奈良県内の小規模旅館・ホテル6施設が1日、誘客のためのプロモーションやサービス向上対応、旅行商品開発などを行うコンソーシアム(企業連合)「Ryokan & Hotel Selection—NARA—(リョカン・アンド・ホテル・セレクション=RHS)」を設立し、16日に登大路ホテル奈良(奈良市)で記者発表を行った。
奈良は宿泊施設が少ないことから、観光客の多くが日帰りで、県内宿泊客の増加が課題になっている。さらに、小規模施設は、知名度や経営体力の面から、独自のプロモーションがしにくいなどの問題がある。
このため、普段はライバル同士の施設がコンソーシアムを設立することで、今後は共同で奈良観光振興の活動を行っていく。
設立のきっかけは、2年前に開かれたフランス・カンヌでの奈良県や県内の宿泊・観光施設などによる観光商談会。参加した宿泊施設の関係者らが、共同での観光振興の必要性を重視し、RHSの設立につながった。
RHSの誘客ターゲットは、インバウンドや国内のシニアなど富裕層。今後「共同プロモーションの実施」「サービスレベル向上のための取り組み」「オーダーメードのオプションプランの提案」を柱に活動していく。具体的には、各地で開かれる商談会・旅行フェアへの参画や旅行会社への営業、勉強会の開催、「和食料理体験」「会員施設おすすめの観光スポットを巡るツアー」といった旅行商品開発など。
RHSの会長に就任した「旅亭 十三屋」(三郷町)の野郫隆男社長は「地元の人しか知らないような観光資源に付加価値を付け、東京や大阪、京都といった大都市の観光都市にはない魅力で誘客を図りたい」と話す。
RHSは、会の理念を共有し、高品質のサービスを提供している客室数20室以下の県内宿泊施設に参加を呼び掛けている。事務局は旅行会社、エグゼ(神戸市、濱地伊久代社長)内に置く。
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RHSに参画した施設は次の通り。
春日奥山 月日亭(奈良市)▽古都の宿 むさし野(同)▽棚田の宿 ささゆり庵(宇陀市)▽奈良町宿 紀寺の家(奈良市)▽登大路ホテル奈良▽旅亭 十三屋