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観光行政 ■第2773号《2014年11月1日(土)発行》    
 

産業観光まちづくり大賞、金賞は北九州産業観光センター
北九州市の工場夜景は貴重な観光資源だ

 日本観光振興協会はこのほど、第8回「産業観光まちづくり大賞」の受賞団体を発表した。金賞は福岡県北九州市の北九州産業観光センターが受賞した。また、今回から経済産業大臣賞、観光庁長官賞を新設、それぞれ新潟県燕三条市、岩手県雫石町の2団体が選ばれた。表彰式は10月30日、秋田県小坂町で開かれる「全国産業観光フォーラムin秋田・こさか」で行われる。

 23件の応募のなかから審査委員会(委員長、福川伸次・東洋大理事長)で審査し、決めた。

 北九州市は産業観光を市の切り札として位置付けている。例えば、夜の産業観光である工場夜景については、宿泊客増に向けた取り組みの一つとして「日本5大工場夜景」として全国に発信されており、バスやクルージングを活用し、さまざまな夜景を鑑賞するツアーが催行されている。

 審査委員からは、「マイナスのイメージを持たれがちな工場を逆転の発想で観光資源とした」「着地型の産業観光ツアーが地元の旅行会社や船会社などにより催行され、多くの観光客が参加している」などの点が高い評価を得た。

 新設の二つの賞は「地域の産業振興に、また旅行商品造成などにより地域への来訪者拡大にそれぞれ寄与しているかという点を重視して審査した」と日観振。

 経済産業大臣賞は「燕三条 工場の祭典」実行委員会に。燕三条地域は作業工具や刃物関連などを主体とした金属製品のまちとして知られる。

 生産現場を舞台に、畑で朝食や作業体験を楽しむ「燕三条朝カフェ」や「ものづくりの心に出会うまちあるき」などのほか、期間限定だが、管内の50超の企業が生産現場を公開し、ワークショップを行う「工場の祭典」など、一般人を対象としたイベントも開催されている。

 「高い技術品質の商品の製作プロセスを公開し、地域産業の活性化に役立つという産業観光のあるべき姿として展開されている」と審査委員。

 観光庁長官賞を受賞したのが小岩井農場。畜産と林業の生産現場や農場の歴史・文化、自然など、一般開放観光施設のまきば園では紹介しきれない部分を産業観光やエコツアーとして、農場全体を活用した観光プログラム「ガイド付きツアー・小岩井農場物語」を実施している。

 評価のポイントの一つとして、「第6次産業化を創設当時から追求し、積み重ねられた資産を有効に活用している」ことが挙げられた。

 その他、銀賞は小樽産業観光推進協議会(北海道小樽市)、特別賞は小坂町と鶴岡織物工業協働組合(山形県鶴岡市)が受賞した。


農水省、日本の食でおもてなし事業スタート、旅館などの料理PR
事業の開始を発表する(写真右から)西川農水相、女優の木村さん、観光庁の吉田部長

 農林水産省は、昨年度に続き「食と観光との連携による地域食材魅力発信事業」(日本の食でおもてなし事業)をスタートさせた。国産の農林水産物の消費を拡大する運動「フード・アクション・ニッポン」の一環。地域食材を使った料理を提供する旅館やレストランをウェブからPRする事業などを11月1日から展開する。

 旅館などの観光関連事業者と連携して事業を推進。地域食材を活用した食を提供する旅館やレストランを参画施設「日本の食でおもてなしパートナー」として登録し、事業の公式ホームページ(HP)やフェイスブックをはじめ、新聞、雑誌などのメディアで紹介していく。

 公式HPでは11月1日から日本の食でおもてなしパートナーの施設や取り組みを閲覧、検索できるページを公開する。参画施設の利用者に抽選で各地の特産品を贈る「地域食材利用促進プレゼントキャンペーン」も同日から応募受け付けを開始する。

 10月27日には農水省で事業の開始に合わせた記者発表会があり、西川公也農水相をはじめ、連携して事業を進める観光庁の吉田雅彦・観光地域振興部長、昨年度に続き事業のイメージキャラクターを務める女優の木村佳乃さんが出席した。

 西川農水相は「生産者はいいものを作っているが、地域の食材をより理解してもらうには、人が集まる旅館などの観光関係事業者との連携が欠かせない。関係者との連携を強固にして日本の農林水産業を発展させたい」と述べた。

 観光庁の吉田部長も「観光庁は食を利用した旅行商品づくりなどを応援している。国内外の旅行者に地域の食を楽しんでもらいたい。この事業に観光業界を挙げて取り組み、地域活性化、地方創生に結び付けていく」と語った。

 イメージキャラクターの木村さんは、映画のロケなどを通じて知った全国各地の食材の魅力を語りながら、「食べることも、旅行も大好き。日本の食文化、観光の魅力を心を込めて伝えていきたい」と話していた。


消費者庁、豆千待月に措置命令
 愛知県南知多町の旅館経営会社「豆千待月(まめせんたいげつ)」(鈴木邦弘社長)が、自社ウェブサイトや旅行会社のサイトで、加温しただけの水道水を「温泉」と表示、食材も養殖フグを「天然とらふぐ」、豪州産牛肉を「和牛」と表示したとして、消費者庁は10月23日、景品表示法違反(優良誤認)として、消費者への周知と再発防止を求める措置命令を出した。

 同社は2008年2月に設立し、旅館3軒を経営している。同庁と公正取引委員会の調べによると、同社は2012年11月中旬〜今年3月17日、楽天トラベルなどのサイトで、旅館「いち豆(ず)」の貸切浴場3カ所の湯を、水道水を加温しただけなのに「当館の貸切露天風呂は1300メートルの地下より湧き出る良質な温泉」などとサイトに記載、効能も表示していた。

 また、昨年10月頃〜今年2月末、JTBのサイトで、旅館「豆千待月」の料理で「地元天然とらふぐ」を使用していると表示。しかし、実際は養殖トラフグか、トラフグより安価なゴマフグを使用。さらに12年10月頃〜昨年11月末と同12月上旬〜今年1月上旬、じゃらんnetなどで、旅館「豆千本館」の料理を「柔らかくてジューシーな地元和牛の知多牛のステーキ」と記載。しかし、実際は安価な豪州産牛肉を使っていた。

 公取委は情報提供を受け、昨年から調査を進めていた。



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