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 ■観光業界人インタビュー 第2421号≪2007年5月26日(土)発行≫掲載
“宿の販促”を支援する
国内旅行は「成長領域」


リクルート 国内旅行カンパニー
カンパニー長
冨塚優氏

──リクルート国内旅行カンパニーとは何か。旅行会社か。広告会社か。
「販促支援会社。宿泊施設への送客数を増やすのが最大の仕事だ。国内旅行情報誌『じゃらん』と国内旅行サイト『じゃらんnet』で実行している。旅行会社も顧客。じゃらんにはJTBからも大量の広告をいただいている」

──リクルートからみて観光産業界は魅力のあるマーケットか。
「そう思う。リクルート内で国内旅行カンパニーは成長領域と認定されている。リクルートは青臭いところがある会社。じゃらんの事業を通じて地域活性化に貢献することに意義を感じている。業界内の既存の各事業モデルには改善の余地も多い。収益はもっと高められる。需要喚起で観光産業はさらに伸びる」

──じゃらんnetは宿泊施設が操作する管理画面を3月中旬に刷新した。
「プラン作成や在庫管理の操作を簡単にした。宿が宿泊者に独自のアンケートもとれるようにした」

──宿の評判はどうか。
「事前ヒアリングを重ねた上で改修した。使いやすくなったと好評だ。結果、掲載宿泊プラン数が8万7900から19万6800へと2倍以上に増えた」

──06年度(3月期)の業績は。
「ネット予約取扱高は、前年比42%増の1180億円。総予約人泊数は33%増の1443万人泊」

──84年創刊の海外旅行情報誌「エイビーロード」は昨年10月号で廃刊。海外旅行はネットのエイビーロードに一本化された。じゃらんは大丈夫か。
「じゃらんは北海道から九州まで全国7エリアで展開している。総発行部数は月間111.7万部。昨年より約10%増えた。よい特集記事を組めば部数は伸びる」

──携帯サイトでの宿泊販売はどうか。
「伸びている。02年から06年の4年間で15倍になった。ただ伸び率はPCを若干上回る程度。携帯だけが伸びているわけではない」

──クチコミを導入する旅行サイトが増えている。クチコミ情報に信用力はあると思うか。
「情緒的価値はある。データの正確性うんぬんの問題ではない」
「クチコミを携帯からも入力できるようにしてほしいという要望が多い。改善するところだ」

──インバウンド向け宿泊予約サービスは。
「現在はやっていない」

──参入する予定は。
「あるが独自展開は考えていない。韓国なら韓国の企業と、中国なら中国の企業と組みたい。提携先を探している段階だ」

──昨年1月26日からヤフートラベルでじゃらんnetの宿泊予約が可能になった。
「就職情報サイトや結婚情報サイトの提携などでリクルートとヤフーの関係は深かった。その一環で旅行部門でも提携した」

──この22日、JALが国内旅行「JALダイナミックパッケージ」を始めた。宿泊在庫はじゃらんnetが供給している。JALは、じゃらんnetとヤフートラベルでも順次発売すると発表した。
「あらゆる企業とアライアンスを組んでいくというのがリクルートの手法。JALとはお互いにビジネスライクな関係だ」

──リクルートは、シニア層対象の温泉宿泊通販会社「ゆこゆこ」を昨年10月に買収した。若年層とミドル層の利用が多いじゃらん、じゃらんnetとの相乗効果は出ているか。
「これからだろう。内部固めをしたところだ」

──旅行会社「旅行計画」には、ゆこゆこが85.1%、ANAが14.9%出資している。ダイナミックパッケージなどでANAと提携する予定はあるか。
「具体的に決まっているわけではないが検討はしている。リクルートは1社とだけ手を組むということをやらない会社。常にいろいろな可能性を探し、ビジネスとして成り立つか検証した上で参入する」

──JTBが3月に開設した「るるぶトラベル」をどう思うか。
「コメントできない」

【プロフィール】
冨塚 優氏(とみづか・すぐる) 41歳。88年立教大学法学部卒、リクルート入社。広告事業部門で企業の採用コンサルティングセールスを担当。01年4月、就職ジャーナル編集長兼リクナビ編集長。04年4月、国内旅行Divisionエグゼクティブマネージャー兼北海道じゃらん役員。06年4月、国内旅行カンパニー カンパニー長兼北海道じゃらん役員。


【聞き手・江口英一】
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