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 ■観光業界人インタビュー 第2372号≪2006年5月6日(土)発行≫掲載
もてなしの原点は旅館
伊豆女将会と業務提携


ロイヤルパークホテル社長
中村裕氏

三菱地所グループのホテル統括会社、ロイヤルパークホテルズアンドリゾーツは、伊豆の旅館25軒の女将会「THE OKAMI」(宇田倭玖子会長=白壁荘)と業務提携した。集中予約センター「ロイヤルアクセス」で4月1日から、同グループの7ホテルに加えて旅館の予約ができるようになった。

──「ロイヤルアクセス」とは何か。
「ロイヤルパークホテルズの集中予約センター。電話予約、インターネット予約、旅行会社への提供客室の管理など宿泊予約に関する全ての作業を一カ所に集約して行っている」

──「THE OKAMI」はどんな女将会か。
「首都圏の在日外国人を伊豆地域に誘客することを目的に、伊豆の女将25人の有志が集まり03年に設立した。静岡県の補助事業認定も受けている」

──業務提携の経緯は。
「外国人の誘客方法について女将会から相談を受けた。女将達の『おもてなし』に対する考え方に共感し、ロイヤルアクセスへの加盟をすすめた。昨年の夏から半年かけて提携内容を決めた」

──女将会にはどんなメリットがあるのか。
「国内と海外から宿泊予約を受ける窓口が増える。ミニポータルサイトと電話予約センターを新しく持ったようなもの。インバウンドも細かくサポートする」

──具体的には。
「5月にロイヤルアクセスの英文ホームーページを開設する。ここで外国人からの予約を英語で受ける。必要事項を翻訳し、各旅館に連絡する。コールセンターでも英語で予約を受け、翻訳してから連絡する。訪日外国人、在日外国人ともに英語予約対応のニーズは高い」

──女将会は今まで外国人からの予約をどのように受けていたのか。
「電子メールで受けていたが、英語での返信作業に苦慮しているようだった。じゃあお手伝いしましょうということになった」

──ロイヤルパークホテルズ側にはあまり提携メリットがないのでは。
「メリットは大きい。CS(カスタマー・サティスファクション=顧客満足)で済んだ時代からCD(カスタマーデライト=顧客感動)が求められる時代になった。『ホスピタリティ=もてなし』の原点は旅館にあると私は考えている。ホテルが旅館から学ばなければならないことは多い。将来的には人事交流をやってもいい」

「各旅館にはロイヤルパークホテルズのパンフレットを置いていただく。顧客相互交換という相乗効果も期待できる」

──旅館はホテルズから何を学んだらいいのか。
「外国人への接遇の仕方などを学んでほしい」

──ホテルズの外国人宿泊客比率は。
「7軒のホテルによって違うが、ロイヤルパークホテルの場合、都心と成田空港を結ぶバス発着駅の東京シティエアターミナルに隣接していることもあり、平日は宿泊客の約7割が外国人。ロイヤルパーク汐留タワーでも平日は4割」

「外国人宿泊客から温泉や旅館について問い合せを受けることも多かった。各ホテルには『THE OKAMI』の英文パンフレットを備え置く。今後は都心から交通の便もよい伊豆の宿をご紹介することができる」

──ロイヤルアクセスへの加盟は無料か。
「加盟料と配信料(予約手数料)を頂く」

──手数料率は。
「他の宿泊予約サイトより低い」

──5%未満か。
「そんなところだ」

──他の旅館ホテルはロイヤルアクセスに加盟できるのか。
「ぜひご参加いただきたい。電話予約センターの人員にも予約システム処理能力にもまだ余裕がある」

──今回の提携の最大の理由と目的は何か。
「直接的には女将達が大変熱心だったから。最大の目的は、国策であるビジットジャパンキャンペーンの一翼を担うということ」

【プロフィール】
なかむら・ゆたか 65歳。63年明治大学政経学部卒業、東京ヒルトンホテル入社。71年グァムヒルトン営業支配人、87年東京ヒルトンインターナショナル総支配人を経て、88年ロイヤルパークホテル代表取締役専務総支配人。00年同ホテル社長・三菱地所常務。現在、日本ホテル協会会長、ロイヤルパークホテル社長、ロイヤルパークホテルズアンドリゾーツ取締役、三菱地所顧問、JTB非常勤取締役。

【ホームページ】
ロイヤルアクセス
THE OKAMI


【聞き手・江口英一】
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