全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会、日本旅館協会、日本ホテル協会、全日本シティホテル連盟の4団体は11月20日、自民党観光産業振興議員連盟(細田博之会長)の総会に出席し、「最重点要望項目」として、ホテル・旅館の建物に係る固定資産評価の見直しを改めて求めた。2015年の評価替えの際に見直しが決まっている建物の評価額について、評価の下限となるまでの年数を50年から36年に短縮するよう要望。これを受け観議連は「現行の50年よりも大幅に短縮すること」とする決議を採択した。年末の税制改正大綱の策定を視野に、関係省庁などに強力に働きかけることを確認した。
旅館・ホテルの建物に係る固定資産評価は、2015年度に建物の使用実態に即した形で見直すことが2011年12月10日に閣議決定されている。
これを受けて全旅連などは適正な評価基準の策定に向けて傘下の旅館・ホテルで実態調査を実施。鉄筋コンクリート造りの場合、資産評価額が最低(建築当初の2割)となるまでの経過年数を現行の50年から36年とすることが妥当だとした。
下限となるまでの経過年数が短縮することにより、資産評価額が目減りするペースが速くなり、旅館・ホテルに係る固定資産税の負担が軽減される。
ただ、総務省では、経過年数について48年が妥当だとするなど、旅館・ホテル業界との間で意見の隔たりがある。
全旅連の佐藤信幸会長は「固定資産評価における建物分類はホテル・旅館は百貨店、劇場、娯楽施設と同じ。われわれはそこに疑問を持っている。それに対して公衆浴場は鉄筋鉄骨造で経過年数35年。旅館・ホテルは大浴場もあり、むしろこちらの方が近い」などと述べ、経過年数36年の妥当性を主張。
観光庁、厚生労働省からは同件にかかわる総務省との調整状況を説明。「ホテル・旅館の厳しい状況を踏まえて、少しでも年数が短くなるよう、最大限努力しているところだ」と述べた。
観議連では「ホテル・旅館の用に供する建物に係る固定資産評価の見直しについては、経過年数を実態に即して見直した上で、次の評価替えである平成27年より実行すること」「経過年数の見直しにあたっては、固定資産評価額が下限に到達する年数を現行の50年よりも大幅に短縮すること」の2点を決議。「幹部の預かりとさせていただき、タイミングを見て、関係省庁に申し入れをさせていただく」とした。
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このほか宿泊各団体は、2014年度の税制改正要望を提出。全旅連と日本旅館協会は連名で10項目を要望した。
10項目の要望は次の通り。
「交際費については、非課税とされたい」
「消費税法の一部改正に際し、増税分を転嫁し易くする為に『消費税転嫁対策措置法』により、平成29年3月31日迄外税表示が認められましたが、平成29年4月1日以降も引き続き外税表示を認められたい」
「入湯税は廃止されたい。廃止迄の間は、その使途を『観光振興』と『鉱泉源の保護・管理』に限定されたい」
「事業所税を廃止されたい」
「国内旅行費用について所得税控除措置を講じられたい」
「建築物の耐震改修を推進するための特例措置の創設(固定資産税)」
「印紙税の廃止」
「国際観光ホテル整備法に基づく登録旅館・ホテルに係る固定資産税及び不動産取得税の軽減措置の完全実施」
「国際観光ホテル整備法における登録ホテル・旅館の減価償却期間等の見直しをされたい」
「外客誘致に向けた輸出物品販売場における外国人旅行者への消費税免税措置について、対象品目の拡大と免税手続きの簡素化を図られたい」