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観光行政 ■第2768号《2014年9月27日(土)発行》    
 

外国人宿泊に空き部屋活用、大阪市議会が条例案を否決
 大阪市は、国家戦略特区の指定に基づきマンションやアパートの空き部屋を「宿泊施設」として利用できるようにする全国で初めての条例制定を目指し、市議会に条例案を提案していたが、19日開会の本会議で否決された。宿泊業界からは安全面に疑問があるとして反対の声が強く、今回の市議会の判断を歓迎している。同様の内容の条例案は25日開会の大阪府議会にも提案されているが、府議会でも成立は難しいとみられている。

 市議会都市経済委員会は11日、条例案について自民、公明など野党の反対多数で否決していた。同委員会では、与党の大阪維新の会も賛成せずに保留としていた。野党側は、安全や防犯、衛生面で懸念が残ることを反対理由として挙げるとともに、市に立ち入り権限がないことや罰則規定を設けていないことに強く反発。

 条例案では、国が進める国家戦略特区が関西圏で指定されたことに基づく特例措置として、7日以上滞在する外国人を対象に、フロントの設置や宿泊者名簿の作成などを義務付けた旅館業法の適用が除外されるなどの内容が盛り込まれていた。

 市は府とともに、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ、此花区)やあべのハルカス(阿倍野区)といった観光資源を抱え、統合型リゾート施設(IR)の誘致を目指していることから、外国人向けの宿泊施設の不足が懸念されている。このため、マンションなどの空き部屋を宿泊施設として利用することができる条例制定は、橋下徹市長や松井一郎知事らが前向きだった。

 市観光部観光課は「条例制定は、大阪を拠点に観光客に長期滞在をしてもらうのが目的。今回の市議会での議論を踏まえ、条例案を見直して再チャレンジ(再提出)するかどうか検討を進めたい」と話している。

 今回の府市議会に提案された条例案に対し、府旅館ホテル生活衛生同業組合では反対の姿勢を強めていた。

 6月に松井知事、7月に橋下市長宛てに反対の要望書を提出。7月24日には府と府内の政令指定都市(大阪、堺)、中核市(豊中、高槻、枚方、東大阪)の担当職員を対象に、岡本厚理事長(不死王閣社長)ら組合幹部が意見を述べるとともに、8月5日には松井知事と面会し、改めて反対の意思を表明していた。

 岡本理事長は今回の市議会の議決について「市議会が否決したのは『本丸を落とした』に等しい。府議会もこの結果を受けて(否決に)動くと思うし、東京や兵庫など問題が表面化していない大都市にも大きな波及効果があるだろう」と、今回の結果が全国に与える影響は大きいと話している。


観光マザーファンド第1号は知床グランドホテル 政投銀など
 日本政策投資銀行(東京都千代田区)と事業再生支援ファンドの地域経済活性化支援機構(同)、金融・不動産投資会社のリサ・パートナーズ(同港区)は4月に共同設立した観光に特化した投資ファンド「観光活性化マザーファンド投資事業有限責任組合」の第1号案件として、北海道斜里町の「知床グランドホテル(GH)」に今月5日、融資を行った。

 融資は、同ホテルの本館改装工事に対し、メザニンファイナンス(資本と負債の中間的性質を持つ、若干投資リスクが高い資金。今回は劣後ローン)を実施。観光客増加に向けた工事を支援する。融資額は未公表。

 同ホテルは現在、知床ウトロ温泉で「知床グランドホテル北こぶし」を運営している。

 今回の本館改装工事は8月に完了。ロビーなどのパブリックスペースを全面リニューアルし、さらに、宿泊客の憩いの場として、オホーツク海を望む「オホーツクラウンジ」「足湯テラス」を新たに設置した。



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