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観光行政 ■第2711号《2013年7月13日(土)発行》
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若者旅行の振興策表彰、観光庁長官賞はトリッピース
6月27日に表彰式が行われた(観光庁で)
“旅離れ”が指摘される現代の若者に旅行に出てもらいたい—。観光庁は、若者旅行の活性化につなげる地域や企業の優れた取り組みを表彰する制度をつくり、第1回の受賞者をこのほど発表した。長官賞として、ソーシャルメディアで旅の企画を募るウェブサービスを運営しているtrippiece(トリッピース)を表彰。このほか奨励賞などの各賞を選んだ。
「今しかできない旅がある」をキャッチフレーズに昨年12月から今年2月にかけて取り組みを公募した。応募は全国から61件。有識者をメンバーとする審査委員会(委員長・廻洋子淑徳大学経営学部教授)で選考した。
長官賞のトリッピースは、フェイスブックを利用し、登録者に旅行企画のイメージを投稿してもらう。例えば、「アマゾン川でピンクのイルカと遊ぶ」「ラオスで象使いになる」などの発案に対し、共感した人がともにプランを作成していく。ツアー化は旅行会社に依頼している。
トリッピースについて審査委員会は「若者の漠然とした旅行ニーズを具現化し、ビジネスベースに乗せる仕組みを構築した」「多数の若者を現に旅行に送り出している」と高く評価した。
奨励賞には、全国各地のスキー場に呼びかけて19歳のリフト料金を無料にする「雪マジ19〜SNOW MAGIC〜」を主導したリクルートライフスタイル、茨城県大洗町を舞台とするアニメ「ガールズ&パンツァー」を活用した観光振興に取り組んだOaraiクリエイティブマネジメント、世界一周に関するイベントを手がける世界一周団体TABIPROの3団体を選んだ。
奨励賞のうち、Oaraiクリエイティブマネジメントの取り組みは、アニメ作品の企画段階から地域関係者が参加した点を高く評価。地域振興につながる事業を手がける同社の常盤佳心彦氏は「作品をきっかけに大洗を訪れる若者が増えた。旅行者と住民の間にはコミュニケーションも生まれている」と話した。
このほか地域ごとのブロック賞に4団体。福島の大学生が主体となって福島の良さを伝えるスタディーツアーを実施したスタ☆ふくプロジェクト、独身男性グループをターゲットに滞在プランに工夫をこらした「はっちゃけ野郎旅」を企画した群馬県のみなかみ町観光協会、お笑い芸人に移住してもらいイベントなどを活性化させた愛知県の犬山市観光協会、大学生に中心になってもらい有馬温泉でイベントなどを行う「ゆけむり大学」を展開している有馬温泉観光協会が受賞した。
東北の観光需要、未回復 観光庁宿泊統計で
観光庁がこのほど発表した宿泊旅行統計調査の結果で、2012年の外国人を含む年間延べ宿泊者数(確定値)は4億3950万人泊となり、11年に比べて5.3%の増加、10年に比べて3.2%の増加となった。全国的には東日本大震災前の水準に回復した。ただ、東北や北関東では、観光客を中心とする宿泊施設に限ると、震災前の水準を大幅に下回っている地域が多かった。
観光、ビジネスなど宿泊目的を問わず、旅館、ホテル、簡易宿所などに調査し、全体を推計している。10年第2四半期からは調査対象を従業員数10人未満の施設にも拡充した。それまでは10人以上の施設が対象だった。過去との比較は、11年比は10人未満の施設を含む数値、10年比は10人以上の施設の数値を使用している。
12年の延べ宿泊者数が震災発生前の10年の数値を下回ったのは15県。このうち減少率が2桁だったのは、10.6%減の栃木県、12.7%減の奈良県、10.2%減の高知県。奈良県は平城遷都1300年祭の反動、高知県はNHK大河ドラマの集客効果の反動があるとみられる。
東北6県の12年の延べ宿泊者数は10年と比較すると3.3%の増加だったが、震災復興関係のビジネス需要による上積みがあり、観光需要は依然厳しい状況だったとみられる。観光客を中心とする宿泊施設(観光目的の宿泊者が50%以上)に限ると東北6県で14.9%の減少となり、県別では岩手県が0.1%増だったほかは、福島県が27.0%減、秋田県が26.9%減、宮城県が11.2%減、山形県が11.2%減、青森県が1.3%減だった。
北関東(茨城、栃木、群馬の3県)の延べ宿泊者数は、10年比で4.1%の減少。観光客を中心とする宿泊施設に限ると11.8%の減少となり、県別では茨城県が25.6%減、栃木県が15.9%減、群馬県が3.1%減だった。特に茨城県、栃木県は下げ幅が大きかった。
一方で、全国累計の延べ宿泊者数のうち外国人は2631万人泊で、11年比42.9%増、10年比8.5%減となった。宿泊者全体に占める外国人の割合は6.0%。10年の数値を上回ったのは西日本を中心とする15府県。東北各県は30〜60%台のマイナスだった。
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