旅館、ノーショー対策に苦慮 本社調査で判明 |
観光経済新聞社はこのほど、全国の主な旅館約100軒に「ノーショー」(無断不泊)に関するアンケート調査を行った。回答者のほとんどが年数件〜十数件のノーショーに遭い、キャンセル料の請求を試みるものの、相手の理解を得られなかったり、連絡が取れなかったりして、徴収に苦慮している実態が分かった。対策として、予約確認の徹底や、宿泊料の事前決済促進を挙げる声が多い。
●年間何件程度のノーショーがあるか
「ゼロ」の回答が1軒あったものの、ほとんどが数件から数十件のノーショーがあると回答。最も多いのが「102件」だった。
●ノーショーが多い客層
予約手段別では、およそ半数が「インターネット予約」と回答。「現地決済のネット予約」「ネットでの予約が早い客」「若い客層」などを挙げている。次に多いのが「直での電話予約」。「リアルエージェントの予約取り消し漏れ」を指摘する旅館もあった。
国籍別では、「日本人」が「外国人」をやや上回った。外国人では「ネットカフェ等からの予約」「近年、東南アジア系が増えている」などの回答があった。
ただ、「これといった傾向はない」とする旅館も2割程度あった。
●ノーショーが発生した時の対応
ほとんどの旅館が「電話やメールで連絡を取り、キャンセル料を請求する」などの対応をしている。
ただ、「連絡をとり、キャンセル料の話をするが、入金されたことはない。連絡がつかないケースが3分の1程度ある」「ほとんどの場合、電話に出ない、出ても知らない、キャンセルした等、まともにとりあってもらえない」と、対応に苦慮している様子がうかがえる。これらの顧客に対して「データ保存をして、以降の同一人物の宿泊拒否」と、毅然とした態度を示す旅館もあった。
一方、「事情をうかがい、やむを得ない場合は状況に応じて対応している」と、柔軟な態度を示す旅館もある。
●ノーショーをなくすために、業界または旅館独自でするべきこと
「予約確認の徹底」と「宿泊料の事前決済促進」を、ともに4割近くの旅館が挙げた。
「直接ご予約の場合は、宿泊日前の近日に予約確認を行う」「事前確認を密にする」と、予約客とのコミュニケーションを重視する旅館が多い。「宿泊の意思を再確認し、確認のとれない客に対し、予約無効とできる仕組み作りが必要」と指摘する旅館もあった。
決済については、「海外(客)はクレジットカード情報の提出を必須条件としている」「可能であれば、全ての予約を事前決済にする」「事前決済、非対面決済が当然の世の中にしていく」などの声が挙がった。
クレジットカード会社にキャンセル料を請求できる「ギャランティリザベーション制度」の日本での普及を「宿泊業が先導して行うべき」と主張する経営者もいた。
ほかに、「インターネット予約についてのお客さま側の責任をもっと分かってもらう努力をしないと、不泊がなくならない」と、顧客のモラル改善を訴えたり、「ネットでのキャンセル忘れやキャンセルミスが多いが、『他館では了承してもらった』などという指摘を多く聞く。業界全体でキャンセルポリシーをしっかりと守っていく必要がある」と、同業者の対応のあり方を指摘する声もあった。
●その他、ノーショーに関して訴えたいこと
「リアルエージェントも、自らのミスで取り消し漏れをしても、キャンセル料を払うのをしぶったりする」。
「インターネットによる安易な予約が当館では多いと思っている。ノーショーに関しては、お客さまは当然、サイトの方々などにも責任を取っていただきたい」。
「ノーショーの場合、ギャランティリザベーション制度で、日本のお客さまのカードの口座から(キャンセル料を)引き落とすと、お客さまが二度と来てくれないからと、この制度は日本では根付かないと言われた。それなら、全宿泊施設が全員でギャランティリザベーション制度を活用するようにすれば、日本でも根付くと思う」。
「ネットで個人の比率が増えるほど、こういった案件が多く出てくる。航空業界のように、毅然とした対応が必要」。
「国内の大手の場貸しサイトの主催旅行化(旅行業法の適応)」。 |
|
4月の旅館・ホテル倒産は11件、負債61億円 |
|
帝国データバンクによると、今年4月のホテル・旅館経営業者の倒産(負債1千万円以上の法的整理)は11件で、昨年8月以来、8カ月ぶりに2桁台を記録した。負債総額は61億400万円で、2013年4月以来、25カ月連続で100億円の大台を下回った。
件数は前月比37.5%増(3件増)、前年同月比83.3%増(5件増)。
負債総額は前月比35.7%減(33億8600万円減)、前年同月比215.5%増(41億6900万円増)。
1月からの累計は、件数が前年同期比24.0%増(6件増)の31件。負債総額が同202.2%増(183億3100万円増)の273億9700万円。 |
|