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■観光業界人インタビュー 第2523号≪2009年7月18日(土)発行≫掲載
日本に恩返しをしたい
百度(バイドゥ)
駐日首席代表
陳 海騰 氏
──百度(バイドゥ)とは何か。
「中国本土で73%のシェアを持つインターネット検索サイト。2億人が使っている。2位のグーグル(谷歌)が23%、3位のヤフー(雅虎)が2%という構成比だ」
「2000年創業の新しい会社だが、従業員数6千人超の規模に成長している。世界全体の検索エンジンシェアでも、64%のグーグル、15%のヤフーに次いで13%の3位となっている」
──日本進出の理由は。
「百度の強みである『自然文検索』の技術が、同じ漢字圏の日本でも生かせるはずと判断した。検索窓に単語ではなく『日本一高い山の名前は何ですか』などの自然文を入力して検索ができる」
「中国向けサイトはBaidu.comで、日本向けサイトはBaidu.jpと分けている」
「日本向け検索サイト運営のため06年に日本法人を設立した。自動車メーカーや大手旅行会社、自治体などから中国向けサイトの方への広告出稿希望が相次いだため、08年4月から営業窓口として国際事業室を開設した」
──観光業界の出身とか。
「88年に中国国際旅行社(CITS)に入社し、廈門支店日本部部長をしていた。当時はまだ日本語ガイドの数が少なく、たくさんの日本人旅行客の観光ガイドをした。JTB、農協観光、日中平和観光などから送客いただいた」
「93年から95年に沖縄国際大学に留学。その間、沖縄ツーリストで半年間、不二ホテル(現沖縄ポートホテル)のフロントで2年間アルバイトをしていた」
──沖縄県への訪日中国人誘客に取り組んでいる。
「08年は4584万人の中国人が海外旅行に出た。香港・マカオへの渡航を除いても1385万人。そのうちの訪日客は100万人、沖縄に来たのは3千人に過ぎない」
「沖縄は私の第2の故郷。私には沖縄の魅力、そして日本の魅力を中国人に伝える責務がある。留学時代にたくさんの人達にお世話になったので恩返しをしたい」
──いま中国で北海道ブームが起きている。
「道東が舞台の映画『非誠勿擾(フェイチェンウーラオ)』が、中国で観客動員数1億人以上の大ヒット。北海道旅行へのあこがれが高まっている。7月13日に経産省が札幌で開いた『地域映像コンテンツセミナー』に私もパネリストとして出席させていただいた」
──訪日中国人旅行客に対するおもてなしで、日本の観光業界人にアドバイスを。
「中国人は冷たいものよりも温かいもの、火を通したものを好む。生ものばかりの料理だと食べられない人もいるので、温かい料理と取り混ぜるか、選択できるようにするとよいのではないか。旅館の客室にセルフで飲める温かいお茶があるのは評判がいい」
「大浴場に抵抗がある人も多い。人前で裸になることに慣れておらず恥ずかしいと感じるようだ。露天風呂付き客室や貸し切り風呂を備えた旅館も増えている。個人観光査証で今後続々と訪日する富裕層に人気が出るのではないか」
──業界にメッセージを。
「中国本土のインターネット人口は3億人。日本政府観光局(JNTO)も6月5日から百度を使った中国本土でのプロモーション活動を始めた。中国人インバウンド誘客の広告宣伝手段として有効だと思う。自治体や組合主催のセミナーがあれば講師としてお手伝いしたい。気軽に声をかけてほしい」
【ちん・かいとう】
福建省廈門(アモイ)市出身。沖縄国際大学、神戸大学大学院に留学。NTT西日本、インデックス廈門支社等を経て06年12月バイドゥ取締役・Baidu駐日首席代表に就任。42歳
【聞き手・江口英一】
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