日本人の国内旅行消費額、15年は11%増の20兆4090億円 |
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観光庁がこのほど発表した2015年の日本人の国内旅行消費額(確報値)は、20兆4090億円で14年に比べて10.8%の増加となった。高い伸び率は、消費税率引き上げに伴う14年の落ち込みからの反動が主な要因。シルバーウイーク(SW、秋の大型連休)や北陸新幹線開業も旅行消費を喚起したとみられるが、東日本大震災前の10年の実績とほぼ同水準にとどまった。政府は、国内旅行消費額を20年に21兆円、30年に22兆円に増やす目標を掲げている。
観光庁が国民から抽出した2万5千人を対象に実施している旅行・観光消費動向調査の結果。国内旅行の数値は、観光、帰省、出張などすべてを含む。14年4月の前後の比較では、消費税率の引き上げを考慮する必要がある。
15年の国内旅行消費額は、調査対象や調査項目を拡充した10年以降では、10年(20兆4354億円)に次ぐ2番目の水準だった。旅行単価(1人1回当たり消費額)が上昇したが、宿泊、日帰りを合わせた延べ旅行者数は14年比1.6%増の6億472万人で、10年以降では2番目に低い実績となった。
旅行形態別に見ると、宿泊旅行の消費額が14年比13.8%増の15兆8120億円、旅行単価が同8.1%増の5万520円となり、ともに10年以降では最高額となった。ただ、延べ宿泊旅行者数は3億1299万人で、10年以降で2番目に低い実績だった。
日帰り旅行の消費額は同%1.5増の4兆5970億円、旅行単価は同3.6%増の1万5758円だった。延べ日帰り旅行者数は同2.1%減の2億9173万人で、10年以降では最低だった。
15年の国内旅行は、日並びが良いシルバーウイーク、北陸新幹線金沢開業があり、国の地方創生交付金を活用した旅行券や宿泊券も発行され、消費が上向いたものの、市場の動向は上昇傾向とは言えない。今年に入っても1〜3月期の旅行消費額(速報値)は4兆2990億円で15年同期比3.2減だった。
政府は、今年3月に決定した観光振興構想「明日の日本を支える観光ビジョン」の中で、地域への経済効果を高めることを重視し、日本人の国内旅行消費額に目標数値を設定した。目標は最近5年間の平均値(約20兆円)に対し、20年が約5%増の21兆円、30年が約10%増の22兆円。「人口減少が予測される中でも国内旅行が縮小しないよう、施策によって旅行回数を増やすことなどで消費額の維持に努める」としている。
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経産省がピクトグラム改定へ、温泉マーク変更も |
経済産業省は、温泉などの場所を示す案内用図記号(ピクトグラム)を外国人にも分かりやすくするため、改定に着手する方針だ。慣れ親しんだ温泉マークも変わる可能性がある。
2020年の東京五輪・パラリンピック(東京オリパラ)では訪日外客増が見込まれている。現在のピクトグラムの中には外国人の誤解を招きかねないものがあるとして、見直すことにした。
ピクトグラムは現在、日本工業規格(JIS)で約140種類が規定されている。例えば、温泉マークは湯気が立ち上っているのが一般的だが、外国人にはホットプレートに乗った温かい料理の湯気と映り、料理店と勘違いされることがあるという。国際標準化機構(ISO)の定めるデザインには入浴する人が描かれており、同省ではISOに準拠したデザインとする意向だ。
7日に開催するJIS原案作成委員会で審議を開始する。140種類のうち、70種類を変更するほか、新しいピクトグラムも追加する。温泉マークのほか、宗教上の祈りをささげるための「祈祷室」や、海外発行カードATMや無線LANなどが候補に挙がっている。 |
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