訪日外国人の消費単価、2期連続のマイナス |
観光庁が7月20日に速報値として発表した今年4~6月期の訪日外国人の消費単価(1人当たりの旅行支出)は、前年同期比9.9%減の15万9930円で2期連続のマイナスとなった。円高傾向の為替レート、中国人客の買い物事情の変化などが影響した。旅行消費の総額では、訪日客数の増加に伴い同7.2%増の9533億円となった。
訪日客数の多い東アジアの消費単価は、中国が22.9%減の21万9996円、台湾が14.4%減の12万3308円、韓国が6.3%減の6万9310円、香港が7.8%減の14万8063円と軒並みマイナス。一方で、シンガポールを除く東南アジア、米国、フランス、ドイツなどはプラスだった。
観光庁の田村明比古長官は、消費単価の動向について「為替レートが円高傾向でマイナスとなった市場でも、現地通貨ベースではプラスになる。消費意欲が減退しているわけではない」と強調。ただ、中国の消費単価の減少要因については、為替レートに加え、中国の制度変更に伴う海外で購入した商品に対する関税の税率引き上げ、比較的低額な商品の購入拡大などの影響を可能性として指摘した。
中国の消費単価を費目別に見ると、買い物代が12万3597円で、昨年10~12月期と比較すると約4万円減少した。他の費目は、宿泊料金が3万9860円、飲食費が3万5408円、交通費が1万7104円などだった。
国・地域別の旅行消費の総額は、中国が1.5%減の3530億円で、全体に占める割合は37.0%だった。以下は台湾が2.9%減の1427億円(構成比15.0%)、韓国が7.8%増の695億円(同7.3%)、米国が27.0%増の669億円(同7.0%)、香港が5.2%増の637億円(同6.7%)など。
費目別の旅行消費の総額は、買い物代が3603億円(全体に占める割合37.8%)、宿泊料金が2648億円(同27.8%)、飲食費が1912億円(同20.1%)、交通費が1079億円(同11.3%)、娯楽サービス費が276億円(同2.9%)だった。 |
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訪日外国人旅行者数、6月として過去最高 |
今年6月の訪日外客数(推計値)は、前年同月比23.9%増の198万6千人で、6月として過去最高を記録した。日本政府観光局(JNTO)が7月20日に発表した。熊本地震の影響を受けて5月がマイナスとなっていた韓国がプラスに転じた。今年1~6月累計では、前年同期比28.2%増の1171万4千人に達した。
6月は、ビジット・ジャパン(VJ)事業の重点市場のうち、英国、ロシアを除く18市場が6月として過去最高だった。この中で台湾、香港、米国が月間の過去最高を記録。訪日プロモーションの効果に加え、夏休みの旅行シーズンの開始、クルーズ船の寄港増加がプラス要因とみられる。
韓国は、38.1%増の34万7400人。前年同月は、韓国で発生した中東呼吸器症候群(MERS)の発生に伴う旅行控えがあったため、その反動が伸び率に表れた。韓国は九州への訪問が多く、5月は熊本地震の影響が他の市場より目立った。九州への旅行需要は十分に回復している状況ではないが、運休していた航空便が順次再開した。
中国は、26.0%増の58万2500人。3カ月連続で50万人台を記録するなど好調。クルーズ船の需要増加、日中間の地方航空路線の拡大、端午節(6月9~11日)の連休などがプラス要因となった。
台湾は、15.2%増の39万7800人。LCC(格安航空会社)の浸透が個人旅行需要を後押しした。航空路線では、6月3日に中華航空の熊本―高雄線が再開、同29日にはタイガーエア台湾の仙台―台北線が就航した。
香港は、19.0%増の16万3100人。旅行費用が高騰する春、夏を避けた訪日旅行の需要の高まり、LCCのセールスプロモーションなどで旅行者数が伸びた。
東南アジアは、タイが10.4%増の4万7900人、シンガポールが11.8%増の3万2600人、フィリピンが48.2%増の2万7600人などとなった。
米国は、22.8%増の12万5400人。夏季休暇にあたる年間最大のピークを迎え、燃油サーチャージの引き下げなどを追い風に旅行者が増加した。豪州はクルーズの人気や航空路線の拡充で33.1%増の3万200人。欧州では英国が20.6%増の2万300人、ドイツが13.9%増の1万2千人などだった。
1~6月累計は1171万4千人で上半期では初めて1千万人を超えた。VJ事業の重点市場ではロシアを除く19市場が上半期の過去最高を記録した。 |
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