第23回参議院選挙は21日投票、即日開票され、自民党は65議席を獲得し、大勝した。公明党も11議席を獲り、与党で非改選を含め計135議席と参院の過半数(122議席)を確保した。これにより、衆参の多数派が異なる“ねじれ”状態は3年ぶりに解消され、速やかな政策が実現できる環境が整った。観光業界からは「これで政治がようやく安定する。観光立国実現に向け、スピードを持ってしっかりと取り組んでもらいたい」と期待の声が上がっている。
自民党の65は現行の選挙制度で過去最多の議席数。事実上の自民独り勝ちとなった。同日夜のテレビ各社のインタビューで安倍晋三首相は、「決める政治、安定した政治で経済政策を前に進めていけという(国民の)声をいただいた。責任を持って(政治を)前に進めたい」と語った。
公明党は目標の改選10議席を上回った。民主党は改選44議席が17議席に激減、存在感の低下を一段とあらわにした。
午後8時から始まったテレビ東京の選挙特番。放送開始直後、一番先に「当確」が出たのが群馬選挙区の山本一太氏。早々と4選を果たした。58万144票を集め、2位の民主新人に約46万票の差をつける大勝だ。自民現職(沖縄北方担当相)の強さと知名度の大きさを改めて見せつけた。
山本氏は「実体経済は良くなっているが、景気回復の実感が届いていない人がいる。安倍内閣の閣僚の一人として、景気が全国津々浦々まで浸透するよう首相を支えていく」と抱負を述べた。
観光関係者らが立候補予定者に観光政策を聞くという、初めての試みで注目されたのが北海道選挙区。「北海道の観光政策を直接聞く会実行委員会」(事務局・JTB北海道本社内)の主催によるもの。
出席した5氏のうち、「道観光振興特別措置法の提案へ準備を進めている」とした自民現職の伊達忠一氏(90万3693票)と、「体験型アクティビティやオプショナルツアーを創造することが大事」などと主張した民主現職の小川勝也氏(58万3995票)が当選した。
日本維新の会から比例区で立候補した秋田県旅館ホテル生活衛生同業組合の松村譲裕氏(ユーランドホテル八橋社長)。地方と都市の格差の問題を挙げ「地方が相当劣化してしまっている。これを直さなければならない」などと主張して選挙戦に臨んだが、落選した。
衆院議員を2期務め、国土交通と厚生労働の両政務官などを歴任した比例区の金子善次郎氏も涙をのんだ。
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全旅連の佐藤信幸会長は22日、参院選の結果を踏まえ、次のように述べた。
「われわれが推薦した観議連(自民党観光産業振興議員連盟)の先生と中央会(全国生活衛生同業組合中央会)が推薦した先生が無事当選できてよかった。今後もわれわれの業界にいろいろとご指導いただきたい。秋田県旅館ホテル生活衛生同業組合理事長の松村譲裕さんは残念だったが、今後も一生懸命、業界のために活動したいといってくれている」