岐阜県の下呂温泉で8日、27回目となる「下呂温泉神社例祭」が天与の恵みの「温泉への感謝」と「観光客のご加護」を祈念して行われた。小野精三岐阜県飛騨県事務所長、中島薫下呂市副市長、中島博隆下呂市議会議長、山内雄敦NHK岐阜放送局長らの来賓、関係者約250人が参列。下呂温泉旅館会館1階の同神社で神事を行った。
「手古舞」「白鷺の舞」「猿田彦」「烏天狗」「旅装束」「林羅山」「万里集九とお供」が下呂駅前から温泉神社まで参進行列。旅館会館前の白鷺橋上で鏡開きが行われ、県内外から訪れた観光客らに「ふるまい酒」があり、「千子まき(紅白餅)」がまかれた。
獅子舞、下呂芸妓連による奉納舞も実施。今年は岐阜県恵那市串原から県の重要無形民俗文化財に指定されている「中山太鼓」の保存会が特別参加し、打ち手が交代しながら打つ「回り打ち」には一般の観光客も参加して祭りを盛り上げた。
直会で、同神社の氏子総代、下呂温泉旅館協同組合の滝多賀男理事長は「国は観光立国を標榜し、地方創生政策を推進しているが、地方側ではまだそれが実感できないというのが現状ではないだろうか。日本文化を継承する全国の温泉地、旅館に世界中から観光客を誘客し、日本を好きになってもらうためにも、国だけでなく県や市の観光行政のご理解とご支援をお願いしたい」とあいさつした。
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下呂温泉神社は、1989年に出羽三山・湯殿山神社から分霊を奉斎し、建立された。
出羽三山は山形県の中西部にある月山、湯殿山、羽黒山の三つの霊山の総称。開祖は蜂子皇子で約1400余年の歴史をもつ。西の伊勢参りに対し「東の奥参り」と言われ、関東以北最大の庶民信仰を集めた。
岐阜県とも縁の深い、俳諧・松尾芭蕉の奥の細道紀行では「語られぬ湯殿に濡らす袂かな」と詠っている。なお、湯殿山神社のご神体は霊岩、分霊の箱根越えは初めて。