政府、補正予算案を閣議決定、観光庁に42億円計上 |
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経済対策や地方活性化策などを盛り込んだ政府の2014年度補正予算案が9日に閣議決定され、観光庁には、前年度の補正予算額15億円を大幅に上回る42億円が計上された。訪日外国人旅行者を地方へ分散させる広域観光周遊ルートの形成に向けた支援事業、訪日旅行シーズンの季節分散を促すために春季の魅力を売り込む海外プロモーション事業が柱。旅館・ホテルの経営改善などに向けた人材育成事業にも予算が付いた。
広域観光周遊ルートの形成では、「取り組み体制の早期構築」として2億7千万円を計上。広域観光周遊ルートの狙いは、大都市やゴールデンルートにとどまらず、外国人旅行者を地方に分散させること。中部・北陸エリアの「昇龍道」の取り組みのように、外国人の平均的な滞在日数6、7日に見合った複数の都道府県にまたがるテーマ性を持ったルートをつくる。
広域観光周遊ルートの事業費は、来年度当初予算に要求していたもので、その事業費の一部が補正予算に前倒しされた。意欲ある地域を選んでルートづくりを支援する事業で、地域の関係者を構成メンバーとする協議会の設立や計画の策定、受け入れ環境の整備、情報発信などを支援する。他に基礎的な調査なども行う。
海外プロモーションの事業費は、「訪日2千万人に向けた新規インバウンド需要創出」として34億2千万円を計上。訪日旅行シーズンのピークになっている夏季とともに、桜の開花が観光資源となる春季をピークとして定着させるために集中的なプロモーションを実施する。訪日リピーターの地方への誘客を含め、中国や韓国、東南アジアなどからの訪日旅行需要の喚起を目指す。
「観光産業における人材育成等」には6千万円を付けた。このうち一部は宿泊事業者を対象にした事業で、生産性向上の手法など経営を改善するための教材の作成、セミナーやシンポジウムの開催を予定している。
この他に、地方への外国人観光客の誘致につながるテレビ番組など放送コンテンツの海外展開の支援事業費として3億円、観光による地域経済の動きを調査・分析する手法を検討する事業に1億円、地域の特性に応じた学校休業日の設定と企業の有給休暇の取得を促す普及啓発事業に1億円を計上した。
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免税手続きの第三者委託可能に、商店街などに適用 |
12月30日に決定した与党税制改正大綱で、地方経済の活性化に資する訪日外国人向け消費税免税制度の拡充が決まり、免税店が免税手続きを第三者に委託することが可能になった。商店街や物産センターなどでは、個々の店舗が免税手続きを行わなくてもカウンターの設置事業者に任せることができる。4月からの開始を予定。
昨年10月に免税対象が消耗品など全品目に拡大され、全国の免税店数は昨年4月比で6割増の9361店舗に増えた。ただ、約7割は三大都市圏に所在する店舗。地方の小売業が許可申請をためらう理由に、免税手続きの煩雑さがあったことから制度を改正する。
観光庁などでは、地方の商店街などの小売業の免税店許可の取得を促すとともに、外国人旅行者のショッピングの利便性を高め、地方での消費を拡大させて経済活性化につなげたい考えだ。
免税手続きの委託が可能となるのは、商店街や物産センター、ショッピングセンターなどで、(1)商店街振興組合が定める地区(2)中小企業等協同組合の組合員が形成する商店街(3)大規模小売店舗の施設内(4)1棟の建物内—が対象となる。
消費税免税制度の拡充では同時に、外航クルーズ船の寄港時に旅客船ターミナルや接岸岸壁に免税店を臨時出店する場合の手続きも簡素化する。 |
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