観光庁は、消費者の契約トラブルを防止する観点から、海外のOTA(オンライン旅行取引事業者)を主な対象に、インターネットの旅行取引に関するガイドラインを策定する。旅行取引サイトの表示のあり方などに指針を定める。有識者で構成する「OTAガイドライン策定検討委員会」を設置し、1月26日に初会合を開催。検討結果を基に3月末までにガイドラインを策定したい考えだ。
営業拠点を外国に置く海外OTAは、日本の消費者向けにサービスを展開する場合、その契約は当該地の法例に基づく前提で事業活動を行っていることが一般的という。消費者が契約相手や旅行条件を十分確認せずにトラブルになったり、トラブルの対応が難しくなったりするケースもある。
海外OTAを巡るトラブルの防止については、観光庁が2013年度に有識者を集めて設置した「旅行産業研究会」が、国にガイドラインを策定するように提言。海外OTAに「適用を求めていくことが望ましい」と指摘していた。
検討委員会は非公開。初会合では、インターネットの旅行取引を巡る現状や課題などを旅行業団体や消費者団体の担当者らが意見交換。日本旅行業協会と全国旅行業協会が、国の通達を踏まえ、国内の旅行業向けに策定したインターネットの旅行取引に関するガイドラインの内容や制度などを紹介したという。
ガイドラインの策定について、観光庁観光産業課の石原大課長は初会合後の取材に対し、「海外OTAに対する拘束力はないが、ガイドラインに準拠しているサイトを消費者に周知することもアイデアの一つとして考えられる。消費者に契約に関する意識を高めてもらう啓発の狙いもある」と説明した。
検討委員会の委員は次の通り(敬称略)。
山内弘隆(一橋大学大学院商学研究科教授)=座長▽植竹孝史(全国旅行業協会総務財務委員会委員)▽上山康博(百戦練磨社長)▽佐々木優(日本旅行業協会法制委員会委員)▽沢田登志子(ECネットワーク理事)▽柴田啓(ベンチャーリパブリック社長CEO)▽増田悦子(全国消費生活相談員協会専務理事)▽三浦雅生(弁護士)▽矢ケ崎紀子(東洋大学国際地域学部国際観光学科准教授)▽山本考伸(楽天執行役員トラベル事業長)