──ビジネスの仕組みは。 「バブル期などに企業が建てた高品質な保養施設の経営を受託。企業保養所兼一般向け宿泊施設として『四季倶楽部』を展開している。365日いつでも1泊朝食付5250円がコンセプト。食事の部屋出し、布団敷きはしない」 ──始めた理由は。 「1家4人で家族旅行すると10万円近くかかる。これでは国内旅行需要は増えない。すべての人が平等に安価で旅行できる仕組みを作ろうと思った。日本のリゾート宿泊のあり方を変えたい」 ──会社の業績は。 「初年度からずっと増収増益。04年12月期決算は売上高10億円、経常利益2億円」 ──運営施設の稼働率は。 「現在、運営施設数は14カ所で全140室。05年1年間の平均客室稼働率は90%、定員稼働率は64%。リピーター率は40%超」 ──予約受付の方法は。 「宿泊の2カ月前から電話で受け付ける。事前受付は一切しない。予約センターで1日平均1千件以上の電話を受けている」 ──インターネット予約は。 「開業当初行っていたが、やめた。インターネット予約には、仮押さえやノーショーなど問題が多すぎる。きちんとした宿泊予約は、人と人との対話なしでは成りたたないと思う。ただ電子メールでの予約受付なら対話ができるので今後導入する」 ──宿泊客の客層は。 「シニア層が多い」 ──12月に山梨県石和温泉のホテル古柏園と業務提携しましたね。経緯は。 「先方から打診があった。1カ月で話しがまとまった」 ──業務提携の内容は。 「古柏園の一部客室を、四季倶楽部の価格、サービス内容の商品として当社の電話予約センターで販売する。予約配信料として売上の5%を頂く」 ──客室ブロックは。 「しない。システムを結合したので古柏園の在庫がリアルタイムで全て分かる。相談の上、在庫を販売していく」 ──旅館側の提携メリットは。 「当社は保養所の再生に成功した。旅館なら保養所より容易に経営効率を上げられる」 ──具体的には。 「当社コンセプトと電話の予約獲得ノウハウで、平日やオフ期の客室を埋めてみせる。旅館の収入は必ず増える」 ──手数料5%で利益は出るのか。 「出ない。利益は保養所の受託経営で出ている。旅館との提携で利益は求めない」 ──では、なぜやるのか。 「企業は社会の公器。四季倶楽部の事業理念を広め、社会に貢献するためにやる。訪日外国人も含めた全ての人が、平等に安価で宿泊ができる仕組みを日本につくりたい」 ──今後、旅館との提携予定は。 「古柏園の結果を半年で出す。そして半年以内に5軒、1年で20軒と提携したい。提携先は1地域1旅館に限定して取り組みたい」 【プロフィール】 やまなか・なおき 41歳。89年東京大学法学部卒、三菱地所入社。総務部、経理部などを経て、01年2月「社内ベンチャー制度」により、同社全額出資で四季リゾーツを設立、現職に就任。