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 ■観光業界人インタビュー 第2471号≪2008年6月14日(土)発行≫掲載
市内宿泊者150万人目標
インの誘致体制も強化


下呂市長
野村誠氏

 4月に行われた下呂市長選挙で、野村誠氏(59)が現職の山田良司市長を破り初当選した。野村氏は旧下呂町の町議会議員6期、市町村合併後の04年には市議会議員となり、初代議長を務めた。観光行政にも明るい。野村市長に抱負と当面の取り組みを聞いた。

──公約に市内宿泊者数150万人を掲げた。
「下呂市内の昨年度の宿泊客数は125万人。ほとんどが下呂温泉の宿泊だ。3年以内に2割アップを目指すということ」

──達成に向け、どんな施策を。
「1泊が多い宿泊客を2泊にしたい。下呂温泉のブランド力だけに頼らず、まだ知られていない市内の魅力的な観光地や素材を全国に売り出していく。例えば御嶽山。『木曽の御嶽山』とよく言われるが、半分は下呂市の小坂にある。御嶽山のおかげで、小坂は日本一滝の多い町でもある。温泉にも恵まれ、炭酸泉や鉄泉など3つの温泉があることなどをアピールしていきたい。また、御嶽山のシンボルとして、昨年7月に『御嶽パノラマグラウンド』がオープンした。これは高地トレーニング施設で、5月28日に文部科学省のナショナルトレーニングセンターに認定された。スポーツキャンプの誘致に活用できる」

──他の地域は。
「岐阜県の南飛騨健康保養地構想を推進する施設『南ひだ健康道場』が萩原にある。健康づくりのプログラムやそば打ちなどの体験講座、体脂肪やストレスなどの測定器具などが充実している。ほかにも禅昌寺など神社仏閣の数も多く、風情のある格子戸の古い街道沿いのまち並みも残っている」

「馬瀬地区は清流で知られる馬瀬川上流が6月4日に『平成の名水100選』に選ばれた。その清流の鮎の味がコンクールで日本一に輝いている。美しい村の風景も認められ、美しい村連合に加盟している。金山は岩屋ダムがあり、ダム湖の湖面の利用権を市が持っている。湖面活用を検討したい。このような各地の観光資源と下呂温泉を組み合わせれば、2泊以上の連泊に耐えられる」

──広域観光についての見解は。
「7月の東海北陸自動車道開通を注視している。開通効果で、東海圏と北陸圏に観光客が増えることが考えられ、金沢や白川郷から、下呂温泉泊まりの観光コースを提案している。国道41号とのアクセス向上の働きかけも行っていく」

──ボランティアガイドの活動も盛んなようだが。
「市内では団塊の世代を中心に温泉や滝めぐり、まち並みを案内するボランティアガイド組織の活動が盛んだ。中国運輸局にマイカーを案内に使えないかを確認した組織もあるほどだ。市では国の補助事業に対し『下呂市まるごと観光地事業』を申請している。人材の養成中心のソフト事業で、ボランティアガイドや通訳ボランティアの支援を行いたい」

──インバウンドはどんな状況か。
「昨年は約1万6千人の外国人客が来市した。主に台湾と韓国からだ。下呂市の台湾事務所の運営を下呂温泉観光協会に委託するなど誘致体制も強化した。特に韓国については下呂温泉と提携しているユソン温泉を窓口に取り組みを進めている」

──エコや環境への取り組みは。
「市のキャッチフレーズとして『緑豊かな観光都市』を考えている。下呂市の92%が森林。山紫水明な下呂を守るためにも森林整備をしながら、観光に生かしたい。遊休農地も200ヘクタールあり、例えば名古屋圏からの間伐体験や農村体験に生かすのも手だ」


【聞き手・神保元英】
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