──観光局長は今年度、産業労働観光部内に新たに設けられたポストであり、4月1日付で就任した。 「格的には部長に次ぐ副部長級の位置付けだ。旅行振興課時代はもちろん、スペインの日本大使館でも外客誘致の仕事を担当した。観光への思い入れは強く、再び観光に携われるのは嬉しい。プレッシャーはあるが、これまで培ってきた経験、人脈を最大限生かして仕事に取り組みたい」 「局の仕事は観光に関する中長期的な施策をきっちり作ること。観光に関する基本条例や基本計画を策定する司令塔的な役割を果たすとともに、観光振興のコーディネーターとしての役割も果たしていきたい。新潟は初めての勤務地だが、米どころ、酒どころのイメージがある。住みやすく、食事もおいしい。特に魚の『ノドグロ』のおいしさには驚いた(笑)」 ──県は09年を「大観光交流年」と位置付け、大型観光キャンペーンを展開するが、どんな施策を打ち出すのか。 「二度の地震で県観光は大きな痛手を受けたが、関係者のご支援もいただきようやく落ち着いてきた。09年は潮目を変える年となる。『うまさぎっしり新潟』というキャッチフレーズ、新潟の食材を使ったシンボルマークも決まった。09年のスタート早々、越後出身の武将直江兼続を主人公にしたNHKの大河ドラマ(天地人)が始まる。観光にとっては追い風となり、兼続ゆかりの地を巡る旅行素材を提供したい」 「7〜9月には十日町市・津南町で『大地の芸術祭』が開催される。これは3年に1回開かれ、里山や田園エリアに野外アートが製作される。前回は40カ国から約200人のアーチストが参加し、海外からの見学者を含め、約35万人の入り込みがあった。秋には新潟国体本大会もあり、そして10月にはJRグループによるデスティネーションキャンペーンが始まる」 「エコツーリズムやヘルスツーリズムといった分野でも売れる仕掛けづくりが必要。今秋には佐渡でトキの試験放鳥がスタートする。最初は10羽程度だが、2015年には60羽にする予定で、絶滅種のトキが間近に見られるのは大きな観光資源になる」 ──インバウンドについては。 「魅力的なターゲットの1つはロシアだ。特に極東ロシアとは交流の歴史も深く、その強みを生かして観光客を取り込む。富裕層も増加しており、単価も非常に高いと聞いている。観光関係者と組んでの現地PRにも力を入れる」 「もう1つはコンベンションの誘致だ。5月にはG8労働大臣会合が『朱鷺メッセ』で開かれるが、コンベンション開催の実力を内外に示すチャンスととらえている。コンベンション開催への補助金は、新潟市の制度と併用すると最大1050万円。この金額は全国屈指だと自負しており、首都圏との近接性も含め、新潟の優位性を国内外に発信していきたい」 ──他には。 「個人的には、新潟の観光関係者が震災時にどう対応し、いかに復興したかを、教訓として全国に伝える必要性を感じている」 【プロフィール】 さかまき・けんた 1992年京大経卒、同年運輸省(現国土交通省入省)。総合政策局観光部旅行振興課長補佐、在スペイン日本大使館一等書記官、航空局運輸課長補佐などを経て、06年7月から中部地方整備局企画部環境調整官。愛知県出身、38歳。