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トラベル ■第2703号《2013年5月18日(土)発行》  
 

GW、国内旅行は好調、首都圏人気
 アベノミクスの影響か、景気の上向きを感じさせる中、今年のゴールデンウイーク(GW)が終わった。JTBは国内旅行者数について「2000年以降、過去最高となる見通し」としたが、予想通り各地は人出でにぎわった。旅行業者、温泉・観光地の動向を探ったところ、特に目立ったのが東京ディズニーリゾート(TDR)や東京スカイツリーを抱える首都圏の好調さだった。

 JTBの国内旅行は全体で前年同期比103%。うち、関東(首都圏、伊豆箱根、北関東を含む)は107%、東北が105%、関西103%で「日並びが悪いにもかかわらず、好調だった昨年をさらに上回った」と手ごたえを強調。

 TDRなどのテーマパークや東京スカイツリーの人気が高かった。

 「景気への期待感が高まっているというのは感じている」とするが、「GWは日並びの影響もあるので景気への期待感がそのまま反映されているわけではない」と冷静な見方だ。

 「今年は首都圏と伊勢志摩、出雲が前年超えと好調だった」というのは近畿日本ツーリスト総務広報部。「首都圏はTDR30周年と、東京スカイツリー開業後初のGWということもあって取り扱いが増えた。伊勢志摩と出雲は遷宮の年であり、関心が高まった」としている。

 また、曜日配列の悪さから北海道や沖縄などロングステイへの影響が心配されたが「結果を見ると、前年割れだったものの、そこそこ健闘した」という。

 日本旅行の受注状況(人員ベース)は国内が前年同期比107%、海外は85.5%だった。

 国内では首都圏(119%)、東北(110%)が2ケタ増と好調。首都圏については「昨年からのスカイツリー効果に沸く都内近郊エリアが、TDR30周年イベントも相乗効果となった。東北は『八重の桜』『あまちゃん』などのドラマ効果も手伝って非常に好調に推移した」という。

 このほか、関西、京阪神、中四国なども都内発のJRセット商品が堅調だったとしている。

 阪急交通社の取扱実績(人員ベース)は国内旅行が前年同期比110%、海外は85%で「海外から国内へシフトした」と広報課。「中国への旅行が前年に比べて急激に落ち込んでおり、いまのところ回復の兆しが見えない」という。

 国内を見ると、北海道、北陸・甲信越、東海、近畿方面が好調で、東北は前年並みで推移。国内が2ケタ増になったとはいえ「旅行に関しては景気回復の影響は感じられない。特に海外に関しては今後過度の円安が懸念される」としており、慎重な見方を崩さない。

 「国内旅行は日並びの良さと円安基調から需要は堅調だった。前年同期比110%」というのはジャルパック。「TDR30周年効果もあり、特に関東は約130%で好調だった」とし、ウェブ予約が増加したことも今年の特徴として挙げる。

 ANAセールスは「国内旅行は堅調に推移し、前年同期比105%となった」という。方面別に見ると、中国四国が120%、北海道111%、北陸109%、関東、九州が107%、沖縄が102%となっている。

温泉・観光地
前年以上の人出に TVドラマ効果も

 群馬県・草津温泉は、GWの宿泊客数が前年同期比で約4%増加した。旅館協同組合によると、前半より後半に集中し、3日以降の客室稼働率は90%を超え、4日は98%に達した。GW直前に新しい共同湯「御座之湯」がオープンし、利用者も多かった。震災で「絆」がクローズアップされ、昨年まではファミリー層が多かったが、今年はカップル客や小グループが目立った。

 三重県の伊勢神宮は今年、式年遷宮でにぎわう。日並びの良さと連日の好天に恵まれ、参拝者数は前年比144.6%の大幅な伸びとなった。伊勢志摩地域も入り込み数を大きく伸ばしたと見られる。鳥羽市温泉振興会では「客単価が上がった印象はないが、人員増でカバーしている」と指摘した。

 岩国錦帯橋空港が昨年12月に開港した山口県岩国市。岩国観光協会では「天候に恵まれ、錦帯橋は最高の人出」。一方で、オフシーズンを含めて、空港からレンタカーなどを使った周遊観光の促進が集客拡大のかぎとし、広域連携などを今後の課題に挙げている。

 別府温泉がある大分県別府市。市観光協会は「国内旅行の好調さが盛んに報道されているが、GWも好調が続いているようだ」。市観光課によると、観光施設(10施設)は天候にも恵まれ、集客数が増加。一方で、旅館・ホテル(30施設)の宿泊客数は減少。「別府は関西や首都圏からの観光客が比較的多い。今年のGWは曜日の配列が悪く、遠方からの客が少なかったと思われる」(市観光課)。

 栃木県日光市は、GW全体では昨年並みかそれ以上の集客と見られる。日光地区観光協会連合会では「GW前半は好調。途中平日があったので、後半はどうかと思ってはいたが、昨年並みの集客があった」。また、インバウンドも、円安がプラスに働き、台湾とタイからの旅行者が目立っているという。

 東北はGW期間中、雨や冷え込みなど天候に恵まれなかった日があり、桜の開花に影響が出た地域もある。しかし、テレビドラマの舞台となった地域は好調。NHK大河ドラマ「八重の桜」で盛り上がる福島県会津若松市。鶴ヶ城天守閣は4月27日〜5月6日の入場者数が6万9577人に達し前年比125.5%に。NHK連続テレビ小説「あまちゃん」で話題の岩手県久慈市は、主要な観光施設・イベントの入り込みが大幅に増加し、道の駅「やませ土風館」は前年から倍増した。



近ツー、夏のメイトは家族を重視
家族向け夏商品のパンフレット

 近畿日本ツーリストグループは10日、東京都港区の品川プリンスホテルで「夏のメイト商品説明会」を開催した。造成担当者からは、社内で製販一致の「こどもの夢かなえますプロジェクト」を立ち上げ、小学生以下の子どもがいるファミリー層を重視した商品展開を行うことが明らかにされた。

 説明会には、近畿日本ツーリスト個人旅行販売の販売店配属社員を中心に120人が出席した。

 近畿日本ツーリスト個人旅行の田中亮・旅行事業本部国内担当部長が、プロジェクト発足やテーマ性の高い3種類の商品投入、素材型商品からパッケージ型商品への移行など、今夏の重点施策を紹介。

 この後、各商品の造成担当者が、早く申し込むと子ども料金が割引になる「早割」やメイトオリジナル「宝探しゲーム」の導入、家族向け商品のパンフレットにプロジェクトのロゴを入れるなどといった家族向け商品の特徴を説明した。

 特にプロジェクトは、家族客取り込みに力を入れる近ツー個人の今夏の目玉施策。テレビ番組を参考にしたり子どもを対象に入念なリサーチを行ったりした上で企画を練り上げ、造成につなげた各種商品が出そろった。

 説明会後には「北海道・沖縄 メイト夏商品決起大会」が開かれた。説明会出席社員に加え、近畿日本ツーリスト協定旅館ホテル連盟の北海道、沖縄両連合会、近畿日本ツーリスト全国ひまわり会の関係者らも出席して、北海道、沖縄商品増売達成を誓い合った。



ANTAとJATA、ロンボク観光促進へ
ERIA議連とアセアン観光を考える会

 全国旅行業協会(ANTA、会長=二階俊博衆議院議員)と日本旅行業協会(JATA)は、東アジア・アセアン経済研究センター(ERIA)が実施した加盟国訪問団に参加し、インドネシアのロンボク島を4月25日に訪問。ロンボク島の観光を日本市場に売り込みたいとするインドネシア政府の要請に応え、両団体が協力して送客に努める考えを示した。

 ERIAは東アジアの経済統合を推進するための政策研究・提言を行う国際的機関で、元経済産業相の二階会長がイニシアティブをとって、「東アジア版OECD」として2008年に設置。ASEAN諸国と日本、中国、韓国など計16カ国が参加している。

 訪問団は「ERIAを支援する超党派議員連盟」のメンバーと、各国との経済関係強化に関心の高い企業の関係者で構成。二階会長はERIA議連の会長を務める。

 インドネシア政府との会合は「ERIA議連とアセアン観光を考える会」として開かれ、ERIA議連では林幹雄、伊藤忠彦の両衆院議員も出席。これにANTAの徳永雅典副会長ら4人、JATAの菊間潤吾会長ほか、JTB、近畿日本ツーリスト、日本旅行の会員など10人が加わった。

 会で二階会長は「先日訪日されたインドネシアのギナンジャール大統領諮問委員会委員は、ぜひロンボクを見てほしいと繰り返し話されていた。JATAとANTAが力を合わせ、国土交通省などの指導を得ながら、皆さんの注文にこたえていきたい」と強調。インドネシアのイ・グデ・ピテナ観光創造経済省観光資源創造経済局長官は「ロンボクにはたくさんの自然観光資源がある」などと語り、来訪を歓迎した。

 また、菊間JATA会長らは「日本マーケットの現状と課題」について説明した。

 ANTA、JATAの一行は、前日の24日にはバリ島を視察。バリ島の観光関係者と観光促進の意見交換も行っている。



ウィラートラベル、女性、初心者向けの富士登山プラン発売
 ウィラートラベル(ウィラー)はこのほど、初心者や女性が安心して楽しめる、富士登山プランを3コース発売した。ウィラーの富士登山ツアー参加者は10年に6300人だったのが12年には1万300人に増加。そのうち約6割が女性で、初心者も多いことから、専任ガイドが同行するプランなどを企画した。

 今回発売された「まるごと富士登山」と女性限定の「女性安心富士登山」は、ご来光を見るための夜間登山が短くて済むよう、仮眠場所を本8合目の山小屋に設定。日中もゆっくりと時間をかけて登るので高山病になりにくく、余裕を持った登山が楽しめる。山梨県富士吉田市に登録された富士登山専任ガイドが同行するので、ペース配分や歩き方の指導、緊急時の応急処置や天候悪化の際の判断など、安心して登頂できるようサポートする。

 女性限定コースは、バスの座席で隣が女性になるよう配慮した。山小屋での仮眠の際も「女性安心エリア」を用意した。

 また、全てのコースに、雨具や登山靴などの道具がレンタルできるオプションを付けた。初めての登山でも道具をそろえずに気軽に富士登山に挑戦できる。

 催行日は6月29日から9月22日まで。料金はコースによって異なる。



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