観光庁、熊本地震からの観光復興へ九州旅行費用を助成 |
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熊本地震からの観光復興に向けて観光庁は、九州に滞在する旅行商品や宿泊プランが割引料金で提供されるように、九州7県に対して助成費用を交付する。交付額の合計は180億3千万円。各県が対象商品や割引率を設定するが、熊本県の場合、夏季には最大で7割引きの商品をつくることも可能だ。7〜12月の旅行が対象で、各県の実施態勢が整い次第、対象商品の販売が始まる。
政府が5月31日に決定した「九州の観光復興に向けての総合支援プログラム」の一環。補正予算で創設した熊本地震復旧等予備費の一部を活用する。災害復興策として国が旅行費用を補助するのは初めて。
交付額の内訳は熊本県が65億6千万円、大分県が60億9千万円、鹿児島県が17億5千万円、長崎県が16億9千万円、福岡県が9億2千万円、宮崎県が8億6千万円、佐賀県が1億6千万円。交付額は事務費や宣伝費を含む。平常時の旅行者数、キャンセルの発生状況などを加味して配分した。
観光庁は、県、時期によって割引率の基準を定めているが、各県が商品の内容などに応じて割引率を設定できる。例えば、被災した地域やキャンセルが集中した地域に宿泊する旅行商品に対して高い割引率を設定することも可能だ。
割引率の基準は、熊本県と大分県の場合、7〜9月は最大で70%の割引率を設定できるが、対象商品の平均の割引率を50%にする必要がある。同様に10〜12月は最大50%、平均25%が要件。熊本、大分以外の5県は、7〜9月が最大50%で平均20%、10〜12月が最大40%で平均10%。
また、1人当たりの割引上限額も設定されている。宿泊のみでは1回の予約で2万円まで。交通付き宿泊旅行商品は、1泊2日で1人2万円まで、2泊3日以上で1人3万円まで。2県以上を訪問する2泊3日以上の宿泊旅行商品は1人3万5千円まで。
販売に際しては、クーポン券などは発行しない。観光庁が実施例として示す主な流れは、旅行会社が店舗などで販売する旅行商品、宿泊施設が直接販売する宿泊プランの場合、各県が助成の対象とする旅行商品や宿泊施設を認定。消費者には割引料金で販売し、県が割引分を事業者に支払う。宿泊・旅行予約サイトに掲載の商品の場合は、県と事業者の間に九州観光推進機構が入って調整する。
観光庁の実施例では、販売経路は旅行会社、宿泊施設、宿泊・旅行予約サイトとなる。旅行会社では、九州の中小旅行会社を支援するため、宿泊を伴わない着地型旅行商品も対象に認める方針。宿泊施設の直販を含めたのも、旅行会社などと提携していない中小規模施設を支援する狙いがある。九州各県は実施例を基に実施態勢を具体化する。
この他、観光団体を中心に国内・海外向けの九州誘客プロモーションを展開。訪日旅行需要の喚起では、メディアや旅行会社の招請、旅行会社や航空会社と連携した共同キャンペーンなどを行う。
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政府がグループ補助金公募へ、中小企業の復旧支援 |
熊本地震に伴う政府の「九州の観光復興に向けての総合支援プログラム」では、旅行需要を喚起する旅行費用助成の交付金以外に、被害を受けた中小企業などを対象にした支援制度が拡充された。建物や設備に被害を受けた宿泊事業者などが活用できる中小企業向けグループ補助金などの施策が掲げられた。
「中小企業等グループ補助金」(中小企業組合等共同施設等災害復旧事業)では、中小企業などがグループを形成して施設・設備の復旧に関する計画、経費を申請する。要件を満たせば、補助率は最大で国、県合わせて4分の3。事業予算の総額は400億円。中小企業庁が6月中に公募を開始する。
直接・間接的に被害を受けた中小企業、小規模事業者の資金繰り支援は6月1日に拡充した。日本政策金融公庫、商工組合中央金庫が「熊本地震特別貸付」によって長期、低利で融資する。信用保証では、信用保証協会が通常の限度額とは別枠で100%保証するセーフティネット保証4号を適用する。
この他、雇用調整助成金では全国的な特例に加えて、九州7県について助成率の引き上げを実施している。 |
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