震災被害甚大地域の企業、6割が売り上げ回復 |
帝国データバンクはこのほど、東日本大震災の「被害甚大地域」に本社を置いた企業約5千社の追跡調査を行った。事業継続を確認できた企業は全体の7割超。事業継続企業の約6割が震災前の売り上げを回復している。増収企業は建設業が突出して多く、サービス業も業種別2位と健闘している。
調査は岩手、宮城、福島3県沿岸部の「津波被害が特に大きかった地域」「原発事故による警戒区域.計画的避難区域(当時)」に本社を置いていた企業5004社を対象に、2年ぶりに行った。
このうち事業継続を確認できた企業は3622社で、全体の72.4%。2013年2月の前回調査(72.8%)から0.4ポイント下回った。
一方、休廃業している企業は1382社で、構成比27.6%。前回調査時から55社増加した。
活動状況を8業種別に見ると、事業継続の比率が最も高いのが運輸.通信業で、85.2%。卸売業も80.2%と多く、この2業種が全体平均を大きく上回っている。「多額の設備投資を必要とせず、被災地以外に得意先を有するケースも多い」ことが要因と見られる。一方、小売業は63.6%と唯一60%台にとどまった。
震災前の2009年度と比べて、2013年度の売上高が増収となった企業は1808社で、構成比51.6%と約半数を占めた。横ばい(193社、構成比5.5%)と合わせて全体の約6割が震災前の売り上げ水準に回復している。
増収企業を業種別に見ると、建設業が868社、構成比71.6%と突出している。震災後の復興特需があり、売り上げが回復したものと見られる。以下、2位がサービス業の46.4%、3位が卸売業の42.5%で、ほかは全て30%台だった。 |
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生衛業の従業者、33%が「不足」 |
日本政策金融公庫はこのほど、ホテル・旅館、飲食など生活衛生関係営業の雇用動向を調査した。パート、アルバイトを含む従業者の過不足感を聞いたところ、「不足」とした事業者割合は33.0%で、前年調査(27.2%)を5.8ポイント上回った。9の業種別では、ホテル・旅館業が51.8%と5割以上を占め、最も高い率となった。
調査は昨年12月上旬、生活衛生関係営業の景気動向等調査(昨年10〜12月期)の特別調査として行った。
1年前と比べた従業者数は、生活衛生業全体で「増加」が5.1%、「変わらない」が81.7%、「減少」が13.2%。
業種別では、ホテル・旅館が「増加」9.1%、「変わらない」75.0%、「減少」15.9%となっている。
従業者の過不足感は、生活衛生業全体で「不足」が33.0%、「適正」が62.3%、「過剰」が4.7%。
このうちホテル・旅館は「不足」51.8%、「適正」45.1%、「過剰」3.0%となった。
不足の割合はホテル・旅館業が最も高く、以下は映画館(42.6%)、飲食業(35.2%)、美容業(32.7%)などとなっている。
従業者の確保をめぐる環境は、生活衛生業全体で「確保しやすくなった」が1.6%、「変わらない」が65.8%、「確保しにくくなった」が32.6%。
このうちホテル・旅館業は「確保しやすくなった」が2.4%、「変わらない」が50.6%、「確保しにくくなった」が47.0%。確保しにくい率が9業種中最も高かった。
「新たに雇用した従業員の定着率を高めるために工夫していること」の、主な回答は次の通り。
「年2回、契約社員やパートも含めた全社員と面接を行い、経営者側と直接コミュニケーションをとっている。また、成果に応じて契約社員、パートにも全員に賞与を支給している」(ホテル・旅館業、高知県)。
「職場に意見箱を設置し、新入の従業員でも不満等を述べられるチャンスを提供して、職場環境の改善に配慮している」(食肉販売業、熊本県)。
「入社前に細かな点に関してもきちんと説明する。オーナーとして適正な評価をしてしっかりとビジョンや夢を具体的に語るように努めている」(美容業、宮城県)。 |
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