観光庁、2015年度予算案は104億円 |
観光庁の2015年度当初予算案は、震災復興関係の観光予算(復興庁計上)を含め、ほぼ14年度当初予算並みの103億9千万円になった。訪日外国人2千万人時代を見据えて、海外プロモーションや魅力ある地域づくりなどの施策を強化する。
15年度当初予算案は14日に閣議決定された。
観光庁が昨年8月に財務当局に要求した予算は、復興関係の観光予算を含めて185億5500万円。要求額を大幅に下回ったが、観光庁は「補正予算を合わせると、過去最大の予算規模」と説明。14年度補正予算案には、観光庁予算として42億4600万円が計上され、合計額は146億円3600万円となる。
観光庁の15年度当初予算を施策別に大別すると、「インバウンド政策の推進」が84億5100万円、「観光地域づくり支援」が6億2800万円、「観光産業振興」が6200万円、「観光統計の整備」が4億6千万円。この他に経常事務費などが3億900万円。震災復興関係の観光予算は4億8千万円が復興庁に計上されている。 |
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政府、補正予算交付金で観光振興 |
政府の緊急経済対策に基づく2014年度補正予算で、地方自治体が地域の実情に応じて使える「地域住民生活等緊急支援のための交付金」が創設される。交付金を財源とする「地域消費喚起・生活支援型」(予算2500億円)と「地方創生先行型」(同1700億円)の支援事業がある。事業メニューには観光振興事業が含まれ、地域で実施する施策に活用が可能だ。
地域消費喚起・生活支援型の事業メニューには、低所得者向けの生活支援、地域内の消費を喚起するプレミアム付き商品券の発行などとともに、地域外の消費を呼び込む「ふるさと旅行券」の事業が示されている。
市町村が取り組むふるさと旅行券の事業に関して観光庁は、宿泊旅行者を対象にした実施例を紹介。(1)旅行商品の利用促進=宿泊代金、ツアー代金の一部負担(2)温泉地周辺の飲食店や土産店、観光施設などでの消費促進=地域限定商品券や施設利用券の配布(3)旅行会社の企画ツアーによる送客促進=送客実績に応じたインセンティブの付与―などを挙げた。
国内外の旅行者に対して交通運賃の一部を負担したり、団体ツアーのバス代金の一部負担したりする事業も例示した。
都道府県は、市町村が実施する事業と連携した事業を行うほか、事業の実施がない市町村を念頭に置いた事業、都道府県全域を対象とした事業を実施することができる。
一方、地方創生先行型の事業メニューには、観光振興、投資促進、創業支援、販路開拓などが挙げられている。
観光振興事業の実施例には、(1)国内・国外プロモーション活動の支援(2)宿泊・観光施設などへの無料公衆無線LANの設置(3)国際会議などの開催支援(4)商店街などでの免税販売の促進(5)クレジットカード導入などキャッシュレス環境整備による地域消費促進(6)地域資源を活用したまちづくり・誘客―などを示した。
交付金について観光庁の久保成人長官は21日の専門紙向け会見で、「観光施策が大きく位置づけられたことが画期的。即効性のある支援事業があるので、積極的かつ効果的に活用してほしい」と述べた。観光庁では、地方自治体や業界団体への説明も行っている。
交付金の運用は、地域消費喚起・生活支援型、地方創生先行型ともに人口・財政力指数などに基づいて配分される。地方自治体には、早期に事業計画を策定することが求められる。
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