福島県観光物産交流協会は来年1月17日、東京・平河町の都道府県会館で、首都圏の学校や旅行会社を対象に「教育旅行誘致セミナー」を開催する。教育旅行で県を訪れる学校数が東日本大震災前の水準に戻っていない現状を踏まえ、講演や教育旅行を実施した学校の事例発表を通じて、誘致につなげる。
長崎大大学院放射線医療学専攻教授の高村昇氏が「放射線被ばくと健康影響」をテーマに基調講演。県への教育旅行実施校からの事例発表では品川区立荏原第一中学、和洋国府台女子中学の2校が行う。このほか語り部による震災講話などが予定されている。
参加費無料、定員80人。問い合わせは同協会。TEL024(525)4024。
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同協会によると、教育旅行については年間約70万人(延べ宿泊者数)を受け入れてきたが、東日本大震災と原発事故による風評被害などで11年度は約13万人まで減少。12年度は約24万人まで回復したものの、「(教育旅行を)取り巻く環境は依然として厳しい状況にある」という。
福島への教育旅行については、放射線に対する不安が敬遠理由の一つとして挙げられるが、県では冊子の製作や測定結果の積極的な公表などで不安払拭に努めている。11月5日公表した測定結果によると、いわき合同庁舎や猪苗代町役場などは0.07マイクロシーベルトで、東京都新宿区の都健康安全研究センターの0.04マイクロシーベルトと大差はない。
同協会の野崎和彦・教育旅行推進課長は「県内の多くの地域では放射線の影響はなく、人々は日常の生活を送っている。安心して来てほしい。また、福島のいまをぜひ見てほしい」と呼びかけている。