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■観光業界人インタビュー 第2495号≪2008年12月13日(土)発行≫掲載
「食」メーンにアピール
「観光振興条例」を制定
新潟県観光協会
会長
高橋正氏
──泉田知事は観光振興に熱心ですね。
「観光立県に非常に意欲的で、我々としても仕事がしやすい。とはいえ、振興のための体制整備は決して万全ではなかった。協会事務所(県庁内)にしても、これまでは観光振興課の中にあり、事務局長も課長が兼務していた。これでは協会独自の活動はできない。昨年から事務所を独立し、専従体制が実現した。現在JRや旅行会社からの出向を含め、14人体制で活動している」
── 中越地震(04年10月)、中越沖地震(07年7月)と相次いで地震に見舞われ、観光面でも大きな影響が出ました。
「入込客数は中越地震からの回復途上にあったが、中越沖地震の発生で07年度の観光客数は6844万人と、前年度比5%減になった。特に風評被害が大きかった海水浴客は今年度はやや持ち直したが、地震が起きる前の年と比べるとまだ7〜8割の戻りだ」
──会長は新潟県の魅力をどうとらえていますか。
「やはり『食』に尽きる。米、魚、酒に加えて温泉も良い。四季もはっきりしている。新潟といえばコシヒカリだが、魚沼のみならず、岩船、佐渡産もあり、味わいはそれぞれ違う。歴史や伝統文化など素材はたくさんあるが、まず食に焦点をあて、新潟ブランドの質の良さを全国にアピールしていく」
──来年は「大観光交流年」ですね。
「来年には、NHK大河ドラマ『天地人』の放映、新潟国体開催、3年に一度の『大地の芸術祭』、そしてJRグループと協働したデスティネーションキャンペーン(DC)と、集中してある。この機会を生かして、新潟県の認知度向上と交流人口の拡大を図る取り組みに、全県挙げて対応する」
「11月5日には、来年の新潟DC(10〜12月)を見据え、全国宣伝販売促進会議を開いた。JR東日本や旅行会社、地元自治体・観光関係者ら約600人が出席し、期待の大きさを実感した。DCでは、『うまさぎっしり新潟』をテーマに、先ほど言った『食』を中心に県をアピールする。また、山形県庄内地域とも共同歩調をとる。広域観光連携の1つのモデルケースになるだろう。DCに関連して、県内各市町村から地域の受入企画を募集したが、350件を超える企画が集まった。従来にない盛り上がりを感じる」
──今年10月からDCプレイベントを実施していますが、手ごたえはいかがでしょうか。
「特別企画のクーポン券付きスタンプラリーや『新潟うまさぎっしり博』(11月29〜30日)のほか、各地でイベント等が実施されている。案内資料も各種のものを制作し、特に季刊発行の『観光通信』秋号は従来にも増して内容を充実させた。25万部ほど作り、観光関連業者や県の観光に興味を持っていただいている人たちに配布した」
──来年の観光客数はどのくらいを見込んでいますか。
「切れ目なくイベントが続くので今年よりも増えることは確実だ。目標は中越地震以前の水準まで回復させていくことだが、次年度以降に流れを継続させるためにも、来年は正念場の年と位置づけている」
──訪日外客についてはいかがですか。
「07年度の外客数(延べ宿泊者)は約8万人。韓国がもっとも多く、2万5千人となっている。次いで、台湾、中国と続く。知事の意向はロシアからの観光客増だ。現在、7千人ほどだが、毎年1千人ぐらいずつ増えている。地理的にも近く、新潟空港からはハバロフスク、ウラジオストク間に定期便が就航している。台湾については、そう遠くない時期に定期便化が実現するのではないかと期待している」
──県では「観光振興条例」制定に向け、作業を進めていますね。
「県が観光立県を目指すという姿勢を示し、県民総参加を促す内容となる。12月議会に諮り、年内の制定を目指している。条例は往々にして理念先行になりがちだが、この条例では観光地の評価をやることを盛り込んでいる。賛否両論があることは承知しているが、ぜひ理解を求めたい。評価方法はこれからだが、(評価制度は)地域間競争を促し、県全体に活力を与えるものと確信している」
【たかはし・ただし】
74年5月から県会議員となり、県会議長等を歴任。07年4月に現職就任。2009新潟県大観光交流年推進協議会会長兼務。72歳。
【聞き手・内井高弘】
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