日本温泉協会(大山正雄会長=学術部幹事委員、約1400会員)は6月24日、四万温泉(群馬県中之条町)の四万グランドホテルで会員総会を開き、2014年度事業計画・予算案などを審議、承認した。任期満了に伴う役員改選では大山会長を再任した。来年は新潟県村上市の瀬波温泉で開催する。
群馬での総会は1993年の草津温泉以来。総会には来賓、会員合わせて約200人が出席。式典であいさつした大山会長=写真中央=は、会員数減少による財政の悪化で「(協会運営は)厳しい状況にある。財政の健全化と組織の建て直しが重要な課題だ」と述べる一方、「温泉は外国人観光客に人気がある。政府の観光立国実現の一翼を担いたい」と意欲を示した。
大山会長によると、(1)国際ホテル・レストランショーへの出展中止(2)機関紙「温泉」の発行回数削減(年6回から4回へ)(3)事務局体制の見直し(人員削減)—などに着手するとともに、役員の役割と委員会を再構築する。
委員会については新たに「財政・経理」(八木真一郎委員長)、「行事」(笹本森雄委員長)、「女性部」(小口潔子委員長)などを設けるとした。
来賓として、折田謙一郎・中之条町長、環境省の森豊・自然環境整備担当参事官、関東運輸局の鈴木史朗・企画観光部長らが出席、あいさつ。折田町長は「町の一番の魅力は九つの温泉があること。中でも、四万は国民保養温泉地の第1号として指定された」と紹介した。
14年度は、(1)組織の見直しと財政の再建(2)地熱関連の動向についての情報収集と対応(3)ホームページの改善による宿泊予約サイトの内容の充実—を重点目標に掲げ、新入会員の拡充、「日本温泉クラブの集い」や「温泉塾」の開催、協会会員証の検討などに取り組む。
役員改選では、小口女性部委員長(四季彩一力)と多田計介常務理事(美湾荘)が新たに副会長に就いた。永年勤続役員会長表彰では常務理事で箱根町長の山口昇士、理事で鶴の湯温泉社長の佐藤和志両氏の功績をたたえ表彰した。
総会後の情報交換会には中曽根弘文元外相(群馬県選出)が出席。全国温泉振興議員連盟の会長に就任したことを報告するとともに、協会の活動に期待した。
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総会に先立ち、学術部幹事委員の前田真二氏が「地熱発電が及ぼす人体への影響」と題し、公開講演した。
前田氏は「地熱発電は地下から発電に使う水蒸気のほかに、硫化水素やヒ素などの有害物質を含んだ熱水を汲み上げる」「使用後の熱水は地層に戻されるが、その地層部分の化学物質などの蓄積による人体や環境への影響も問題になる」と指摘。その上で、「これらの危険性を国民にも十分知らせるべきだ」などと主張した。