北海道新幹線(新青森駅—新函館北斗駅間148.8キロ)が3月26日開業した。東京—新函館北斗間が最速4時間2分で結ばれ、道南を中心とした北海道全域や青函圏の観光活性化につながると地元では期待の声が高まっている。開業前日から行われた記念行事では、高橋はるみ北海道知事らから、「開業を機にさらなる活性化を」「次は札幌へ早期の延伸を」と期待する声が続いた。
新函館北斗駅(北斗市)で行われた開業式典で高橋知事は「いよいよ新幹線時代の幕開け。この夢の乗り物を最大限に活用し、北海道の隅々まで活性化させるべく、取り組まなければならない。次の札幌延伸に向けてもしっかり取り組む」とあいさつ。
JR北海道の島田修社長も「新幹線の開業はゴールではなくスタート。外国人を含めた観光客の入り込み拡大で、地域全体が活性化するよう取り組む」と意欲をみせた。
石井啓一国土交通相は「長年の悲願達成は地元の皆さんの熱意があってこそ。開業効果が北海道全域に拡大することを期待する」と述べた。
式典に続き、同駅を6時35分に出発する新幹線一番列車(東京行はやぶさ10号)を見送り。7時38分着の同駅初の到着便(新青森発はやて91号)には、知事らの出迎えほか、JRグループ協定旅館ホテル連盟北海道地域本部の会員らが乗客に地域の観光パンフレットを配った。
函館大沼プリンスホテル・北海道カントリークラブ大沼コースの田口政毅さんは「ホテルは昨年改装し、今後はゴルフ場のリニューアルも予定。新幹線の開業に合わせて観光客の受け入れ態勢を整備しています」と述べた。
函館市内のホテルで開かれた開業記念祝賀会には関係者およそ600人が出席。主催者として出席した青森県の三村申吾知事は「北東北と道南は一つの交流圏だ。新幹線の開業を機に、鉄路を使った一体観光を一層進めたい」と、北海道との連携強化を訴えた。
開業当日は、新函館北斗駅と在来線の函館駅を結ぶ列車「はこだてライナー」と、JRから分離した第3セクター鉄道「道南いさりび鉄道」(五稜郭—木古内間37.8キロ)の出発式も実施。
開業前日は函館市内の観光地「金森赤レンガ倉庫」で前夜祭が行われた。高橋知事や道南地域の市長、地元選出の国会議員らが出席し、市民や観光客らに新幹線の開業をアピール。倉庫の壁面に新幹線開業までの歴史を映し出すプロジェクションマッピングの点灯式も行われた。
北海道新幹線は新函館北斗と東京間を1日10往復、仙台、盛岡、新青森との間を1日各1往復、計13往復運行。JR北海道の「H5系」、JR東日本の「E5系」各車両(10両編成)が走行する。料金は東京—新函館北斗間が通常期で2万2690円(普通車指定席、大人、運賃1万1560円、特急料金1万1130円)。
新幹線は今後、2030年度に札幌への延伸を予定している。