば海外からの観光客が増える」「2014年には日本一高いビルの『あべのハルカス』、またUSJのハリーポッターの大型施設がオープンするなど、大阪には大きな話題がある」と、旅館・ホテル経営を取り巻く環境を指摘。

 また「大阪府の受動喫煙防止条例が2月の府議会に提案されようとしている。大阪府飲食旅館連合会とともに分煙を認めるよう訴えてきたが、認められず将来的には施設内の全面禁煙という内容。反対の意思表示をするため、大阪の飲食、旅館関係者で1万人の署名を集めたい」と、参加者に協力を求めた。

 大阪府の「大阪府受動喫煙の防止等に関する条例(案)」では、飲食店や宿泊施設は法的義務はないものの、ガイドラインにより施設内の全面禁煙を求められる。また段階的に条例による義務化を進める。

 分煙を認めない内容で、宿泊施設は屋外に喫煙スペースを設置する必要がある。従来から分煙に取り組んできた施設では、屋内の分煙設備が無駄になるなど、問題点も指摘されている。



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