──海外と比べ、国内旅行市場は低迷気味といわれるが、社長はどのように見ているか。 「去年までは景気回復に従い、当社の総販もそれなりに伸びていったが、今年は4月に入ってから対前年100%を切っている。統一地方選の影響や、運賃の値上げなどの影響があるのではないか」 ──今年度の目標数字は。 「旅行取扱額は3108億円。営業利益は18億円を見込んでいる。ちなみに、06年度はそれぞれ2930億円、22億円だった」 ──取扱額は伸びているが、営業利益が前年より低く設定されているのはどうしてか。 「航空運賃の上昇がそのまま原価に反映できないことや、システム投資額が大きく増えていることに起因する。特に中期的に、今年そして来年の2年間は、システム投資が膨らむだろうということで数字的には増収減益を見ている」 ──昨年、ANAと楽天トラベルが業務提携し、旅行業界に大きなインパクトを与えた。ウェブ販売強化のためのシステム投資と理解していいのか。 「ダイナミックパッケージの『旅作』を出したが、(情報)インフラ整備がまだしっかりできておらず、ダイナミックパッケージの良さを十分に生かしていない。20億円強をシステム投資して改善する予定だ。システム投資額も膨らんできているが、ウェブでの売上高が500億円から1千億円になればペイしてくると思う」 ──今ウェブ販売の売上高はどのくらいか。 「今年の目標額は200億円、対前年152%を見込んでいる」 ──交通機関から宿の手配まで、自分で旅を組み立てていくニーズは高まると思うが、半面、煩わしさもあるのでは。 「スカイホリデーやハローツアーの従来のパンフレット商品だけでは、将来多種多様なニーズにこたえられなくなる。ダイナミックパッケージはまだ研究開発段階で面倒を感じさせる場面もあるが、今後改善していく。ダイナミックパッケージにおいては新しい売り方や旅の提案として、システムインフラを整えていかないといけない」 「楽天さんと組んでANA楽パックをやっているが、業務に携わっている弊社の人間の話を聞くと驚くことが多い。例えば、ITを駆使してヒット率や成約率を上げる手法や、旅館やホテルの契約の仕方などは非常に勉強になったと言っていた。楽天トラベルでは旅館やホテルをお客さんが評価する。スカイホリデー利用者の評価の仕方が今までなかったので見習わないといけない点も多い」 「そうしたIT技術に旅行業法に照らし合わせた販売の仕組みを融合させ、新たな販売の仕組みができあがった」 「間違いなく10年後、20年後はウェブ販売が伸びてくる。インターネットで簡単にクレジットカード決済できる時代にもなっている。確実に時代は変わってきているので先進的な考え方と技術を身につける期間ではないかと思う」 ──海外旅行については。 「今年度の重点方面は中国。日中国交正常化35周年、全日空就航20周年の記念すべき年だ。ANAは中国線を大幅増強しているので、売る席はたくさんある。一方、ヨーロッパやアメリカは座席が限られているため、高い席(FC)を使った高付加価値型のツアーを売っていきたい」 ──国内は。 「日本の国内の良さを再発見してもらおうと『NIPPON2』というキャンペーンを展開している。沖縄はここ5、6年伸びている。北海道は反対にあんまり伸びていない。旭山動物園が牽引しているが何とか北海道をテコ入れしていかないといけない」 ──旅行会社のターゲットとなっている団塊世代についてはどのような対応をしていくのか。 「ハローツアー、スカイホリデー利用のお客様は30〜40代が多いが、今後、団塊世代にはビジネスクラスで行く旅を期待している。今は、一律パンフレットを代理店に置いてもらっているのが主流だが、販売店とともに店舗の特性を見極めて団塊世代に届くような戦略を練り直さないといけないと思う」 「ハローツアー、スカイホリデーでは、高付加価値型商品や目的型の商品を拡充し、お客さまに支持されるブランドに成長するように企画・販売の両面で努力していきたい」