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旅館・ホテル ■第2820号《2015年11月7日(土)発行》    
 

旅館の8割が「人手不足」、本紙アンケート調査で判明
 観光経済新聞社はこのほど、全国の主な旅館約100軒を対象に、「人手不足」に関するアンケート調査を行った。調査では、回答者の8割強が何らかの形で人手不足を感じていると回答。人手不足への対応策は社員の多能化、従業者を集めるための取り組みはハローワークや求人広告のほか、学校訪問、従業員の待遇改善などを挙げる声があった。業界が取り組むべきこととして、宿泊業に対するイメージアップ、生産性の向上などを挙げている。

 「自館で人手不足を感じていますか」
 「感じている」「大いに感じている」「部門によっては強く感じている」など、何らかの形で感じていると回答した旅館が8割強あった。

 半面、「人材を選ばなければ感じない」とする旅館もあった。

 「人手不足への対応策は」
 繁忙部門への社員の応援体制の構築や社員の多能化、派遣会社への人員の依頼、給料のベースアップなどを挙げる旅館が多い。主な回答は次の通り。

 「シフトの見直しおよび他セクションのヘルプ体制での対応」「業務の効率化」「社員の多能化」「原則として他部署からのヘルプを基本にしている」「繁忙部門への他部門からの応援体制」「自部署、担当の仕事にこだわらず、個人でいくつかの仕事ができるようにしている」「派遣会社への対応(一時的な人員投下)」「短時間パートの活用」「派遣社員での充当や、正社員、アルバイト・パート社員の時間延長」「インターンシップ受け入れ」「2015年11月支給より女子接客係(アスティー)のベースアップ」「給与、労働時間等の改善を進めて採用増を目指している」

 「従業者を集めるために取り組んでいることは」
 ハローワークや求人広告の活用を中心に、学校への訪問、外国人の採用などさまざまな取り組みが行われている。また従業員への待遇改善を指摘する声もあった。

 「ハローワークに求人依頼」「分かりやすくイメージのしやすい求人広告、求人画面の作成」「都市部への求人折り込み広告」「パート、アルバイトは従業員による紹介運動の展開」「正社員出身校へのOB活動」「専門学校、大学へのインターン制提案」「大学、短大等への合同説明会などの参加」「外国人労働者の採用」「福利厚生制度の充実」「60歳以上の雇用延長」「全館休業日の増加、休日の増加、ダイバーシティ経営。地味だがこういったことにより最終的に人が集まる環境になるのではないかと思う」

 「人手不足を解消するために、業界が取り組むべきことは」
 宿泊業に対するイメージの向上、生産性向上への取り組み、外国人労働者を受け入れるための法的整備、従業員の待遇改善などを指摘する声が多かった。

 「宿泊業に対するイメージ改善、働き手にフィーチャーしたPR活動など」「日本の文化でもある旅館の素晴らしさを高校、大学で協同で生徒へ伝えていく」「当業界就労者の地位向上」「メディアを使い、業界をアピールする」「サービス業が魅力ある、将来性のある職業であることの周知徹底。日本で最大の成長産業であることの周知徹底」「給与の改善と労働時間の削減の2点。そのためには生産性を大幅に向上させなくてはいけない。さらなる高単価化と労働生産性向上によるコストダウンを並行して進める」「現在あちらこちらで言われているサービス産業の生産性向上について指針を与えていただければと思う」「外国人労働者の法的整備」「業界がどこまでかかわれるのか不明だが、単体では取り組めない外国人技能実習生の受け入れ機関として考えていただけるとうれしい」「従業員の安定雇用のための福利厚生(特に住居部門)」「町や市などの行政もしくはいくつかの施設合同で託児所を運営」

 「その他、人手・人材に関して訴えたいことなど」
 主な意見は次の通り。

 「今後の日本人労働者数の減少は確実なので、外国人労働力を活用できる法の整備などが必要」「業界の求人市場の拡大、拡充」「国政および県が地方創生を掲げているので、地域に人材が根付くような助成金等の交付」「オリンピック、パラリンピックまでは人手が充足するとは思えない。息の長い対応が必要になると思うので、付け焼刃の対応で逃げ切ろうなどと思わぬことだと思う」「離職率と離職内容の分析をして、できる限り改善」「大学生のリクルートの時期を戻してほしい」「旅館ホテルの宿泊単価のアップ。毎年必ず実行できる環境を業界でつくる。収入が多ければ良い人材が必ず集まる」



生活衛生功労者表彰、旅館・ホテルから24人が受賞
旅館・ホテル関係受賞者らの記念撮影

 厚生労働省と全国生活衛生同業組合中央会は10月27日、東京のホテルニューオータニで生活衛生功労者表彰式を開いた。旅館・ホテル、飲食、美容など生活衛生17業種で長年業界の発展に貢献した経営者らを表彰。旅館・ホテルからは厚生労働大臣表彰で10人、全国生活衛生同業組合中央会理事長表彰で14人の計24人が晴れの表彰を受けた。

 式では厚生労働省の塩崎恭久大臣が「本日、栄えある表彰を受けられる皆さま方に心からお喜びを申し上げる。皆さまはそれぞれの業種で衛生水準の向上と経営の健全化に長年にわたり取り組まれてきた。これからも業界の指導者としてご尽力いただきたい」とあいさつ。

 中央会の森川進理事長も受賞者をたたえるあいさつを述べた。

 全業種で大臣表彰は145人、中央会理事長表彰は179人が受賞。中央会理事長表彰では島根県旅館ホテル生活衛生同業組合の松崎滋理事長が代表で登壇。「私たちはそれぞれの業種で生衛業の発展に微力を尽くしてきたが、本日図らずもご厚情あふれる表彰の栄誉をたまわり、身に余る光栄だ。今後も心を新たに、生衛業の発展向上に努力してまいりたい」と謝辞を述べた。

 旅館・ホテル関係の受賞者は次の通り。

 【厚生労働大臣表彰】(敬称略)
 西海正博(北海道組合理事長、全旅連副会長、大雪山白金観光ホテル)▽澤田克司(岩手県組合理事長、宮古ホテル沢田屋)▽小関吉左衛門(山形県組合専務理事、仙峡の宿銀山荘)▽齊藤源久(東京都組合理事長、ニューショーヘイ)▽富井松一(新潟県組合副理事長、松泉閣花月)▽宮川功(富山県組合元副理事長、旅亭みや川)▽柳場信吾(岐阜県組合理事、金松館)▽森田武(静岡県組合元常務理事、三園旅館)▽山下常臣(愛媛県組合副理事長、ホテルとらや)▽中島光雄(鹿児島県組合副理事長、春本旅館)

 【全国生活衛生同業組合中央会理事長表彰】(同)
 奥山新一郎(山形県組合副理事長、食彩の宿おくやま)▽小坂昌弘(東京都組合理事、ホテル新御苑)▽鈴木茂男(神奈川県組合理事長、ホテル南風荘)▽杉山幹雄(神奈川県組合副理事長、和心亭豊月)▽内田新三(愛知県組合常任理事、南知多観光ホテル大新)▽石橋政治郎(大阪府組合副理事長、大和屋本店)▽金澤信義(兵庫県組合副理事長、懐石宿潮里)▽坂口邦嗣(和歌山県組合理事長、漁火の宿シーサイド観潮)▽松崎滋(島根県組合理事長、松の湯)▽飯島彰(香川県組合専務理事、高松ターミナルホテル)▽河内広志(愛媛県組合理事、道後プリンスホテル)▽古谷博(高知県組合副理事長、高知サンライズホテル)▽園上重一(大分県組合常務理事、いで湯の宿丸神屋)▽中上袈裟松(宮崎県組合監事、旅館牧水)

◇     ◇     ◇     ◇     ◇


 観光業界ではこのほか、厚生労働大臣表彰を中野吉貫氏(香川県飲食業生活衛生同業組合副理事長、ナカノヤ)が受賞した。



日本ビューホテルグループ、両国駅前に18番目のホテル開業
山本区長(左から2番目)らによるテープカット

 日本ビューホテルは2日、同グループ18番目のホテル「両国ビューホテル」を東京都墨田区にオープンした。JR両国駅前に位置し、国技館や江戸東京博物館も至近距離にある。開業記念式典には墨田区の山本亨区長、墨田区観光協会の阿部貴明理事長も駆けつけ、新しいホテルの開業を祝った。

 ホテルは「ザ・ホテルベルグランデ」を引き継ぐ形で開業。客室数150室、318人収容で、今後段階的に改装を行い、客室数はそのままに最大366人収容にする予定。来年2月半ばの完成を目指す。

 客室の壁紙やエレベーターホールに浮世絵、朝食レストランの壁紙に力士絵を採用するなど、地元の文化を前面に打ち出した。

 同社の石井一男社長は「ご縁あってこの地で開業させていただく運びとなった。地域に根差した運営をしてまいりたい」とあいさつ。

 墨田区の山本区長は「両国地区は来年にすみだ北斎美術館、再来年に刀剣博物館の開業も控えている。私どもとともにこの町を大いに盛り上げていただきたい」と祝辞を述べた。





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