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 ■観光業界人インタビュー 第2365号≪2006年3月18日(土)発行≫掲載
楽トラのインバウンド戦略

楽天トラベル
取締役副社長・国際事業本部長
岡武公士氏

──楽天トラベルの契約施設がインバウンドの登録をすると、英語、韓国語、中国語(簡・繁体語)の各国語で予約受付ができるとか。
「各施設の日本語ページを自動翻訳ソフトで変換する。翻訳料は無料。施設には手数料(システム利用料)10%のみをご負担いただく」

──手数料率は妥当か。
「米大手旅行サイトの手数料は18%程度。25%というケースもある」

──販売価格の設定は。
「日本円で設定、日本円で表示する」

──インバウンド登録をしている施設数と内訳は。
「参加施設数は約1300軒。実際に部屋を登録しているのは約500軒。シティーホテル、ビジネスホテルが6割。残りが旅館、リゾート、ホテル、ペンション」 

──昨年度の実績は。
「愛知万博の効果もあり、前年の2倍以上に増えた」

──どこの国が多いか。
「米国中心に英語圏からが1番多い。ついで英語を話す在日外国人、韓国人、中国人の順だ」

──宿泊地はどこが多いか。
「東京が圧倒的に多い。次が大阪。ほとんどがビジネス需要だ。ただ地方旅館などで部屋登録をしている施設は、着実に実績を伸ばしている」

──外国人の受け入れに不安をもつ施設も多いのでは。
「韓国、中国からインターネットで予約する人はほとんどがアッパークラス。心配ないと思う。インバウンドの成否は、一歩踏み出すかどうかにかかっている」

──インバウンドの予約サービスはいつ始めたのか。
「楽トラが『旅の窓口』だった00年に、米大手旅行サイトの『エクスペディア』『ホテルズドットコム』と提携して英語予約を始めた。現在は、楽トラの英語サイトで直接予約を受けている」

──中国と韓国は。
「中国では『上海旅の窓口』という会社で、03年4月からインバウンドとアウトバウンドの双方向予約サービスを始めた。韓国では現地法人『楽天トラベルコリア』で04年4月から同双方向予約サービスを始めた」

──楽天トラの各国語サイトは現地で知られているのか。
「英語サイトはヤフー、グーグルなどの検索エンジンで上位表示されるような工夫をしている。中国、韓国では、各国内の宿泊施設を予約できる機能をつけた。自国内の宿泊需要は、日本が6億泊、中国が7億泊、韓国が2億泊。自国内の宿泊予約で使ってもらえれば認知度は上がる」

──親会社の楽天が04年6月、中国最大の旅行サイト「シートリップドットコム」の株式約20%を約120億円で取得した。相乗効果は出ているか。
「中国人旅行者が日本の宿泊施設を予約する際に、シートリップドットコムの電話予約センターに電話すると、オペレーターが楽トラの宿泊在庫を紹介する」

──上海旅の窓口とシートリップドットコムの関係は。
「上海旅の窓口は、楽天トラベル上海事務所が技術サポートをしている現地資本の会社。シートリップは楽天の出資会社」

──今後の展開は。
「団塊の世代の大量リタイアでビジネス需要は確実に減る。少子高齢化の人口減で宿泊需要そのものも減る。宿泊客はインバウンドで増やせる。今年からインバウンドに本腰を入れる」

【プロフィール】
おかたけ・まさし 46歳。84年龍谷大学経済学部卒、日立造船情報システム入社。96年プロジェクトマネージャーとして「ホテルの窓口(旧旅の窓口)」を開発。02年楽天入社。04年楽トラ副社長。


【聞き手・江口英一】
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