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旅館・ホテル ■第2712号《2013年7月20日(土)発行》
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上半期の旅館・ホテル倒産、前年並みの55件
帝国データバンクによると、今年上半期(1〜6月)のホテル・旅館経営業者の倒産(負債1千万円以上の法的整理)は55件で、前年同期と同数になった。月ベースでは平均9.2件で、年間100件を上回るペースで推移している(前年は109件)。「リーマン・ショック後の景気低迷や東日本大震災による観光不況の影響を受けて客足が減少するケースや、過去に設備投資として借り入れた金融債務が経営を圧迫するケースが散見される」(同社)。
負債総額は451億2200万円で、前年同期比0.2%減少した。
倒産件数を地域別にみると、中部が12件で、構成比21.8%とトップ。以下、関東10件(同18.2%)、近畿8件(同14.5%)、東北と九州が各6件(同10.9%)と続く。2010年以降は中部が最多となっており、近年の倒産は同地域に集中している。
都道府県別では北海道、栃木、長野が各4件で最多。「北関東では東日本大震災の影響により倒産に至るケースが多く、今後も同地域を中心に震災関連倒産が出る可能性はある」(同社)。
規模別では、負債「1億円以上5億円未満」が20件で最も多い。「5億円未満」の倒産は全体の67.3%を占めた。負債50億円以上の大型倒産は2件発生している。
態様別では、破産が42件、構成比76.4%と最も多い。特別清算の7件と合わせて事業継続を前提としない清算型の倒産が89.1%となった。
旅館協会のオープン・ウェブ、12年度取扱額は2740万円
日本旅館協会が会員旅館・ホテルを対象に稼働している宿泊プラン販売の支援システム「オープン・ウェブ」の2012年度の取扱実績は、宿泊予約サイトなど4つの販売経路の合計で563件、2740万4千円となった。参加施設が負担するシステム使用料率(手数料率)を5%に抑えつつ、販売拡大を後押しする事業として今後も推進していく。
オープン・ウェブは、個々の旅館・ホテルが通常利用している予約エンジンと旅館協会のシステムを接続することで、提携先の宿泊予約サイトなどから各施設に予約を呼び込む仕組み。旧国際観光旅館連盟が昨年4月に稼働を開始し、旅館協会に運営が引き継がれている。現在の参加施設数は220軒。
旅館協会が提携している販売経路は、宿泊プランを横断的に比較検索できる旅行情報サイト「トラベルコちゃん」を運営するオープンドアをはじめ、エイチ・アイ・エス、旅キャピタルなどの4社。今年度は、7月に入ってベネフィット・ワンも加わった。
参加施設の負担は、提携サイトに支払う手数料とシステムの維持管理費を合わせ、システム使用料率として成約ごとに5%に抑えている。大手のオンライン・トラベル・エージェント(OTA)などのシステム利用料率より少ない負担で販売できる。参加施設は専用プランを作ったり、客室在庫を出し入れしたりする必要もなく、管理の負担も増えない。
オープン・ウェブ事業に取り組む背景の一つには、オンライン宿泊予約の寡占化への懸念がある。特定のOTAへの依存が進めば、旅館・ホテルは手数料率の引き上げなどに応じざるを得ない。宿が自社の予約エンジンから多様な販路に一定の手数料率で販売できる環境を確保し、宿泊需要を拡大する狙いがある。
6月28日に東京都内で開かれた旅館協会の通常総会では、オープン・ウェブ事業を担当するIT戦略委員会の針谷了委員長(滋賀県・湯元舘)が「新規の販売経路として10社程度と提携の交渉を進めている。いずれは取扱額を10億円にしたい。協会加盟のメリットを感じてもらえる事業にする」と述べ、会員施設に参加を呼びかけた。
オープン・ウェブの接続には、旅館・ホテルが6種のうちいずれかの予約エンジンを使用している必要がある。接続可能な予約エンジンは、予約プロ(アビリティコンサルタント)、リザーブゲート(ナバック)、宿シス(ウイング)、ヤドバンス(スペースキー)、予約番(キャディッシュ)、てなわん(福井コンピュータ)。
日本の宿を守る会会長に四季彩一力の小口氏
小口憲太朗会長
朝日旅行会の部会の一つ、日本の宿を守る会(48会員)は10日、美ヶ原温泉(長野県松本市)の旅館すぎもとで通常総会を開いた。任期満了に伴う役員改選では、3期(6年)会長を務めた藤沢秀悟氏(藤井荘)に代わり、小口憲太朗副会長(四季彩一力)を選出した。
冒頭あいさつした藤沢会長は「会は入っていればいいものではなく、自分で勉強しないとどうにもならない」と指摘し、「会に来て仲間と意見交換し、情報を持ち帰って形にして生業を先につなげていく。そういう会にしなければいけない」と会員の心構えを説いた。
今年度は、(1)スタンプを通した顧客の相互紹介活動の徹底(2)花屋(別所温泉)で、登録有形文化財に登録されている施設の見学とおもてなしの研修会を9月に実施(3)総合パンフレットの改訂版作成—などに取り組む。
小口新会長は「東日本大震災以降、リフレッシュ目的だった旅行が、大切な人との絆を深めるものに変化し、地域の文化や人と交流を求めるニーズも強くなった」と強調、その上で「会が創立以来大切にしてきた理念『旅はなさけ』の心を添えたおもてなしをちゃんとやっているかということがこれからの時代に問われる」と述べた。また、情報発信の弱さを指摘し、「新しい試みをして活性化していかなければならない」と述べた。
来賓として、日本秘湯を守る会の岡村興太郎副会長、朝日旅行の井沢啓社長、河野雅巳取締役が出席、あいさつ。
井沢社長は「32年前、会が発足時に掲げた『旅館文化を守り、おもてなしを信条とする日本の宿を守り継承すること』がピタリと会う時代になった」と述べ、810万人といわれる団塊の世代が昨年から65歳を迎え、第2の人生で日本の良さをもう一度振り返ろうとしている状況を挙げ「現状は追い風が吹いている」とした。
また、「会は、宿の個性は違うが、日本の伝統文化、伝統の宿を守ろうとする理念で結びついた団体であり、生き残るためには会のブランド力を確立しなければならない」と会のブランド力の向上を強く呼びかけた。
河野取締役は「朝日旅行は地域を点ではなく面で売っている。面で作る旅行の一番大切なものは旅館であり、旅館を通じて日本の良さや文化を広く伝えたい」と語った。
近旅連の支部間交流事業懇親会に神奈川県知事出席
祝辞を述べる神奈川県の黒岩知事
近畿日本ツーリスト協定旅館ホテル連盟(西野目信雄会長)は12日、横浜市中区の大さん橋ホールで支部間交流事業懇親会を開催し、全国から集まった会員とKNT—CТホールディングスの戸川和良社長ら経営陣、幹部社員ら計400人が参加した。また、来賓として神奈川県の黒岩祐治知事や横浜市の鈴木隆副市長ら、地元行政の幹部も出席した。
あいさつに立った黒岩知事は開口一番「こういう会があるのですね…」。続けて“おもてなしのプロ”を地元に迎えた緊張感を語った上で「われわれはこの神奈川で経済を回すのは観光だと強く訴えています。観光の力、おもてなしの心は日本の力。ともに頑張りましょう」と訴えた。
近旅連の支部間交流事業は年1回、全国各地の会員を一堂に集めて情報交換と交流を目的に実施するもので、今回で10回目、首都圏で行われるのは2回目となる。会員らは懇親会の前に、大磯町でのゴルフ大会や東京スカイツリー見学などに分かれて親睦を深めた。
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