中小企業の業況DI、3期ぶりに上昇 |
経済産業省はこのほど、中小企業景況調査の7~9月期分を公表した。同期の中小企業の業況判断DI(前期比で好転とする企業割合から悪化とする企業割合を引いた値、季節調整値)は前期比1.3ポイント増のマイナス18.2と、3期ぶりに上昇した。「中小企業の業況は、一部業種に足踏みが見られるものの、持ち直しの動きを示している」と同調査。業種別では、宿泊業が同9.2ポイント増のマイナス7.4と、3期ぶりに上昇した。
製造業が同1.3ポイント増のマイナス15.6、非製造業が同1.4ポイント増のマイナス19.0。それぞれ4カ月ぶり、3カ月ぶりに上昇した。
非製造業の宿泊業以外は、飲食業が同0.9ポイント増のマイナス20.0。対個人サービス業(生活関連)が同2.1ポイント減のマイナス21.9。小売業が同0.8ポイント増のマイナス28.4。
企業の規模別では、中規模が同1.1ポイント増のマイナス13.6、小規模が同1.4ポイント増のマイナス19.5。
都道府県別では、中国、四国、九州・沖縄で上昇が目立つ。中国5県では鳥取県、四国4県では徳島県、九州・沖縄8県では長崎県のみが低下し、ほかは上昇した。
半面、東北6県は秋田県と福島県、近畿7県は奈良県と和歌山県のみが上昇した。
来期(10~12月期)の見通しは、全産業が今期比1.9ポイント増のマイナス16.3。
業種別では、宿泊業が同6.7ポイント減のマイナス14.1。
調査は全国の中小企業1万8943社に実施。このうち1万8291社から有効回答を得た。
調査対象企業の主なコメントは次の通り。
「ふっこう割クーポンの影響もあり、お客さまが増加しているが、震災時の安い企画のお客さまの宿泊で客単価が減少ぎみ」(宿泊業、大分)。
「従業員の確保が非常に厳しく、長期の安定した雇用につながらず、募集広告費用ばかりがかさみ、経営も厳しい状態となっている」(食料品、千葉)。
「求人は出しているが、なかなか見つからない。1年にわたり出し続けているが良い人材がいない。従業員数が利用客に対して少ないので良いサービスを与えることが困難になり、離店になっていくのが怖い」(対個人サービス業、山梨)。
「震災の影響の工事量がかなり見込まれている。そのため、各社とも人員不足が懸念されている。また、材料費も既に値上がりしている」(建設業、熊本)。
「7月、8月は好天に恵まれ気温も高めで推移したため、アイスクリーム、ソフトドリンク、ビール、調理めん等の売れ行きが好調で売り上げ全体を押し上げた」(小売業、宮崎)。 |
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