観光庁16年度概算要求、43%増の142億円 |
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8月27日に発表された観光庁の来年度予算の概算要求額は、今年度当初予算比43%増の142億600万円となった。復興庁に計上した震災復興の観光予算を含めると、同40%増の145億8千万円。訪日外国人の地方への誘客プロモーション、2千万人時代に備えた受け入れ態勢の整備が主な柱。産業振興や地域づくりでは、旅館・ホテル、DMO(観光地域経営・マーケティング組織)を担う人材の育成を推進する。
概算要求基準では、各府省が要求する事業費などの裁量的経費は前年度予算の1.17倍まで。観光庁の概算要求額は、前年度の要求額を約40億円下回っているものの、国土交通省内の調整で1.43倍と基準を上回る要求額となっている。
■VJ関連
訪日旅行を促進するビジット・ジャパン(VJ)関連に115億300万円を計上した。
地方への誘客を促進するプロモーションでは、共同広告事業などを通じた地方空港へのLCC(格安航空会社)の就航促進、招請事業などによる訪日教育旅行の地方への誘致などを推進する。
地方での消費拡大にも取り組む。ショッピングツーリズムをPRするほか、欧米などの旅行者を対象に長期滞在査証(ビザ)制度を活用し、地方での長期的な滞在を促進していく。
MICE(国際会議、インセンティブツアーなど)関連では、中規模程度の国際会議を誘致、開催できる地方都市を育成。グローバルMICE強化都市に選定した札幌、仙台、千葉、広島、北九州を重点的に支援する。
■2000万人に備え
「2千万人時代」に備えた受入環境整備緊急対策事業に4億円。訪日外国人旅行者の急増に備えるため、調査や実証実験などを実施して受け入れ環境のモデルとなる事例を創出、全国に普及する。
地方ブロック別連絡会や旅行者を対象にしたアンケート、SNS(ソーシャルメディア)などを通じて、地方別、テーマ別に課題を抽出。宿泊施設の不足への対応、貸切バスの路上混雑の解消、医療面の受け入れ態勢の強化などを想定する。
例えば、宿泊施設の不足では、空き室情報をリアルタイムで提供できるプラットフォームの構築、既存の旅館・ホテルの外国人に対応した改装など、課題に応じてモデル事例を創出する。
■人材育成
旅館・ホテルの経営人材育成事業に3千万円を要求した。経営改善、生産性向上を担う人材を産学連携によって持続的に育成する仕組みの構築を目指す。
今年度事業で策定する教育プログラムを磨き上げ、財務・管理会計、IT化、マーケティングなどのカリキュラムを充実させる。
併せて、財政投融資として、日本政策投資銀行、日本政策金融公庫などと連携し、外国人受け入れ環境整備、経営改善・生産性向上などにつながる取り組みに低利・安定的な資金支援を行う。
DMOを担う人材の育成には、地域資源を活用した観光地魅力創造事業4億4100万円の一部を充てる。観光地経営の先進事例を収集し、有識者の検討会などで人材育成プログラムを策定、研修会を実施する。
DMOの育成は、観光庁予算とは別に地方創生関連で来年度に創設される新型交付金の支援メニュー。都道府県、市町村が策定した地方版総合戦略に沿って活用できる。
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観光庁、税制改正で免税最低額引き下げを要望 |
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観光庁は8月27日、来年度に向けた税制改正要望の内容を発表した。訪日外国人向けの消費税免税の対象となる「一般物品」の最低購入金額の引き下げを要望。国際会議の開催に関する寄付金募集・交付金交付制度の要件緩和も求めている。
現行の免税制度では、一般物品(食品や化粧品などの「消耗品」以外)が免税になるのは、1万円を超える購入から。この一般物品の最低購入金額を5千円以上に変更するように要望した。引き下げによる訪日外国人旅行者の買い増しを期待し、地方での消費を拡大させる。
免税手続きに関しても、訪日外国人の購買情報などを電子的に収集、活用する仕組みを将来的に構築できるように制度の改正を求めていく。
国際会議の開催に関する寄付金募集・交付金交付制度は、国際会議の主催者に代わって日本政府観光局(JNTO)が寄付金を募集すると、寄付者に税制優遇措置が適用される。この制度を活用できる国際会議の要件緩和を要望している。
現行制度では、おおむね10カ国以上の参加、おおむね200人以上の参加などの要件があるが、参加国数をおおむね3カ国以上に引き下げ、参加者数の要件は撤廃するように求める。
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