──ウェブ部門の昨年の取扱実績は。 「当初、110億円の取扱高を目指していたが、期中に100億円に下方修正した。最終的にオンライン完結の取扱実績は約90億円という結果になった。目標に対しては90%にとどまったが、前年比では130%となり、まずまずの結果だった。メイトやホリデイのツアー型商品と宿泊商品(宿とる、Eクーポンなど)の比率はほぼ半々となっている」 「一番伸びたのはホリデイで、前年比170%という実績となった。これは05年夏に自社データベースに切り替えたことや、SEO(検索エンジン最適化)施策が奏功したことによる。宿泊については、宿とるは順調に推移したが、現地払いのEクーポンが苦戦。ネット上では現地払いの宿泊単品マーケットの競争が激しく、その影響を受けたといえるだろう」 ──ツアー型メイトについては。 「昨年7月、ホリデイでうまくいったところをベースにしてリニューアルした。ゴメスコンサルティングが1月に発表した『国内ツアー旅行サイトランキング』では、総合3位にランクされた。カテゴリー別では『安定性と信頼感』部門で、ATOUR、ヤフートラベルを抑え1位となった。リニューアルの効果が出ている」 ──Web営業部は「eビジネスカンパニー」となり、1月1日付で野中さんは執行役員eビジネスカンパニー本部長に就任された。 「カンパニーは、(1)オンライン旅行販売ビジネスで足元の業績を固めること(2)中長期的な視点で新しいビジネスモデルの布石を打つ──という役割が求められている。ラインとしての利益責任とスタッフ的な仕事の棲み分けをどうかじ取りするのかが大変だ。ライバルは同業他社よりもむしろネット専業者。KNTの強みを発揮して期待にこたえたい」 ──今年度の目標数字はどうか。 「カンパニーのスローガンを『成長加速』と掲げ、160億円とした。内訳はツアー型70億、宿泊85億、そしてFITで5億。東名阪一体となった販売体制も3年目に入り、マルチネットセンター支店・営業所のスタッフの力も上がってきた。メイト・ホリデイ事業本部との連携を強化し、コンテンツとユーザビリティに磨きをかけ、マーケットの成長性をしのぐレベルで販売を伸ばしたい」 「やはり肝心なのはコンテンツ。ユーザーの旅心を誘うものをいかに作り、提供していくかがかぎを握っている。結局は優れたコンテンツプロバイダーが勝者になるということだ」 ──FITは従来なかったものだ。 「ネット上での個人対応を強化する。まず、格安航空券の販売を6~7月をめどに行い、秋にはホテル、そして今年中にそれらを組み合わせた本格的なダイナミックパッケージを販売したい。システム、データベースについては海外旅行部、海外仕入事業部と一緒になってユーザーに支持される内容に仕上げたい。また、KNTホームぺージも夏までに全面リニューアルし、より見やすい、便利な、使い勝手のいいものにする」 ──総合宿泊予約サイト、ステイプラスがスタートした。どんな特徴があるか。 「当社のシステムを利用して、ユーザーが宿泊施設と直接契約を結ぶサイトで、今一番ポピュラーな仕組みだ。宿泊施設の方々が直接プランを入力し、客室登録を行い、価格設定するのだが、ステイプラスでは当社ホストに提供していただいている客室も転用できるのが特徴。仕入客室の稼働率アップにも貢献できると考えている。KNTの宿泊商品も同時に検索できる機能が整備されており、ユーザーの選択肢も広がる」 ──契約施設数、手数料はどうなっているか。 「約8千軒と契約を済ませている。旅館とホテルの割合はほぼ半分だ。3月末には1万軒まで拡大し、初年度40億円の売り上げを目標としている。手数料は8%。スタートしたばかりであり、今後、状況を見ながら適切に対応していく考えだ」 ──ステイプラスもそうだが、旅連会員の協力なくしては商品内容の充実は図れないと思う。 「何はともあれ、メイト商品への積極的な参画をお願いしたい。昨年、ツアー型メイトの詳細ページの利用施設情報を、宿とる、Eクーポンの商品ページをご案内し、宿泊のみの予約ができる仕組みを導入した。ツアー型商品を検索していたお客さまが宿泊単品を予約されるケースはけっこう多い」 「また、メイトクーポン(宿とるオンライン)に掲載されれば、パンフレットの流通範囲を超えて全国からの集客が可能になる。さらに、Eクーポンは現在、提携サイトで一番露出されているコンテンツであり、期間限定プラン、地域特集などで今まで以上のご協力をお願いしたい」 ──KNTと協定している宿泊施設の地域組織である各連合会との連携についてはどのような取り組みをしているのか。 「昨年は北海道、東北、関西、中四国、九州の5連合会でウェブプロモーションを展開し、成果を残すことができた。特に北海道では情報連絡委員会メンバーのブログ発信という新たな試みもあった。今年、計画されている連合会・支部があったらぜひご連絡をいただきたい」 ──宿泊予約サイト1つをとってみても様々なシステムがあり、施設側もやや混乱しているようだ。ネット社会はさらに進化すると思われ、KNTと旅連がこの問題について話し合う場がないというのは不自然ではないか。 「確かにそうだ。ただ、旅連本部でも今年、eビジネスのワーキングが復活する予定だと聞いている。数年後を見通した、前向きな議論を行い、双方にメリットの生まれるようにしていきたい」