──KNTでの経歴は。 「入社以来長年人事にいた。経営企画は3年ほど。取っ掛かりは経営企画部長の時の、携帯電話を使った『カシャ旅』、宿泊予約サイトの『ステイプラス』。ティー・ゲートはその延長だ。各地域に埋もれている観光資源や遊び方を元に新規事業を進める中で、『ならば自分で』と手を挙げた」 ──事業の狙いは。 「現在、延泊も含めた国内宿泊の需要喚起が国や地域自治体で継続的な課題となっている。地域活性化のためには当然その地域でゆっくり楽しんで土地の良さを知ってもらい、できたらその地域の応援団になってもらいたい。そのために、地域ごとにあるはずの幅広い楽しみ方をサイト『旅の発見』で丹念に紹介し、リピーターづくりも含め取り組む。またKNTの調査によると観光素材の伝え手がいないという意見もあることから、素材を伝えていく人材を育てる支援も行う」 「自治体や各事業者さんが自らのホームページ(HP)などでプログラムを紹介していたりするが、そのHPになかなか行き着けないことが多い。子どもを連れて昆虫採集と星空観察ができるところを探したい場合、旅の『目的』から探そうしても手軽に探せて予約できるサイトがない。旅の目的から検索し、行き先を決められるような旅スタイルを提案する。ただ当社はあくまでもマーケットプレイスを提供する役目。そこを利用して、地域の方々に自分の地域の自慢を出していってもらいたい。そのためにも、他社サイトなどは固定費モデルだが、販売手数料モデルで紹介をする。売れなければタダ(笑)。初期投資が必要なサイトではないので、とにかく試してみてほしい」 ──初年度はどのようなコンテンツを考えているか。 「6月末はPCのみでのプレオープンなので、国内の着型旅行素材そのものを出していく。リリース時点で最低でも5千件の素材を掲載地域のプランを紹介することに注力する。11月の正式オープンの際には、モバイルでも展開する。来年の春先にはSNSや口コミ機能などを追加したい。今後1年はかかるだろうが、まずは利用者の意見を聞きながらスピーディーに必要なもの加えていく」 ──体験メニューの売り方としては「成果報酬」というが、手数料は。 「手数料10%で提案している。宿泊の方は、KNTのステイプラスのプランで体験を含むものがあれば積極的に売る。ステイプラスの売り口の1つとして当社も販売窓口となる。旅の発見でKNTの宿泊商品が購入された場合は、KNTから手数料をもらう」 ──販売目標は。 「今年10月から来年9月までに20億円の取扱高を想定している。これは大変な金額。他社サイトとケタ1つ違うくらいだ。ただ他社と少し異なるのは、着型プラン付きの宿泊を取り扱う点。目標の4分の1は宿泊予約での数字だ。そのため、旅連会員さんにもご協力を仰ぐ。近旅連の取り組みである、『みちしるべ』は地域の情報を出して宿泊につなげようというものだが、発想としては同じ。情報を具体的な商売につなげていくのが当社だ。地元の体験プログラムや旅館のサービスの一環でやっていたミニツアーなども、ティー・ゲートに情報を提供してもらえれば当社が直接販売する」 ──ニューツーリズム市場の飛躍のカギは。 「『ボランティアではなくて事業』として地域が動くかではないか。お客さまが安心して申し込めるように、事業としての責任と継続性のある体制が必要だ。今自治体が地域振興のために原価で紹介しているプログラムなどを、事業化したり、担い手を育成したりすることが求められる。ただ『商売ありき』になっては、大手旅行会社と同じで(笑)お仕着せを売ることになる。地域みんなが『来て欲しい』と盛り上がり、交流が活性化することが大切だ。またインバウンドのお客さまが増えているが、海外の方でも通り一遍ではないものを求めている人が増えている。本当の日本の良さを知ってもらうために、旅の発見は絶対に有効だ。多言語対応なども将来的には考えて進めていきたい」 ──人材育成の面は。 「KNTの余暇ナビゲーター育成事業を引き継ぎ、継続的な余暇ナビの養成と余暇ナビが作ったプランの販売を考えている。その土地の良さが分かるような、ひと手間かけたプログラムを作るのが余暇ナビだ。当社とも一緒に着型の旅を研究し、優先的にプランをサイトに上げてもらう。そのためにも12月までに5回、各回30人程度の養成講座を行い、『仲間づくり』を進める」