訪日再訪者、地方に興味 |
観光分野の調査研究機関である公益財団法人日本交通公社(志賀典人会長)は5日、「第24回旅行動向シンポジウム」を都内で開催した。研究に関する報告や討論などを行ったほか、10月に発行した「旅行年報2014」の中から国内旅行、海外旅行、インバウンド、観光産業などに関する最新のデータを報告し解説。訪日リピーターの外国人旅行者は地方への訪問に非常に興味を持っているといった独自調査の結果などを紹介した。
訪日外国人旅行者の訪問地は東京などの大都市が中心であるため、同財団では2013年度から「リピーターやFIT客の地方分散化」をテーマに自主研究を開始。今年度は韓国、台湾、中国、タイ、インドネシアの5カ国・地域を対象に調査を実施した。訪日旅行経験者で、今後3年以内に個別手配またはフリープランで日本への再訪を希望している人を条件としている。
インドネシアを除いた調査結果では、意欲の強弱はあるが「地方に行きたい」の回答は98%とほぼすべて。「行きたくない」は2%しかない。
地方を訪れる際の旅程は、「大都市と地方の組み合わせで周遊したい」が49%と最多で、「大都市を拠点として地方を日帰りで訪れたい」が22%で3番目。大都市と地方や、大都市と地方日帰りが主流で、「大都市周辺からじわじわと地方訪問が広がっている」と同財団。「地方を中心に複数の地方を周遊したい」が25%で2番目となっている。
日本で利用したい買い物場所を尋ねた調査結果も紹介。複数回答で「免税店」53%、「100円ショップ」43%、「百貨店・デパート」38%が上位。一方、4番目の「地場産品を取り扱う店」33%は3人に1人、「観光地の土産店」29%や「伝統工芸品店」24%の割合も少なくない。同財団では「今回の消費税免税制度改正を機に、百貨店などの大規模店に加えて、観光地の小規模店でも免税店になる動きが広まると期待される」と話す。
シンポジウムで発表された調査データが掲載された「旅行年報」は、14年度版から刷新。これまで発行していた調査レポート「旅行者動向」「Market Insight」での国内旅行や海外旅行に関する意識調査の結果を組み込み、観光・旅行分野の全体像を俯瞰できるようにした。
シンポジウムでは、観光地の課題について考える研究セッションも実施した。 |
|
ANAセとモンベルが連携、アウトドアスポーツによる旅行需要喚起へ |
|
左から白水社長、平井知事、辰野代表 |
ANAセールスと総合アウトドアブランドのモンベルグループは5日、ジャパンエコトラック推進協議会が提唱、創設する「ジャパンエコトラック」に賛同し、アウトドアスポーツによる旅行需要の喚起と地域活性の促進を図るため連携すると発表した。ジャパンエコトラック第1号ルートとして鳥取県の「境港・皆生・大山」が選ばれ、来年4月から始動する。
ジャパンエコトラックとはカヌー、自転車、トレッキングといった動力にたよらないアウトドアスポーツが楽しめるルートを設定し、国内外からの観光客の来訪を促す取り組み。日本各地のトラック(ルート)の情報は公式ルートマップやウェブなどで発信する。
コース設定は6年前からモンベルグループが行ってきたカヤック、自転車、ハイキングの三つのアクティビティで水辺から山頂を目指す環境スポーツイベント「SEATO SAMMIT」をベースにしている。
東京都内で行われた記者会見で、モンベルグループ代表でジャパンエコトラック推進協議会代表の辰野勇氏は「365日、同じフィールドでの旅の形を実践していきたい」と述べ、行政やさまざまな企業と連携して新しいエコツーリズムを推進していく意向を示した。
ANAセールスの白水政治社長は「観光を中心とする旅行に代わりスポーツツーリズムが流行ってきている」と述べ「今後も隆盛になる。大きな期待ができる」と強調。
これまで両社は「富士山登山ツアー」や「大山夏山開き祭りと出雲大社」で季節限定の共同企画を実施してきたが、年間を通しての提携は今回が初めて。
ジャパンエコトラックの第1号ルートに選ばれた鳥取県の「境港・皆生・大山地域」について、来年4月以降、2社で旅行商品の共同企画や販売協力などを展開していく。
鳥取県の平井伸治知事は看板や標識の整備、エイドステーション、多言語対応のパンフレットなど準備に取り組んでいると発表し、「旅として値ごろ感のあるものになる」と述べた。
辰野氏は訪日客の誘客にも意欲を見せる。モンベルは日本の90店舗に対し1.5倍にあたる140店舗を韓国で展開する。今後、韓国でのハンドブックの設置も検討する。
第2ルートとして長野県を検討していることも発表された。 |
|
近ツー、名旅館のおせちを販売 |
|
あかん遊久の里䯒雅のおせち「雅三段重」 |
近畿日本ツーリストは、全国各地の料理に定評のある旅館・ホテルなどのおせちを取りそろえた「全国味覚めぐり」の販売を開始した。「有名旅館のおせち」として7施設の高級おせちを販売。おせちと並んで好評の料理ギフトも全国各地の名店の品をラインアップした。
毎年売り切れが出るほど人気の日本の有名旅館おせちは、「あかん遊久の里䯒雅」をはじめとする7施設のおせちを厳選した。いずれも個数限定で、価格は2万5千〜3万4560円で販売する。
有名旅館のおせちのほかにも、「餐宴おせち」「有名人プロデュースおせち」「有名ホテルのおせち」「京都のおせち」「料亭のおせち」「中華のおせち」「日本各地のおせち」「キャラクターのおせち」などテーマを設け、115商品を用意。
贈答品や自宅用としても人気の「お正月のお料理ギフト」は全国各地の銘品59商品を販売する。例年かにすき鍋や肉料理のギフトが好評だ。
おせち全体の売れ筋の価格帯は1万〜1万5千円。同社はおせちの販売目標として前年比15%増を目指している。 |
|