免税店、制度改正で大幅増 |
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消費税免税制度の改正に伴い免税店が大幅に増加した。国税庁の集計によると、今年4月1日時点では全国で5777店舗だったが、新制度が始まった10月1日時点で9361店舗に増えた。政府は2020年に向けて1万店舗に増やす目標を掲げているが、前倒しで達成されそうな増え方だ。免税対象が全品目に広がったことで、地方にも免税店が増えている。
多い順に100店舗以上の都道府県をみると、(1)東京都3268店舗(2)大阪府1259店舗(3)北海道594店舗(4)福岡県507店舗(5)神奈川県468店舗(6)千葉県383店舗(7)京都府351店舗(8)兵庫県307店舗(9)愛知県296店舗(10)埼玉県211店舗(11)静岡県161店舗(12)沖縄県138店舗(13)広島県114店舗。北海道、埼玉県、神奈川県は2倍以上に増えた。
伸び率の高い県は、岩手県が2店舗から18店舗に、山梨県が10店舗から53店舗に、奈良県が13店舗から49店舗に、和歌山県が8店舗から66店舗に増えた。
店舗の分布では、三大都市圏(東京、神奈川、千葉、埼玉、愛知、大阪、京都、兵庫)が69.9%を占め、その他の道県が30.1%になった。
改正以前の制度では、免税対象が家電製品やバッグなどに限られていたため、地方では、免税店の許可を受けていたのは百貨店や大型量販店が中心だったが、食料品なども免税対象になったことから、店舗の規模、業態が多様になっている。旅館・ホテルの売店、民芸品店、物産館、酒蔵、化粧品店、スポーツ用品店、などが新たに許可を受けた。
観光庁では、地域の特産品や伝統工芸品を販売する店舗が免税店の許可を取得し、訪日外国人への販売を拡大することが地域経済の活性化につながるとして、引き続き制度の説明会などを開催し、地方での申請の動きを支援していく。
免税制度に関しては、観光庁などが来年度の税制改正に向け、免税店が免税の事務手続きを第三者に委託できるように要望。テナント方式の集合商業施設、商店街などの免税店が個々に事務手続きを行わなくても、委託した窓口でまとめて対応できるようにし、中小事業者の事務負担を軽減したい考えだ。
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経団連、国家ブランド強化へ提言 |
経団連は11月25日までに、「国家ブランドの構築に向けた提言」をまとめ、公表した。世界の日本に対する信頼、憧れが強まっていることを背景に、国家(ジャパン)ブランド力をさらに強化し、国内にヒト、モノ、カネ、情報を呼び込む必要性を指摘。その上で、当面の課題や深化の方向性、経済界の取り組みを示した。
提言はジャパン・ブランド強化に向け、(1)国家戦略への明確な位置付け(2)官邸を中心に各省庁の施策のPDCAサイクル(業務プロセスの管理手法の一つ)の構築—を求めた。
(1)については、「クールジャパン戦略を発展的に再構築し、高い品質・生産性、科学技術、都市や交通・流通網など、より幅広い日本のスペシャリティ(持ち味)の発信、インベスト・ジャパン(対日投資の拡大)も抱合させ、国内にヒト、モノ、カネ、情報を呼び込む戦略とすべきだ」とした。
PDCAサイクルでは留意すべき点として、(1)知日派や日系人ネットワークの活用(2)国際会議・見本市の開催数など重要業績評価指標(KPI)の設定(3)在外公館の役割の明確化・強化(4)和食をはじめ、日本の多様な食文化の戦略的な海外展開—などを挙げた。
一方、深化の方向性では国際観光・クリエイティブ産業特区の整備とMICE戦略の立案・遂行を提言。
このなかで、国家戦略特区を活用した「国際観光・クリエイティブ産業特区」の実現を求め、「まち丸ごと一つが日本の魅力のショーケースとなる店舗、施設が集積した『クールジャパン総本山』であり、クリエイティブ産業と関連の教育機関、インキュベーション施設が集まる地域を創出する」とした。
MICEについては、世界最大級の国際会議などを誘致、開催を可能にする大規模MICE施設を整備すべきだとし、(1)国際空港から30分圏内といった海外からの良好なアクセス(2)宿泊施設やレストラン、映画祭の受賞式などの式典も開催可能な機能・規模を持つシアターホールやショッピング施設の整備など、参加者の満足度を高める利便性、快適性—などを求めた。
提言はまた、経済界の取り組みとしてオリンピック・パラリピックでジャパン・ブランドの体現を目指す「ジャパン・ブランド&イノベーション2020構想(仮称)」を提案、経団連も積極的に参画する考えを示した。 |
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