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■観光業界人インタビュー 第2511号≪2009年4月18日(土)発行≫掲載
正念場迎えるネット販売
i.JTB
取締役
新旅行事業本部本部長
平野利晃 氏
──JTBでは、インターネット販売のなかでの“場貸し”型を「新旅行業」と呼んでいる。この分野は専業他社に出遅れているのが現状だ。
「競合する楽天トラベル、じゃらんネットがかなり大きな取扱額になっている。JTBグループトータルとして、宿泊機関のお役に立てるという機能を継続的に果たしていく上では、この分野でも一定の役割を果たしていくことが重要だ。強化していかなくてはならない分野だ」
──昨年度(08年度)の取扱販売額の結果は。
「新旅行業の部分である『るるぶトラベル』では、280億円。07年度実績の248億円に対して13%増。倍増に近い475億円を計画していたが、狙った通りの伸びにはならなかった」
──原因はどこにある。
「営業面では、プラン登録と契約施設を増やすことが十分にできなかった。販促面は、他社がいろいろと機能を強化しているなかで、我々がどれだけ機能強化できたかというところが反省点だ」
──09年度の販売目標は。
「450億円。もう1度、高い目標にチャレンジするために、2月に新旅行事業本部という事業本部を創設し、組織の体制を強化した」
──目標に向け、るるぶトラベルでどう取り組む。
08年度中にいろいろな機能を開発してきたが、それがほぼ出そろうのが今年度。新機能を最大限に活用する。1つは『ポイントサービス』。2月26日からポイントの付与を始め、行使できるのは5月頃になる。提携先の『ヤフートラベル』でも、JTBの宿泊プランに関してポイントサービスを始めた。ポイントをしっかりと活用していくことで会員販促を強化し、リピーターを増やしていく」
「2つ目は、昨秋にできあがった『レビューとレイティング』。口コミ投稿の評価をカウントする仕組みなのだが、書き込みを増やすための販促が不十分だった。ポイントシステムができたので、より活用が進むだろう。3つ目は、高級プランのコーナー『スターコレクション』だ」
──ポイントは宿泊代金の1%だが、これは旅館・ホテル側が負うのか。
「従来の基本契約の手数料率に変更はない。販売側、つまり『るるぶトラベルポイント』は当社が、『ヤフーポイント』はJTBとヤフーの共同出資会社『たびゲーター』が手数料を原資としてポイント分を負担する。競争力を高めるため、先行している他社より少しでもいい条件を提案して、旅館・ホテルからのたくさんの登録を得たい」
──一方で、手数料率は、これまで覚書によって2%軽減されて6%だったが、4月から8%に戻った。
「確かに実質的には上がった面があるが、その部分の1%はポイントで還元する」
──販売上の課題は。
「レジャー分野の強化だ。るるぶトラベルは、ホテル予約サイト『e-Hotel』からスタートしたので、今でもビジネスホテルを中心にホテルの販売比率が非常に高い。08年度の販売額でホテルは4%増だが、JTBと基本契約を結ぶ旅館は41%増で、この伸びの大きさを考えるとレジャー分野はまだ伸ばせる要素がある。トップ画面をレジャーと出張とに分けるなどレジャーが売れるようにサイトを改善していくほか、プラン登録数がまだ多くないので、しっかりと旅館に営業する」
【ひろの・としあき】
1982年4月にJTBに入社。富山支店、本社国内旅行部旅館ホテル課商品計画課に属し、首都圏エース事業部企画第二課長業務管理課長、Jネットサポート支店長、東日本国内商品事業部事業部長、JTB首都圏東日本旅の予約センター所長を経て今年2月から現職。49歳。
【聞き手・板津昌義】
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