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観光行政 ■第2844号《2016年5月14日(土)発行》    
 

東商、国交相に観光振興で意見書
意見書の提出後、ポーズをとる石井国交相(左)と佐々木委員長

 東京商工会議所(三村明夫会頭)はこのほど、「東京とわが国における観光振興に関する意見」を国土交通省に提出した。観光が成長戦略、地方創生の切り札になるとの認識のもと、インバウンドのさらなる成長と国内観光の促進を両輪として、観光産業の稼ぐ力を高めつつ観光立国の実現を図ることが必要との基本的な考えを示した。

 東商の観光・まちづくり委員会(委員長・佐々木隆副会長、JTB相談役)がとりまとめ、石井啓一国交相に提出した。

 (1)インバウンドと国内観光の両輪による総合的な観光振興の促進(2)観光産業の稼ぐ力を高め、真の基幹産業へ(3)観光立国の実現に向けた推進体制の構築・強化—の三つの柱からなる意見をまとめた。

 国内観光の活性化に向けた戦略的取り組みでは、まず広域観光周遊ルートの形成・構築を挙げた。関東地方では14年度から「関東観光広域連携キャンペーン推進事業」を官民連携で展開しており「国としても後押しをされたい」と要望。

 また、「国内の観光客は50代以上が約4割弱を占め、旅行商品もシニア世代を優遇するものが多い」と指摘。旅行人口の層を拡大していくには、参加体験型観光の需要を踏まえた新たな旅行ニーズの掘り起こしや若者の旅行体験の促進、旅行需要の平準化などに取り組むべきだとした。

 具体例として、世界・日本遺産、社寺観光、アートツーリズムなどテーマ別観光に取り組む地域をネットワーク化し、共同サイトの開設やプロモーションの強化に加え、アウトドアレジャーや音楽フェスティバルなど参加体験の要素が強い旅行もテーマに加えて、幅広い層に対して旅行の動機付けを図ると提言している。

 インバウンドの増加に伴い、民泊がクローズアップされているが、サービスに関する責任が明確でない現状から「部屋の貸し手および借り主の特定、提供する物件の要件確認、トラブルへ対応できる相談窓口の設置、損害発生時の賠償責任など仲介事業者の役割を明確にするルール作りが求められる」とした。

 国際観光ホテル整備法についても触れ、「登録制度が有効に機能しているとは言い難い」とした上で、「利用者が目的、予算に応じて良質のサービスを提供する施設を選択できる新たな設備・サービス基準を策定するとともに、登録施設に対する新たなインセンティブの検討や登録に関する相談体制の強化など、制度活用を促す環境整備が必要」と強調した。


日商、政府の観光行動計画の改定へ意見書
 日本商工会議所(日商、三村明夫会頭)はこのほど、政府が毎年策定している「観光立国実現に向けたアクション・プログラム」の改定に対する意見を決議した。訪日観光(インバウンド)と国内観光の振興、観光基盤の整備などに関して、早急な措置を期待する施策を挙げた。

 意見書は日商観光委員会の須田寛共同委員長が4月21日に石井啓一国土交通相、観光庁の田村明比古長官に手渡した。

 外国人の訪日観光では、出入国手続きの改善や宿泊施設の拡充などの必要性を指摘。宿泊施設では旅館の活用に向けて、外国人のニーズに合った施設の改修、公衆無線LANの設置、カード決済環境の整備などへの支援策を求めた。

 日本人の国内観光では、DMO(観光地域マネジメント・マーケティング組織)構築への支援策の強化、文化財などの観光資源の活用などを要望した。

 観光基盤では、観光産業のイノベーションなどを重視。宿泊業や飲食業の労働生産性の低さが指摘されているとして、ICT(情報技術)などを活用した生産性向上への支援策の拡充を要請した。

 意見書のうち宿泊業の生産性向上について、須田共同委員長は「日商としても個別の経営指導を行っていくが、国からのさまざまな支援策が必要だ。団体やグループの取り組みに対する支援の仕組みづくりを要望していく」と述べた。





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