訪日増加の影響、運輸、宿泊で顕著 |
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日本政策金融公庫はこのほど、全国の小企業を対象に「インバウンド対応」についての調査を行った。それによると、訪日外国人の増加で売り上げにプラスの影響があったとする企業割合の業種別トップは運輸業、2位が飲食店・宿泊業だった。訪日外客の増加を売り上げに結び付けるための取り組みに意欲的な業種は飲食店・宿泊業がトップ。ただ、「知識・ノウハウ不足で取り組みたくても取り組めない」とする企業も目立った。
調査は6月中旬、同公庫取引先の小企業(従業者20人未満。卸売業、小売業、飲食店・宿泊業は10人未満)1万社に行い、5968社から有効回答を得た。飲食店・宿泊業は988企業が回答した。
「訪日外国人観光客の増加による売り上げへのプラスの影響」を、「多少ある」とした企業が6.7%、「大いにある」とした企業が0.6%。合わせて7.3%だった。
8の業種別では、運輸業が「多少ある」17.9%、「大いにある」1.7%、合計19.7%とトップ。2位は飲食店・宿泊業で、「多少ある」14.4%、「大いにある」1.4%の合計15.8%。この2業種が突出しており、3位は合計7.7%の情報通信業だった。
売り上げへの影響事例として「外国人観光客向けにWi—Fiスポットを設置する仕事が増加している」(受託ソフトウェア開発業)、「外国人観光客が増えている観光地から、土産品の注文が増加している」(食卓用・厨房用陶磁器製造業)などが挙がっている。
売り上げへのプラスの影響が「多少ある」「大いにある」とした企業割合が高い都道府県は、和歌山県の14.7%、京都府の14.5%、奈良県の14.3%、長野県の13.5%、北海道の13.4%など。
「訪日外国人観光客の増加を売り上げに結び付けるための取り組み」について、「している」または「今後する予定」とした企業割合は7.8%。業種別では飲食店・宿泊業が19.9%とトップだった。2位以下は、運輸業の13.3%、小売業の7.2%、情報通信業の6.9%など。
宿泊業の主な取り組み事例として、「外国語のホームページを作成する」「スタッフに英会話を受講させる」「外国人向け予約サイトとの連携を拡充」「外国語の話せるスキーインストラクターを常駐」などがあった。
一方、外客増を売り上げに結び付ける取り組みを「現在しておらず、今後する予定もない」とした企業のうち、「取り組みたいができない」とした企業にその理由を聞いたところ(二つまでの複数回答)、飲食店・宿泊業では「知識・ノウハウ不足」(57.3%)、「人材不足」(41.7%)、「設備不足」(34.4%)などの声が挙がっている。 |
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7月の外客数は192万人、月間最高を記録 |
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日本政府観光局(JNTO)が19日に発表した今年7月の訪日外客数(推計値)は、前年同月比51.0%増の191万8千人となり、月間の過去最高を記録した。夏の旅行シーズンで訪日需要が拡大したほか、航空路線の拡充、クルーズ船の寄港などが増加要因。中国が前年同月の約2倍の57万7千人となり、全市場を通じて月間の過去最高となった。訪日外客数の今年1〜7月の累計は1106万人に達した。
7月の訪日客数が年間を通じて月間の過去最高になった市場は、中国のほか、台湾、香港、インドネシア。7月として過去最高を記録したのは、韓国、タイ、シンガポール、マレーシア、フィリピン、ベトナム、豪州、米国、カナダ、英国、フランス、ドイツなど。
中国は前年同月比105.1%増の57万6900人。月間での50万人台は全市場を通じて初めて。夏休み時期の家族旅行が人気だったほか、クルーズ船49隻(約12万7千人)が寄港、航空路線も新規に17路線が就航した。
台湾は同29.5%増の36万1700人。夏のピークシーズンに伴う料金の高騰などで団体旅行商品の売れ行きが鈍化。一方で航空路線の拡充などで個人旅行が増加した。
韓国は同37.1%増の34万3800人。一部減便となっていた航空路線が7月中旬から順次通常運航に戻った。JNTOは「MERS(中東呼吸器症候群)の影響はほぼ払拭されたと見られる。6月の出控えの反動需要や円安が好数値につながった」と指摘している。
東南アジアでは、タイが個人客を中心に伸びて同21.0%増の5万1900人。インドネシアは、同51.9%増の2万5500人で7カ月ぶりに月間の最高値を更新。インドネシアは経済の停滞で消費が鈍化する中、訪日旅行市場は好調だった。
欧州では、英国が同34.0%増の2万6300人と大幅な伸び。ボーイスカウトの世界大会開催(山口市)に伴う約4千人の訪日が数値を押し上げた。
訪日外客数の1〜7月累計は、前年同期比46.9%増の1105万8300人となった。このうち中国は275万5500人となり、すでに昨年の年間値(240万9158人)を上回った。
観光庁では、今年の訪日外客数の年間値について、外的な要因が発生しなければ、1800万人を超えると予想している。 |
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