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旅館・ホテル ■第2837号《2016年3月19日(土)発行》    
 

宿泊施設、大都市の稼働率が上昇

 観光庁はこのほど、宿泊旅行統計調査の2015年の年間値を発表した。宿泊施設の客室稼働率(速報値)は、全国平均が60.5%で前年に比べて3.1ポイント上昇した。都道府県別では、大阪府が85%、東京都が82%となるなど、大都市部やその周辺で稼働率が高い。大都市と地方には格差があるが、39都道府県が前年の稼働率を上回った。施設のタイプ別では、シティホテル、ビジネスホテル、リゾートホテルが調査開始(10年)以来、最高を記録した。

 大阪府は前年比4.2ポイント増の85.2%となり、全国で最高。東京都は同3.5ポイント増の82.3%で全国2位だった。続いて70%台は京都府、愛知県、千葉県。60%台は福岡県、沖縄県、神奈川県、埼玉県、広島県、石川県、宮城県、北海道、滋賀県の9道県だった。前年比では滋賀県が10.5ポイント増、石川県が8.8ポイント増と伸びが目立った。

 同年の延べ宿泊者数(速報値)は全国合計で前年比6.7%増の5億545万人泊。07年の調査開始以来では、過去最高を記録した。日本人の延べ宿泊者数は2.4%増の4億3908万人泊、外国人の延べ宿泊者数は48.1%増の6637万人泊だった。

 全体の86.9%を占める日本人の宿泊は、14年が消費増税の影響などで減少したため、その反動が表れているが、13年と比較しても1.5%増だった。観光庁は増加要因に、円安などによる海外旅行から国内旅行へのシフト、北陸新幹線の開業などを挙げている。外国人の宿泊は、訪日旅行者数が過去最高の1974万人を記録して大幅に伸び、全体に占める割合は前年から3.6ポイント増の13.1%に上昇した。

 地方ブロック別(運輸局別)の稼働率(カッコ内は前年比増減)を高い順に示すと、(1)近畿70.2%(5.0ポイント増)(2)関東68.2%(2.5ポイント増)(3)沖縄67.7%(5.7ポイント増)(4)北海道61.5%(3.7ポイント増)(5)中国59.0%(1.3ポイント増)(6)九州58.8%(2.5ポイント増)(7)中部56.8%(4.7ポイント増)(8)東北53.0%(1.3ポイント増)(9)四国51.8%(1.2ポイント増)(10)北陸信越43.6%(3.6ポイント増)。

 宿泊施設のタイプ別に見ると、シティホテルが前年比2.6ポイント増の79.9%、ビジネスホテルが同3.0ポイント増の75.1%、リゾートホテルが同3.3ポイント増の57.3%、旅館が同2.6ポイント増の37.8%といずれも上昇した。

 特に大阪府ではリゾートホテルが91.4%、シティホテルが88.1%、ビジネスホテルが87.8%に達した。東京都はビジネスホテルが86.3%、シティホテルが83.8%に上った。

 シティホテルが80%台に達した都道府県は大阪府、東京都のほか、埼玉県、千葉県、神奈川県、石川県、愛知県、京都府、兵庫県、福岡県、沖縄県。ビジネスホテルの80%台は大阪府、東京都のほか、神奈川県、京都府、兵庫県だった。

 旅館について見ると、最高だったのは東京都の61.5%。続く50%台は石川県(53.6%)、大阪府(50.7%)、愛媛県(50.4%)、京都府(50.3%)、佐賀県(50.2%)の5府県。40%台は北海道、青森県、宮城県、群馬県、神奈川県、静岡県、和歌山県、山口県、長崎県、熊本県の10道県だった。



岡山の湯原温泉、記念日テーマのプランを企画
プランをPRするポスター

 湯原温泉(岡山県真庭市)の湯原町旅館協同組合は、「記念日」をテーマとしたプランを加盟旅館16軒で行っている。長寿祝いや誕生日、七五三といった記念日に訪れた宿泊・日帰り客に、祝い酒とフォトフレームを贈呈する。組合では「『記念日を祝うなら湯原温泉で』というイメージを定着させたい」と意気込んでいる。

 組合では4月から始まる「晴れの国おかやまデスティネーションキャンペーン(岡山DC)」に併せて、湯原温泉でも話題になるようなイベントを仕掛けようと考えたところ、個人や家族単位の小旅行で、記念日を祝うために訪れる人が増えてきたことに着目。「お祝いするなら湯原温泉」というキャッチコピーを付け、記念日を前面に出したプランを、加盟旅館がDC前の1月から一斉に始めた。

 記念日に訪れた宿泊・日帰り客に、同市の蔵元「辻本店」の地酒「御前酒」を祝い酒として、さらにメッセージ付きフォトフレームを贈る。さらに一部の旅館では、独自に特別料理や鏡開き、ケーキプレゼントなどの特典を付ける。

 池田博昭組合長は「団体客が減る一方、個人や家族といった少人数のお客さまが増えており、記念日に訪れるというニーズがあることが分かった。お客さまの思い出づくりをお手伝いすることで『お祝いするなら湯原温泉』と言われるようにしていきたい」と話す。

 組合では、記念日プランを通年事業として、岡山DC終了後も続けていくことにしている。





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