安倍晋三首相は10日、記者会見の冒頭の発言の中で、発生から5年を迎える東日本大震災からの復興について言及した。観光振興では東北6県の訪日外国人宿泊者数を現状の約3倍、150万人に増やす目標を掲げた。達成に向けて海外の旅行会社の招請や交通機関のフリーパス発行などの取り組みに意欲を示した。
冒頭発言の観光関連部分は次の通り。
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1年前、イギリスのウィリアム王子と、福島で御一緒しました。屋外で元気一杯に遊ぶ福島の子どもたちに、王子は、優しい笑顔で、「楽しそうだね」と語りかけていました。そして、その夜は、王子とともに、福島が誇る食材を使った料理や、福島の地酒を、堪能しました。
風評被害の払拭には、できるだけ多くの外国人の皆さんに、福島を実際に訪れて頂き、地元の食材を味わっていただくことが、何よりの対策であります。
さらに、福島に限らず、東北各地に、たくさんの外国人の皆さんにお越しいただきたい。それが、復興への大きな力になると信じます。
昨年、日本を訪れる外国人観光客は、政権交代前の2倍以上、ほぼ2千万人に達しました。しかしながら、東北6県の外国人宿泊者数は、昨年ようやく、震災前の水準である50万人を回復したにすぎません。この数を、ラグビーワールドカップ、さらには東京オリンピック・パラリンピックを大きな起爆剤としながら、2020年に、3倍の150万人に押し上げることを目指す。今年を、まさに、「東北観光復興元年」にする考えであります。
今後5年間で、海外の旅行会社の方々を2千人規模で東北に招き、その素晴らしさを体験してもらう。東北への魅力あるツアーを組んでもらうため、大々的な「東北プロモーション・キャンペーン」を実施します。
さらに、外国人観光客の皆さんには、東北の各都市を巡るだけではなく、その周辺にある、津々浦々、故郷の良さを実感してもらいたい。外国人観光客向けに、地域の路線バスや鉄道の「フリーパス」を企画するような取り組みも行いたいと思います。