観光庁、多言語対応に指針、400以上の対訳も掲載 |
観光庁はこのほど、外国人旅行者の受け入れ環境整備の一環で、「観光立国実現に向けた多言語対応の改善・強化のためのガイドライン」を策定した。美術館・博物館、自然公園、観光地、道路、公共交通機関などに共通する対応が対象。表記方法の詳細のほか、400以上の用語・文例の対訳を掲載する。
使用言語は英語を基本に、施設や地域の特性を踏まえ、必要性が高い他の言語でも表記することが望ましいと指摘。表記方法では、英語、中国語(簡体字)、韓国語に関して、固有名詞と普通名詞、ローマ字の使い方の詳細などを紹介する。
対訳の一覧では、一つの用語、文例に対し英語、中国語、韓国語を記載している。
英語表記の一例では、「温泉」に関して現状では「Onsen」「Hot Spring」「Spa」が混在しているが、日本固有の温泉文化を正しく表し、すでに海外の旅行ガイドブックなどに定着している「Onsen」への統一を提案している。 |
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熊本市、マレーシアに代表団 |
イスラム圏からの観光客を増やすため、熊本市は今年度から「ハラール(ハラル)」についての本格的な取り組みを始める。まず始めに9日から、幸山政史市長を団長とする経済訪問団をマレーシアに派遣し、日本の自治体では初めてマレーシア政府機関「ハラール産業開発公社(HDC)」と覚書を締結する。
市国際課によると、訪問団は市内や阿蘇地区の旅館・ホテルとJTB九州などの観光事業者のほか、飲食業や製造業、県、熊本大学などの関係者33人で構成。12日までの日程で、HDCとの覚書締結のほか、ハラール関連商品見本市や現地のホテル、事業所の視察やインセンティブツアーの誘致、トップセールスなどを行う。
マレーシアは、アジア地域のイスラム圏の中核となり、全世界のハラール市場でビジネスを進める「ハラール・ハブ」を目指している。公的なハラール認証団体「ジャキム(JAKIM)」を備えるなど、ハラールに関する公的機関が整っている。
その中でもHDCは、ハラール概念の啓発や認証のためのトレーニングなど、ハラールに関する政策を統括する同国政府国際貿易産業省の直轄機関で、日本の自治体が直接HDCと覚書締結を実現するのは画期的という。覚書では今後のセミナー実施などの協力関係について定めている。
市内では観光業界を中心に「日本国内にはハラールに関する団体が複数あり、まずどこに相談して何をすればよいか分からない」との声が市に多く寄せられていたという。そこで市は「まずは行政としてできることから始める。外国政府など公の組織が施策を担当していることは信用度が高い」(同市のアジア政策を担当する杉本幸生・上海事務所長)として、今年度から予算を付けてハラールに関する取り組みを行い、まず始めにHDCとの関係を深めることにした。
市は今秋までをめどに、観光・飲食業界を対象にしたインバウンドマニュアル「ハラールガイドライン」やハラール対応店舗を紹介するマップを策定するとともに、HDCから講師を招聘して観光、製造など各業界別のセミナーを開催する。さらにマレーシア最大の旅行博「MATTAフェア」への出展を通じて、熊本がハラール対応を進めていることをPRして誘客を呼びかける。 |
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