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観光行政 ■第2771号《2014年10月18日(土)発行》    
 

JNTOと旅館協会、連携強化へ初の意見交換
日本旅館協会とJNTOの意見交換会(東京都千代田区のJNTO会議室で)

 日本旅館協会(針谷了会長)は10日、旅館のインバウンドへの取り組みを強化しようと、日本政府観光局(JNTO)との意見交換会を開いた。針谷会長、JNTOの松山良一理事長をはじめ双方の幹部が出席。両組織がテーマを設けて会合を持つのは初めて。ホテル業に比べて全体として外国人の旅行需要の取り込みが遅れている旅館業の課題を議論。海外への情報発信などが不十分として、両者が連携して施策を推進することで意見が一致した。

 意見交換会には、旅館協会からは針谷会長のほか、「観光立国委員会」を担当する北原茂樹副会長、鶴田浩一郎委員長、「IT戦略委員会」を担当する宮川和也副会長、小野誠委員長、石橋政治郎副委員長が出席。JNTOは松山理事長のほか、加藤隆司理事、山崎道徳理事らが出席。観光庁観光産業課の石原大課長も同席した。

 旅館協会は、観光立国委員会でインバウンド施策を、IT戦略委員会でウェブの外国語対応を推進する方針。会員旅館の外国人の受け入れ状況は地域間や施設間で差が大きいが、全国平均でみると宿泊人員全体に占める割合(協会の2012年度統計)は3.4%にとどまる。旅館以外の宿泊施設も含めた地方の受け入れ状況も、延べ宿泊者数に占める外国人の割合(観光庁の13年宿泊旅行統計)は、47都道府県の半数以上が4%未満だ。

 意見交換会で針谷会長は「外国人の受け入れのノウハウを会員旅館に広めることは協会の使命の一つだ。どうやって集客し、どう過ごしてもらうか。ゴールデンルートから地方へと全国津々浦々の旅館に外国人が訪れるような仕掛けづくりに取り組みたい」と意欲を示した。

 JNTOの松山理事長は、旅館の受け入れの現状を踏まえた上で、「外国人を呼び込む意識を持ってほしい。旅館は日本文化そのもの。JNTOは外国人の目線で旅館の魅力を発信していきたい。観光庁はもとより、JNTOと旅館協会が連携を深めることで、日本のインバウンドのフェーズ(局面)は変わるはずだ」と述べた。

 意見交換では、個々の旅館や旅館協会のホームページ(HP)に関する外国語の情報発信の改善、強化が話題に。旅館協会の調査では、会員旅館のHPの外国語の対応状況は、英語が37.5%、中国語繁体字が18.1%、韓国語が15.8%、中国語簡体字が15.1%。HPから外国語で直接予約できる旅館は33.3%。整備率の向上はもとより、集客につなげる情報内容の質の向上が課題だ。

 観光庁観光産業課の石原課長は「旅館に泊まってもらうための情報発信、旅館の認知度を高めるための取り組みが不十分。特にFIT(個人旅行者)層に響く効果的な情報発信が重要」と指摘し、FIT層の閲覧が多いJNTOの外国語サイトの活用などを提案した。

 観光庁では今年度から来年度にかけて、旅館をはじめ日本国内の多様な宿泊施設の情報を外国人旅行者に発信する窓口サイトをJNTOの外国語サイトに開設する予定。宿泊業団体のHPとリンクを張るなどし、個々の宿泊施設の予約に誘導する仕組みを構築したい考えだ。

 この他に意見交換では、旅館文化を体験できる日帰り・デイユースプランなどのメニュー開発、旅館のブランド構築を目的にした海外旅行博覧会への出展、海外の旅行会社を招く視察旅行への協力を通じた情報発信などがテーマに挙がった。

 旅館協会とJNTOでは、今回の意見交換会を契機に、個別の課題に連携して取り組むことを確認。旅館業、地域の活性化に向け、政府が目標に掲げる2020年の訪日外国人旅行者2千万人の実現を目指していく。



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