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旅館・ホテル ■第2757号《2014年7月5日(土)発行》    
 

旅館協会会長に湯元舘の針谷氏
抱負を述べる針谷新会長

 日本旅館協会の2014年度通常総会が6月26日、東京都千代田区の帝国ホテルで開かれた。議事では、監事の会計・業務監査が終了しなかったとして、13年度の事業・決算報告が上程されず、審議できない異例の事態となった。役員改選では、任期満了に伴い近兼孝休会長が退任し、新会長に針谷了氏(湯元舘、滋賀県・おごと温泉)が選出された。針谷会長は、協会運営の正常化に取り組み、会員にとって有益な事業の推進に注力する考えを示した。

 日本旅館協会は、日本観光旅館連盟(日観連)と国際観光旅館連盟(国観連)が合併して12年10月に発足。今期で3年度目を迎えた。

 会計・業務監査については、4人の監事のうち和田正隆氏(弁護士)と金子輝男氏(公認会計士)が発言した。和田氏は「事業・決算報告を受けたのが6月11日。法律では4週間の余裕がないといけない。時間が足りず、監査未了との意見を出した」。金子氏は「4日間にわたって会計帳簿はチェックした。他の監事は時間がないということで、監査報告は出さないことになった」と説明した。

 監査未了に伴い事業・決算報告の上程見送りを総会前の理事会で決定。執行部からは、監査未了以外に説明はなかった。近兼会長は「合併から2年足らず。不徳のいたすところ」と釈明。冒頭のあいさつで近兼会長は、具体的な案件は挙げなかったが、「正副会長会、理事会で決定していないこともある。同じ旅館業、同じ仲間。必ずや解決し、前に進んでいくべき」と述べていた。

 事業・決算報告については、書面で決議を得る「書面総会」などの形で後日承認を受ける方針を総会前の理事会で決めた。会員1人が今総会で審議できない事態に疑問の声を挙げたが、それ以上の質疑はなく、了承された。今後の対応は新執行部に引き継がれる。

 役員改選では会長らを選出した。協会設立以降の会長職は、12年度を佐藤義正氏、13年度を近兼氏として合併前の両団体の会長が交互に務める取り決めだったため、総会で会長を選出するのは実質的に初めて。

 会長は総会で選任された理事の中から理事会で選出。新理事による総会への報告によると、会長職に2人が立候補したため、投票を実施して選出した。投票結果は、針谷氏が33票、中村一氏(滝元館遊季の里、岐阜県)が21票だった。

 選出された針谷会長はあいさつに立ち、「私の使命は三つある。一つ目は協会の正常化。大変な問題だが、必ずやり遂げたい。二つ目は会員のための事業推進。三つ目は、観光立国に貢献する団体にしていくこと。同時並行的にスピード感を持ってこの三つに取り組みたい」と抱負を述べた。

 14年度の事業計画案、予算案は、決算報告などが未承認のため、予算の繰越金を除いて承認した。本部役員の選任規定も改正し、正副会長職に70歳定年制を導入したほか、1期2年の役員任期について、会長の再任は1回限りとすることなどを決めた。

 また、役員改選では、本部の事務を担当してきた中村義宗専務理事、小関政男常務理事は理事に再任されなかった。

 総会後の懇親会では、新旧会長がそろって檀上に上がり、針谷会長が、近兼前会長の労をねぎらった。来賓として騠木毅・国土交通副大臣、高市早苗・自民党政調会長、赤沢亮正・自民党国土交通部会長らが駆け付けたほか、観光庁や観光団体の幹部らが出席した。



温泉協会会長、大山氏が続投、新副会長に2氏

 日本温泉協会(大山正雄会長=学術部幹事委員、約1400会員)は6月24日、四万温泉(群馬県中之条町)の四万グランドホテルで会員総会を開き、2014年度事業計画・予算案などを審議、承認した。任期満了に伴う役員改選では大山会長を再任した。来年は新潟県村上市の瀬波温泉で開催する。

 群馬での総会は1993年の草津温泉以来。総会には来賓、会員合わせて約200人が出席。式典であいさつした大山会長=写真中央=は、会員数減少による財政の悪化で「(協会運営は)厳しい状況にある。財政の健全化と組織の建て直しが重要な課題だ」と述べる一方、「温泉は外国人観光客に人気がある。政府の観光立国実現の一翼を担いたい」と意欲を示した。

 大山会長によると、(1)国際ホテル・レストランショーへの出展中止(2)機関紙「温泉」の発行回数削減(年6回から4回へ)(3)事務局体制の見直し(人員削減)—などに着手するとともに、役員の役割と委員会を再構築する。

 委員会については新たに「財政・経理」(八木真一郎委員長)、「行事」(笹本森雄委員長)、「女性部」(小口潔子委員長)などを設けるとした。

 来賓として、折田謙一郎・中之条町長、環境省の森豊・自然環境整備担当参事官、関東運輸局の鈴木史朗・企画観光部長らが出席、あいさつ。折田町長は「町の一番の魅力は九つの温泉があること。中でも、四万は国民保養温泉地の第1号として指定された」と紹介した。

 14年度は、(1)組織の見直しと財政の再建(2)地熱関連の動向についての情報収集と対応(3)ホームページの改善による宿泊予約サイトの内容の充実—を重点目標に掲げ、新入会員の拡充、「日本温泉クラブの集い」や「温泉塾」の開催、協会会員証の検討などに取り組む。

 役員改選では、小口女性部委員長(四季彩一力)と多田計介常務理事(美湾荘)が新たに副会長に就いた。永年勤続役員会長表彰では常務理事で箱根町長の山口昇士、理事で鶴の湯温泉社長の佐藤和志両氏の功績をたたえ表彰した。

 総会後の情報交換会には中曽根弘文元外相(群馬県選出)が出席。全国温泉振興議員連盟の会長に就任したことを報告するとともに、協会の活動に期待した。

◇     ◇     ◇     ◇     ◇

 総会に先立ち、学術部幹事委員の前田真二氏が「地熱発電が及ぼす人体への影響」と題し、公開講演した。

 前田氏は「地熱発電は地下から発電に使う水蒸気のほかに、硫化水素やヒ素などの有害物質を含んだ熱水を汲み上げる」「使用後の熱水は地層に戻されるが、その地層部分の化学物質などの蓄積による人体や環境への影響も問題になる」と指摘。その上で、「これらの危険性を国民にも十分知らせるべきだ」などと主張した。



ホテル南風楼、露天風呂付き客室を10月にオープン

 島原温泉(長崎県島原市)の老舗旅館、ホテル南風楼は10月1日、海が一望できる露天風呂付き客室=写真=をオープンする。7月1日から予約受け付けを始めた。

 露天風呂付き客室として8部屋を新設。広さは45平方メートルで、セミダブルサイズのベッドを配置し、デザインは豪華客船のスイートルームをイメージした。「窓の外には一番の特徴である客室専用の露天風呂付きデッキテラスが目を引き、贅沢な作りにした」という。

 デッキテラスの浴槽は2人が足を伸ばして入ることができる。

 料金は1泊2食付きで1人3万5千円(税別)から。休前日は2700円増し。オープン記念として、12月26日までは平日2万5千円(同)で提供する。



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