日インドネシア文化経済観光交流団1100人がインドネシアを訪問 |
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ジョコ大統領からの歓迎を受けた交流団参加者=ジャカルタのムリアホテルで |
日本とインドネシアの相互交流をさらに促進しようと、全国旅行業協会(ANTA)会長も務める二階俊博・日本インドネシア国会議員連盟会長(自民党総務会長)を団長として、観光関係者や経済界関係者ら1100人の「日インドネシア文化経済観光交流団」がインドネシアを訪問した。11月23日にはインドネシアの政治・経済関係者との夕食会「交流の夕べ」に参加し、ジョコ・ウィドド大統領から歓迎を受けた。二階会長は「両国の歴史に刻まれる交流だ」と強調した。
インドネシア政府は6月12日に観光目的の日本人に対するビザ免除制度を導入。二階会長は、5月にインドネシアを訪問した際、ビザ免除を記念し、両国間の交流を一層促進するために大規模な交流団の派遣をジョコ大統領に提案。大統領の賛同を得て、今回の派遣となった。
交流団は、林幹雄経済産業相はじめ17人の国会議員が同行。観光関係では日本旅行業協会(JATA)、ANTAに属する旅行業関係者や、後藤斎山梨県知事、中村時広愛媛県知事、尾郫正直高知県知事ら地方自治体関係者など約600人が参加した。
交流の夕べは、インドネシア日本友好協会の主催により首都ジャカルタのムリアホテルで開催された。インドネシア側はジョコ大統領ら約200人が参加した。
主催者を代表してインドネシア日本友好協会のギナンジャール・カルタサスミタ会長は「ビザ免除によって二階会長はインドネシアへの訪問客を2倍に増やすと決意されている。今回の交流団は、この決意の実現、経済の投資、商業の協力関係の拡大の実現を意味している」と交流団の訪問を歓迎した。
二階会長は「バティック」(ジャワ更紗)の服を着て登壇。「(インドネシアで)これだけ多くの日本人が一堂に会したのは初めてのこと。インドネシアの独立70年という記念すべきこの年に、このような両国の歴史に刻まれる交流が実現できた」と語った。「観光交流の拡大は両国交流の進化の証でもある。今後は地方をはじめとした相互の新しい魅力の発見が非常に重要となる」として、両国間の航空路線の充実に向け尽力する考えを示した。
ジョコ大統領は「今日の半分を日本からの来賓の皆さまのために割いている。それは日本とインドネシアの関係の強化にいかに私が注目しているかの証左だ」と話し、「インドネシアは巨大なビジネスチャンスのある国。今回の交流団を受け入れたことで、2国間の友好関係が強化され、インドネシアの経済成長が加速化すると思っている」と日本に期待した。
交流団の訪問に伴い、交流の夕べを核として11月20日から24日まで観光や経済に関するさまざまな行事がジャカルタで行われた。観光関連では日本政府観光局(JNTO)が、一般消費者に訪日旅行をアピールする「ジャパン・トラベル・フェア」を20〜22日に、観光交流拡大に向けて両国の観光関係者が意見を交わす「日本インドネシア観光交流拡大シンポジウム」と、日本の地方公共団体、観光関連民間事業者とインドネシアの旅行会社による訪日旅行商談会を23日に開催した。
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観光庁・厚労省、民泊問題で議論開始 |
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「民泊サービス」のあり方に関する検討会の初会合 |
一般住宅やマンションの空き室などを国内外の旅行者に有償で提供する民泊サービスのあり方に関して、厚生労働省と観光庁は、有識者で構成する検討会を設置し、11月27日に初会合を開いた。宿泊需給の改善にとどまらない経済活性化の視点から迅速な規制改革を期待する意見が出る一方で、衛生、治安、防災、近隣住民への影響、観光の質などの観点から一定の規制、慎重な議論を求める意見も挙がった。
検討会の座長は、東京大学大学院工学系研究科教授の浅見泰司氏。他の委員は業界団体や自治体の代表、大学教授、弁護士など15人。会合は月1、2回開催する予定。来年3月末をめどに中間報告として論点を整理し、来年の夏、秋をめどに報告書をまとめる。
初会合の意見交換では、東京大学社会科学研究所教授の松村敏弘氏が「民泊を考える上で重要な点は、宿泊需給の改善だけではなく、シェアリングエコノミーの重要なピースであるということ。遊休資産を有効に活用して経済成長に資する。GDP600兆円の目標の達成に資するようにする。関係者の利害調整に終始するのではなく、大きな目標を念頭にスピード感を持って規制改革を推進すべき」と主張した。
一方で全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会の北原茂樹会長は「経済活動への良い面ばかりが挙げられているが、集合住宅(の民泊利用)にいろいろな問題が集中している。まずは国家戦略特区の大阪、東京の実証結果を見て、その上で議論を深めることが重要」と強調した。
議論や規制緩和の進め方では、涼風法律事務所弁護士の熊谷則一氏が「何らかの形で進める必要があると考えるが、何かひとたび事があると、多くの方の生命、身体に影響がある。そう考えると、一足飛びとはなりにくい。基本的にはそろり、そろりとやっていく。これまで緩和してきた部分、海外などの事案を見ていくべき」と述べた。
宿泊サービスの競争環境の平等化(イコールフッティング)などの課題では、五木田・三浦法律事務所弁護士の三浦雅生氏が「イコールフッティングという観点から見て、旅館業法の旅館・ホテルと、民泊がどう違うのか、よく議論した方がよい。旅館業法に公衆衛生と治安維持が規定されている意味を考え、今どこまでやる必要があるのか、説明できるようにした方がよい」と指摘した。
旅館・ホテル業への影響、観光の質の問題では、和歌山大学観光学部教授の廣岡裕一氏が「規制から外れた民泊は、既存の安くて良質な宿泊業を圧迫し、全体的な質を下げてしまう。民泊は当面の観光客をさばくには有効だが、長い目で見ると、日本の観光にとってよろしくない。認めるにしても何らかの枠にはめる必要がある」と訴えた。
感染症や近隣住民とのトラブルが起きた場合、現場での対応をせまられるのは自治体。神奈川県保健福祉局生活衛生部長の甲斐康文氏(副知事・吉川伸治氏の代理出席)は「旅館業法は感染症防止、治安維持の面から、本人確認、宿泊者名簿などの規定が設けられている。それらによって健全な旅館業運営、地域の公衆衛生の向上が図られてきた事実がある。民泊を活用する場合にも、本人確認を担保するような議論をお願いしたい」と要望した。
消費者保護の観点では、全国消費生活相談員協会理事長の吉川萬里子氏が「消費者に対する責任の所在はどこかを明確にしてほしい。安全、安心を基本にした制度になるような議論を」と要請した。
次回の会合では、引き続き討論を行うほか、関係者のヒアリングを予定している。
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全国観光圏推進協議会、新たな日本の旅を提案 |
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会見後フォトセッションに臨む関係者(前列左端が小林会長) |
全国観光圏推進協議会(小林昭治会長=八ヶ岳観光圏)は11月27日、都内で記者会見し、ゴールデンルートに代わる新たな日本の顔を目指す「全国観光圏ブランド化プロジェクト」を発表した。テーマは「UNDISCOVERED JAPAN(まだ知られていない日本)」で、全国12の観光圏の特徴を生かし、訪日外国人旅行者を中心に新たな日本の旅の楽しみ方を提案する。
同協議会は2014年6月に発足した。(1)観光圏同士の情報共有(2)品質保証制度導入に向けた検討(3)人材育成研修(4)インバウンド獲得に向けた広域連携—などに取り組んでいる。
小林会長は冒頭あいさつで「国内外から選ばれる国際競争力の高い、次世代のブランド観光地域を目指す」と述べ、日本版DMO(観光地域マネジメント・マーケティング組織)の確立に意欲を示した。
全国観光圏ブランド化プロジェクトチームの植田佳宏代表(にし阿波〜剣山・吉野川観光圏)は「日本の魅力はゴールデンルートだけではない。多様性に富んだ本来の日本の魅力を体感できるエリアとして、地方に埋もれているまだ知られていない日本の魅力を『UNDISCOVERED JAPAN』として海外に向け発信していく」と強調。
キーワードはSpiritual、Life、Culture、Exploreで、例えばCultureを体験できる場として雪国観光圏を挙げている。
また、プロジェクトでは確かなサービス品質の提供を掲げており、「日本初となる宿泊施設、アクティビティーの観光品質認証制度である『SAKURA QUALITY』の導入に向けた取り組みを推進する」(植田代表)という。旅館などからの申請を第三者が評価する仕組みを構築する。
このほか、ワンストップ窓口の整備、各観光圏の相互送客と予約手配も手掛ける意向だ。
この日は東洋文化研究者のアレックス・カー、同協議会アドバイザーの清水慎一、立教大准教授の豊田三佳の3氏が登壇し、今後の活動に期待感を表明。
「有名観光地を訪れることや世界遺産を見ることだけが観光ではない。今回の試みは大きな意味があり、展開を楽しみにしている」(カー氏)、「歴史、伝統文化に根づいた、地域らしさの発信が必要だ。(外客を)地域全体で受け入れる姿勢が大事で、その際、安心・安全の提供がキーワードになる。UNDISCOVERED ジャパンがこれから主流になってくるだろう」(清水氏)、「安心・安全が日本の強みであり、小さな施設でも品質が保証されていなければならない。SAKURA QUALITYに期待する」(豊田氏)などと述べた。
12観光圏は、▽水のカムイ観光圏▽富良野・美瑛観光圏▽ニセコ観光圏▽ときめき佐渡・にいがた観光圏▽雪国観光圏▽八ヶ岳観光圏▽浜名湖観光圏▽海の京都観光圏▽香川せとうちアート観光圏▽にし阿波〜剣山・吉野川観光圏▽豊の国千年ロマン観光圏▽「海風の国」佐世保・小値賀
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