──民事再生法の適用を申請したマップジャパンの事業を継承して6月1日、JTBが出資するプロップ・システム企画と、リクルートとJTBの共同出資によるシーナッツの2社が事業を開始した。JTBが支援するに至った訳は。 「マップジャパンの予約通知受信端末、『TL』シリーズは全国の4千カ所の宿泊施設で導入されている。フロント会計・顧客管理システムなどの基幹系システム、『インチャージ』シリーズは計700軒弱。それぞれ旅館・ホテルの日常的な業務で使用されており、この業務が止まると業界全体がたいへんなことになってしまう。その危機を避けることが、今回の民事再生法の事態になったとき一番に考えたことだ。また、販売代理店をJTB商事が手がけていたということもある」 ──民事再生のニュースが出て、旅館・ホテルに動揺は見受けられたか。 「ある程度の問い合わせはあったが、広報体制をしっかりとったので、想定していたほどの混乱はなかった」 ──なぜ事業を2社に分割することになったのか。 「マップジャパンが民事再生になったのは、1つの理由ではなく、複合的な理由があったから。その中の1つとして、製品ラインを広げすぎて、問題が先鋭化されていないという課題があった。この課題を解決するためのステップを早めるために2つのジャンルに分けた」 ──プロップ・システム企画の事業内容は。 「予約通知配信サービスをシーナッツが事業継承し、当社はそれ以外の基幹系システムの開発などを手がける。また、佐世保にある事業所でのサポートサービスも当社が行う。どの製品に障害があるのかユーザーにとって判断しづらい場合があるので、シーナッツの製品も含めて一括してこの事業所で受ける」 ──会社として何を目指す。 「宿泊施設の業務効率化を、システムを通して支援していくこと。宿泊業界は業務効率化のニーズが非常に強い。経営効率を高めるために一定のシステム投資をする経営者も増えてきている。ビジネスチャンスは大いにあると考えている」 ──今後の事業拡大の青写真は。 「今、議論を始めたところだが、民事再生に至った財務上の問題、サービス上の問題もあるので、まずそこを消していく。再建が当面の課題だ」