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 ■観光業界人インタビュー 第2405号≪2007年1月13日(土)発行≫掲載
インバウンドにも貢献
当面は海旅に最大注力


エクスペディアジャパン代表取締役
エリック・ファイゲンバーム氏

オンライン旅行サイト最大手の米エクスぺディア(http://www.expedia.com)は昨年11月29日、日本語版サイトを(http://www.expedia.co.jp)開設した。

──エクスペディア全体の事業規模は。
「06年6~9月期実績で売り上げ(予約総額)が42億ドル。05年度は3700万泊を扱った。1秒間に1泊以上の予約を受けた計算だ。ニューヨークとラスベガスでは全予約の10%がエクスペディア経由だ」

──オンライン旅行サイトでは世界最王手とか。
「世界1位だ。旅行会社としては米AMEX、米CWTに次ぐ3位だ」

──創業はいつか。
「米マイクロソフトの1つの事業部として95年に発足し、96年に独立した。00年12月に“ダイナミックパッケージング”を始めた。ダイナミックパッケージングという呼び名はマスコミがつけたものだ」

──日本語版の特長は。
「英語版では航空券、ホテル、レンタカー、クルーズなどが予約できる。それらのパーツを利用者が自由に組み合わせて購入するのがダイナミックパッケージングだ。日本語版ではまず宿泊予約サービスを始めた」

──なぜ日本市場に進出したのか。
「潜在力が高いからだ。日本は米国に次ぐ世界2位の旅行大国。英語版の利用者も北米在住者を除けば日本人が最も多い。05年の出国者1750万人のうちオンラインで海旅手配を行った人は10%弱。一方、米国では49%に達している。また日本ではFIT(海外個人旅行)比率もまだ16.1%。大きなビジネスチャンスがある」

──先行上陸した英大手旅行サイトのラストミニッツドットコムは、06年9月28日に日本市場から撤退した。敗因は何か。
「コメントできない」

──エクスペディアジャパンの事業展開を日本の旅行業界は注視している。
「世界各国で利用者の支持を受けている便利な旅行予約の仕組みを日本人旅行者にも母国語で提供しようとしているだけだ。またエクスペディアはインバウンドにも貢献している」

──各国語版のエクスペディアをすべて合わせると年間でどのくらい日本に送客しているのか。
「東京都内だけでも10万泊を超えている」

──契約施設の総数は。
「世界中で3万3千軒の宿泊施設と直接契約している。日本の宿泊施設も150軒ある」

──旅館との契約は。
「5軒以上はある」

──日本では宿泊予約サイトの手数料は5%から8%程度が相場だ。エクスペディアの手数料は20%から30%程度だと米ホテル関係者から聞いている。
「宿泊施設とは手数料という契約形態を取っていない。原価で仕入れた客室をエクスペディアの値付けで販売している」

──日本語版サイトでのダイナミックパッケージ販売はいつ始めるのか。
「今すぐにでも始めたい。ただ各国で法律も業界慣行も異なる。英語を日本語に翻訳すればそれで済むわけではない。一例だが、オーストラリアには05年12月に進出し、まず宿泊予約を始めた。その後06年8月にダイナミックパッケージングを発売した。イタリアでも同じプロセスを踏んだ。日本でも同様に展開していくつもりだ」

──日本発着の航空座席を持つ各航空会社との提携交渉は進んでいるか。
「話し合いを進めている最中だ」

──日本市場で海外ダイナミックパッケージ販売を実現しているGTO(グローバルトラベルオンライン)と楽天トラベルは、WTS(ワールドトラベルシステム)社の航空予約エンジンを採用している。同システムを導入すれば即日、海外ダイナミックパッケージが実現するのでは。
「選択肢の1つだ」

──日本の国内旅行のダイナミックパッケージに参入する予定はあるか。
「いまは海旅の実現に注力している。将来的には検討する」

──JRなど鉄道会社と提携する予定はあるか。
「エクスペディアで鉄道予約に対応しているのは、仏語版の仏国内鉄道予約だけだ。いずれにせよ海外ダイナミックパッケージングの実現が先決だ」

【プロフィール】
Eric Feigenbaum 37歳。カリフォルニア大学バークレー校卒。スタンフォード大学院経営学修士(MBA)。メリルリンチ日本証券、米ヤフー、オーバーチュアを経て06年10月から現職。


【聞き手・江口英一】
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