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 ■観光業界人インタビュー 第2406号≪2007年1月27日(土)発行≫掲載
新発想のビジネスに挑戦

HISエクスペリエンス・ジャパン
代表取締役 野々山桂氏

HISは06年11月22日、インバウンド専門会社のエイチ・アイ・エス・エクスペリエンス・ジャパン(HEJ)を設立した。4月1日からサービスを開始する。

──少し長い社名ですね。
「社名を略するとHEJ。スウェーデン語で『ヘイ』と発音し、『こんにちは』という意味。社内ではヘイと呼んでいる」

──なぜインバウンドを始めることにしたのか。
「HISは1981年に創業し、海外格安航空券販売の世界では成功を収めた。手を広げ過ぎず、一点集中突破の戦略を貫いた結果だ。06年10月期のグループ連結決算も経常利益が約81億円と好調だ。ただ創業から30年近く経っており、市場環境が変わってきているのも事実。そんな中、観光立国が国策となり、VJCなどでインバウンドの機運も高まっている。大きな伸びが期待できる分野だと思う。HEJとして一点突破していきたい」

──社長はこのために古巣に戻った。
「HISから91年に独立、旅行会社の夢屋を創業した。HISのフランチャイジーとして6店舗を展開している。01年には添乗員派遣会社もつくった。今回、新規事業をやるので責任者をやってくれとHISから声がかかった。HISが95%、私個人が5%出資している」
   
──新事業の内容は。
 「訪日外国人個人旅行客への情報提供と観光サポートを行う。ランドオペレーターはやらない。旅行会社的発想のインバウンド事業とは異なるビジネスモデルだ」
   
──具体的には。
「メディア事業、サポート事業、旅行事業の3つだ」 
「メディア事業のブランド名は『Wa─shoi!(わっしょい)』。英語、中国語(繁体字)、韓国語でWEBサイトを開設する。日本のインバウンド情報を全て検索でき、口コミ情報も収集できるポータル&コミュニティサイトをつくる。インバウンド用のグーグルとミクシィをめざす。また都内の観光情報を満載した英文フリーペーパー(B5判の無料情報誌)を月刊で1万5千部発行する。ともに広告収入で運営する」

「サポート事業のブランドは『カレイドスコープ』(万華鏡の意味)。『インバウンド版BTM(ビジネストラベルマネジメント)』だ。ビジネス絡みのインバウンド客をカレイドスコープサポートデスクがアシストする。日本滞在中の通訳、観光案内、宿泊手配などを行う。サービスフィーは受け入れ先の日本企業からちょうだいする仕組みだ。英語、中国語、韓国語、スペイン語の4カ国語で対応する」

「旅行事業は体験型オプショナルツアーの『エクスペリエンス東京』。10人以下の募集型企画旅行だが、バスはつけず観光もしない。寿司屋を貸し切って寿司にぎりを体験できる『寿司エクスペリエンス』、秋葉原でのメイド体験など50のメニューをそろえたい。もちろん、お茶、お花、そば打ちもできる。サブカルチャーから伝統文化まで、幅広く奥深い東京体験を提供していきたい。本物を追求するので価格設定は高めになる。HIS以外の旅行会社にも代売をお願いしていく」
   
──現在の会社の規模と目標数値は。
「社員数は4月までに30人に増やす。09年9月期に売上高50億円、黒字化をめざす」

【プロフィール】
ののやま・かつら 47歳。南山大学文学部卒業後、83年にインターナショナルツアーズ(現HIS)入社。HIS創草期のメンバー。91年に旅行会社を設立し独立。06年11月から現職。

【ホームページ】
エイチ・アイ・エス エクスペリエンス ジャパン


【聞き手・江口英一】
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